自分を持つ 境界の大切さ

アダルトチルドレンは機能不全家族の出です。
機能不全家族の特徴は親と子供の境界がないことがあげられます。

本来親と子は別の人格を持っており、各々の個は尊重され、安全な家族生活を送るべきですが、機能不全家族では子供の個は尊重されず、親子の境界は曖昧です。

例えば過干渉。
常に親が子供をチェック、監視します。すると子供は常に何をするにしても親の視線が気になります。これは、何かする際またはその後、親のチェックから文句を言われないか、怒られないかを気にしているのです。
すると、何をするにせよ怒られないようにと親の視線を伺い、本来自分のしたいことや方法ではなく、親に怒られないためにしたいことを抑えたり、したいこととは別の方法で行うのです。

このように育てられた子供が大人になりますと、何をするにせよ周りの視線を意識するようになります。
子供時に親と子の境界がないと、大人になっても自分と他者の境界がなく、何をするにも他者の視線を意識するようになるのです。

また、親に放任され続けた子供はどうでしょうか。子供は小さいながらも思います。親が自分の面倒をみてくれないのは自分が愛されるのに値しないからだと。
そうすると大人になりますと、今まで得られることのなった愛を過剰に求め、他者との一体感、関係性に執着します。
これも自分と他者の境界がありません。

したがって、子供の時親と子の境界がないと、大人になっても自分と他者の境界のある関係を築きにくいのです。

では、自分と他者との境界を持つとはどのようなことなのでしょうか。

心理学の本や講座でよく言われている次の言葉。

「あなたはあなたでいいのです」

この言葉は、「私は私でいいのです」と読み替えることが出来ます。
すなわち、私は私でいいということは他者の視線を意識することもなく、他者にしがみつくこともなく、私は私でいられるということです。

でも、言うのは簡単です。
それが出来なくて困っているのですから。

では、自分が自分でいられるために必用なものは何でしょうか。
それは、自分に専念することです。
他者に専念するのではなく自分に専念するのです。

例えば自分の意見や話す時に他者の視線や顔色ばかり伺っている人は、自分に専念しているのではなく、他者に専念しています。

でも、他者とのコミュニケ-ションで大切なことは何でしょうか。
それはきっちりと自分の意見を伝えて自分の主張や気持ちを理解してもらい、また、それに対する相手の反応を見て、他者理解に勤めることです。

相手の視線や顔色ばかり伺っていたのでは、自分のいいたいことは言えず、結局は理解されない存在となってしまいます。また、自分自身悲しくなってしまうのではないでしょうか。
では、なぜそこまで相手の視線や顔色を気にするのでしょうか。
代表的な例としては、「拒否されたくない」「悪く思われたくない」「バカにされたくない」等、自分に対する否定的評価を怖れています。

誰だって拒否されたり、バカにされたりされるのは嫌なものです。
しかし、ここで大切なこと。
拒否する、バカにする態度を取るのは誰ですか?
答え。コミュンニケ-ションをした相手です。
これは、相手が自分に対して勝手な態度を取っているのですから、どうしようもないのです。
相手が自分に対してどういう態度を取るかは、それは相手が選択してその態度を取るのです。
私たちには相手の反応・態度はコントロ-ル出来ません。
そして、相手の反応、態度は相手の選択責任でもあるのです。
したがって相手の反応や態度をコントロ-ルすることは不可能なのです。

人とのコミュニケ-ションで大切なことは自分の思っていることを率直に、相手の気持ちを考慮(相手を傷つけることなく伝える)して伝える。
これだけです。
これが自分に専念するということです。
相手の反応に気を使うということは、相手の態度、反応及び選択に責任を負うことです。
私たちが責任を取れるのは自分自身の自己表現のみであり、それに相手がどういう態度、反応するかまでの、相手の責任までは取れないのです。

そして、もう1つの例。他者との関係にのめりこむ場合にも、自分に専念することは有効です。
他者との関係にのめりこむパタ-ンの代表は恋愛依存です。
恋人からの見捨てられることへの不安から、常に恋人とつながっていることを確認します。
しかし、これも自分に専念して、今するべきことに専念していれば、そんなに恋人のことばかり過剰に考え続けません。
恋人が今何をしているか、見捨てられるのではないかと考え続けることは相手に専念しているのです。

では、自分に専念するために重要なものは何でしょうか。

自己信頼感、自分を信じるということです。

先の相手の顔色を常に見ている場合も自己信頼感の欠如が一番の問題です。自分が自分を信頼出来ない評価出来ないということは、その評価を他者に委ねなくてはならず、常に他者評価を気にしてしまいます。
また、恋愛依存においても自分が自分としっかりつながり自分を満たしていれば、過剰に他者とのつながりを求めることもないでしょう。

恋愛依存の場合常に恋人が自分を見捨てるのではないかと恋人を疑っています。恋人を信じていません。でも、自分を信頼出来ない人間がいかに他者を信頼することが出来るのでしょうか。自分にOKを出せない人は真に他者にOKを出せません。
また、見捨てられる不安の場合は自ら抱えている漠然とした大きな不安感もその原因となっています。先ほど恋人に専念していると書きましたが、実はこの漠然とした自分自身の不安にも専念しているのです。
これも、自分が自分を信頼出来るようになると不安に支配されることはなくなると思います。

自己信頼感の獲得。
私のカウンセリングでも目指す大きな課題です。
自己信頼感の獲得は人それぞれ抱えている問題により獲得の経緯が違ってきます。
ですから、人それぞれ抱えている問題の本質に対して、人それぞれそれを乗り越えるための行動化の促進が必要となってくるのです。
焦らず取り組むことが大切だと思います。