泣くな 親

子供は常に自分に対する親の反応や態度を意識して成長します。
そしてアダルトチルドレンはとくにその傾向が強いと思われます。

親が子供に対し褒める、喜ぶ、かわいがる等の肯定的な反応や態度で接すると、その後の子供の成長にとって大きな糧になります。

しかし、常に無視、拒否、怒る等、否定的態度で接し続けられますと、これは子供の存在否定にもつながり、慢性的な不安感を抱える等、子供の成長にとってマイナス面しか考えられません。

そして常に親が子供に対して不安感等与える態度で接することを、精神的虐待といいます。

さて、今回は精神的虐待のなかでも強烈な罪悪感を子供に与える、子供のしたことに対して「親が泣く」ということについて書きたいと思います。

当然この「泣く」という行為の背景は、親の悲しみや怒りの感情があります。
ではなぜ親が子供の行為に対して、泣くという反応態度をとるのでしょうか。
これには親が子供の立場に立って共感した結果悲しみを感じる場合と、子供の行為が親の主観・価値観に反して期待に沿わず悲しみ怒る場合の2つが考えられると思います。

まず親が子供の立場に立って感じる共感については、子供のことを真に思ってのことでしょう。
例えば子供が怪我をしてそれを見た親が泣くことは、この場合ではないでしょうか。
この場合泣いている親の姿を見て、子供が親に対して罪悪感を抱くことはあまりないと思います。
健全な親子関係ではないでしょうか。

では次、子供の行為が親の主観・価値観に反して期待に沿わず悲しみ怒る場合とは、どのようなことが考えられるでしょうか。

これには、子供が友達と喧嘩をしてきた息子を見て泣く(親は喧嘩をしてはいけないという価値観を持っている)、子供が運動会の短距離走で最下位になったことを泣く(親は競争では1位を取るべきという価値観を持っている)等様々あります。

また子供の行ったことが社会通念上良くなく、それを見た親が(価値観・主観にも反している)ショックから泣くということは一過性のものであり、子供にも問題がありますので、子供が罪悪感を抱く問題の影響はあまりないと思います。

しかしたんなる親の勝手な価値観や主観に反し、期待に反しているだけで、親が子供の行為に反応して泣くとしたら、これは子供にとっては訳の分からないものであり、子供に混乱をもたらします。

そして親が子供の行為の反応として泣くパターンは、子供が受けたテストの点数(成績)に反応して泣くことが一番多いのではないでしょうか(これは母親に多いと思われます)。

私も経験があります。

さて、親はなぜ子供のテストの結果、点数ぐらいで過剰反応して泣くのでしょうか。

そこには親の人生に対する価値観が大きく影響しています。
それはテストの点がよくなければ、学歴が高くなければ、一流企業に入ることが出来ず、この先の人生真っ暗である歪んだ認知です。
したがって親からするとテストの点が悪い、勉強の出来ない子供は将来お先真っ暗のダメ人間(お先真っ暗人間)となるのでしょうか。
⇒あきれ果てる考え方ですが・・・。

したがって親は勝手な自身の考え方より子供の将来を案じ、子供に対してテストの点が良く、勉強が出来ることを期待するのですが、子供の取ってきたテストの点数が親の期待に反した時は、怒り、失望、子供の人生の将来への不安を感じ、怒り、泣くのです。

では子供の側からみて、自分が取ってきたテストの点を見た親が泣くということをどのように体験しているのでしょうか。

振りかえってみましょう。
子供は学校からテストを返してもらう、その点数は低い。
子供は何の疑問も問題意識もなくテストを家に持って帰ってきます。そして、親にテストを見せます。
ところがテストの点数を見た親の態度は一変、怒り、泣くの態度を見せつけられるのです。
子供はテストの点数が悪いということが、このような親の反応を引き起こしたことを理解出来ません。

私も小学生1年の時、テストの点数(もしかしたら成績表)を見た母親が泣いたのを目のあたりにしましたが、たぶん私は訳が分からなかったのでしょう。
その後庭を小さな自転車でグルグル回っていた記憶があります。

