大切なコレクションを捨てられて・・・

20代後半の社会人の男性はガンダムのプラモデル収集を生きがいとしていました。
ある日部屋に戻ると大切なガンダムのプラモデルがありません。
男性はパニック状態になり、「もう生きていけないと」と思い、部屋に火を放ち自殺を図りましたが、隣室にいる母が事に気づき、男性と一緒に避難しました。
自宅は全焼、男性は放火の疑いで逮捕されました。

尚、常日頃母は息子(男性)のプラモデル収集に対して「年も年だからいい加減にしなさい」と否定し続けており、事件当日意を決した母はプラモデルをゴミ袋に詰め、あとは捨てるだけの状態にしていたのでした。

さてこの事件、皆さんはどう思われますか。

私はこの事件の背景には、アダルトチルドレン、機能不全家族の問題を感じます。

ではこの事件の背景を私なりに分析したいと思います。

まず、この事件について4つの問題があります。

1 母親が息子の大切なプラモデルを捨てたこと
2 息子が大切なプラモデルが無くなっているのを見つけ、生きていけないと思ったこと
3 母親にプラモデルに関して「どうしたのか」確認しなかったこと
4 自殺を図り部屋に火をつけたこと

1 母親が大切なプラモデルを捨てたこと

息子がプラモデル収集をしていることの何がいけないのでしょうか。
何も問題ありません。何を収集しようが個人の自由です。
そして母が大切なプラモデルを捨てたこと。
これは息子に対する人権の侵害です。

自分の価値観に合わないからといって、大切な収集したプラモデルを捨ててしまうということは息子に対する支配です。
ここに母親が息子の個を尊重していないことが分かります。
(機能不全家族の特徴です)
また、母親は息子のプラモデルを捨てたことで、息子の趣味や価値観が変わると思っていたのでしょうか。
支配に基づく短絡的な発想です。

2 大切なプラモデルがなくなっているのを見つけ、生きていけないと思ったこと

なぜ、プラモデルがなくなったことで「生きていけない」と瞬間的に思ったのでしょう。
100か0の白黒思考を感じます。

そしてこの思考は強い負の感情と結びついているように感じます。

母親が子供に対して幼少期より常に干渉、支配をし続けますと、子供は常に我慢と抑圧を強いられます。
しかし、人間には限度というものがあり、我慢や抑圧にも当然のこと限度があります。

常に我慢、抑圧を強いられた子供は成長して大人になった時、過去と同じような刺激に出合うと、瞬間的に我慢してきた負の感情が圧倒的な力を持って蘇り、その感情に支配され、思考レベルも100か0の短絡的なものとなることがあります。
(まるで幼児の癇癪のようなものでしょうか・・・)。

今回息子は大切なプラモデルがないことについては、母親が捨てたとすぐに分かったのではないでしょうか。
(母親の息子の収集している私有物を気に入らないから捨てるという行為から、常日頃よりの過干渉が推察出来ます)
そして、プラモデルがないことを見つけたのと同時に、子供時(過去)からの母親の支配と干渉に対する我慢と抑圧、それに伴う負の感情が爆発したのではないでしょうか。

「もうやめてくれという」と感情の爆発が思考、意識を狭め「プラモデルがないと生きていけない」という短絡的な結論と瞬時に結びついたように感じるのです。

「大切なプラモデルがないと生きていけない」と自殺を図ったと思考を述べていますが、そこには過去より抑圧され続けた怒りの感情の影響が大きくあるのではないでしょうか。
そして本来は母親に向うべき怒りの感情が自分に向かったのではないでしょうか。
(アダルトチルドレンは感情のコントロールが苦手な傾向があります。それは機能不全家族の親子間による問題から、負の感情が蓄積され続け耐性が弱まっているからです)

3 母親にプラモデルに関して「どうしたのか」と確認しなかったこと

息子が家に帰ってきた時プラモデルはゴミ袋の中にあり、息子が一言母親にプラモデルの行方について訪ねていれば、コミュニケーションがとれていれば今回の事態には至らなかったかもしれません。

しかし、前述しましたように子供時より母親の干渉や支配傾向のある家庭では、コミュニケーションは一方通行であり、子供は親に失望と無力感を感じていることが多く、親とのコミュニケーションを避ける傾向があります。

もしそうだとすれば、この事件においても息子と母親との間には気持ちの通ったコミュニケーションは以前よりなく、今回も母親にプラモデルを捨てられた怒りの感情のみで、理性に基づくコミュニケーションを排して行動を起こし、「プラモデルの行方の確認」をしなかったとしも不思議ではありません。
話したくない、話しても無駄・・・。
そして圧倒的な感情は理性をのみこみます。
(親子間の交流、コミュニケーションの欠如もアダルトチルドレンの傾向です)

4 部屋に火をつけたこと

息子はプラモデルがないことからパニックになり・・・。
自殺をしようと自室に灯油をまき火を放ちました。
結果命は助かったのですが。

何があっても短絡的行動に走ってはいけません。
自殺を企てる、家を燃やす。
言語道断です。

どれだけ感情に支配されても、短絡的な思考があったとしても、実行していいわけがありません。

自分の反応責任、感情は自分のものであり、自分の範囲内で責任を負うものです。

この事件について捜査関係者は「いい大人がプラモデルで放火なんて・・・」と完全にあきれていたそうですが。

しかし、心理分析をすると大変根の深い問題です。
誰が悪いと断定はしません。
そこには親子間の問題、機能不全家族の問題、アダルトチルドレンの問題を感じるからです。

母親は息子がプラモデルを収集していることに「いい年だから」と否定をして、自分の価値観に基づき息子のプラモデルを捨てる準備をしました。
彼を変えたかったのでしょう。

しかし、その結果家を失い、息子は逮捕。
悲しい結末です。

これも機能不全家族の世代間連鎖の呪縛でしょうか。