テストの点を見た親が最初に泣いた日、おそらく子供は訳が分からず、混乱した状態で1日を終えるのでしょう。

そして、その後凄まじい地獄が始まるのです。

子供のテストの点数が悪くて泣く親は子供のテストの点数を上げようと必死になります。
(それは自分の期待に合わない子供を、自分の期待に合わせるためです)。

したがって子供のテストの点数が悪いたびに、子供を罵倒したり、叩いたりして怒ります。
または、泣き叫ぶ。

子供は悪いテストの点数を取ると親が怒り、泣くことを学習し、常にテストを見せたあとの親の反応に不安を感じます。
また怒るのではないと、泣くのではないか。

そして、親もエスカレートしていき常に子供の行動を監視して支配・干渉を強めていきます。
「勉強しているか、勉強しているか」
子供はいつ親が「勉強、勉強」と怒り出すだろうかとビクビクするのです。

親が子供のテストの点数で怒る、そして常に勉強せよと監視・支配する。これらの行為は子供に不安感とストレスを与え、常に親の視線を意識する心の自由を欠如した状態に陥り、日常化すると精神的虐待となります。

そしてそれ以上に親が子供のテストの点数を見て泣く。
これは子供に過剰な罪悪感を与えます。
それは自分が親を泣かしているという罪の意識です。
(親から怒られる時も自分が親を怒らしているという罪の意識を持つかもしれませんが、それ以上にいつ怒られるか、どのように怒られるか不安と恐怖の方が強いと思います)

そして、泣いている親にどう接していいか分からない無力感も持つかもしれません。
(怒られている時は耐えればいいのですが、泣かれると対応の仕方が分からず混乱してしまうのです)

親に対して罪悪感を背負った子供は、何かあると自分が悪いのではないかと、過剰に親を意識します。
親が鼻をすすったり、ため息をついただけでも「自分が何か」と感じてしまうのです。
常に親に対して罪の意識を継続して持ち続けてしまうのです。

無用な罪悪感は自分を苦しめます。
何事も自分のために親が苦しんでいると考えたり、自分が我慢して親を楽にさせなければと、成長するに従いこのような感覚を持ってしまうこともあるのです。

親がテストの点数や「勉強、勉強」と怒り泣くことからは、子供にとってもほとんどいいことがありません。

子供は勉強しても勉強が出来ない無力感を持つかもしれません。またこのタイプの親は子供に1番、100点を要求する傾向が多く、子供が勉強して頑張って高い点数を取ったにもかかわらず、親の高い期待を満たしていないと褒めるどころかけなしたりと。
子供のやる気を削ぎ、子供は頑張っても認められない虚しさを抱いてしまうでしょう。

さて、問題の本質です。
問題は明らかに親にあります。

それは先述しましたように、この事態が親の価値観・主観に基づくものだからです。
テストの点数が悪ければダメという根拠は何でしょうか。
高学歴が本当に幸せをもたらすのでしょうか。

ちなみに私は高校の数学学力テスト0点でした。
地学、生物は赤点を取っていたと思います。
小、中、高を通して成績は中位でした。

しかし、今のカウンセラーの仕事は言語と感性と創造の能力を必要とする仕事であり、学校で教えてもらった勉強はほとんど役に立っていません。

そして最後に主張したいこと。
親が子供に対して「あんたはどうせ~~なもの」等、成績の悪い子供を親の主観で値踏みして侮辱し続けますと、本当に子供は成長した際、親の言葉通りの人生を歩むことがあります。これは親に散々支配され罵倒された結果、心の自由を奪われ、自己価値が低下し、主体性を失った人間の悲劇です。

親が子供の価値や人生を決めつけ値踏みするなどあってはならないことです。

子供の個には親には創造出来ないパワフルな素質(学力では測れない)や能力が詰まっていることが多々あるのですから。
それを見つけ伸ばすことこそ大切なのではないでしょうか。