対人不安・視線不安・社会不安・対人恐怖
人が怖い。話すのが辛い。視線が気になる。人からどう思われているのか気になる。そして、人と距離を取ってしまう。
一般的にこれらは対人不安・対人恐怖と言われています。
社会は人によって成り立っています。
したがって人に対する問題、不安等を抱えてしまいますと、社会生活をおくることに苦痛を感じてしまいます。
私もカウンセラーとしてカウンセリングを行う以前は対人の問題を抱えていました。
それは人との円滑な人間関係を築けなかったことです。
やたらと人と距離を取ってしまい、会話をすることがありませんでした。
人に対する不安や恐怖、そして怒りもあったように思います。
しかし今では普通に気楽に、人と話すことは出来ます。
私の対人不安克服の経験も、カウンセラーとしてカウンセリングに活かしたいと思っています。
さて、人が怖い(対人恐怖)、人に対する不安(対人不安)は、成育歴等の影響からくる不安です。
そして、この対人不安・対人恐怖を抱えておられる方は、思考面、行動面において、対人不安・対人恐怖を強化する様々な問題と特徴があります。
では、対人不安・対人恐怖の方の思考面、行動面の特徴と問題を7つ見ていきたいと思います。
- ソーシャルスキルの欠如
- 最悪の結果を予想する 否定される思い込みの弊害
- アイディンティティの未確立 自分が分からない
- コミュニケーションの1人相撲
- 自己受容が出来ていない
- 他者の評価を気にしすぎる
- 1人が好き 性格特徴
1.ソーシャルスキルの欠如
ソーシャルスキルとは何でしょうか。イメージ出来ますか。
これは社会生活をおくるうえで好ましいスキルのことです。
ソーシャルスキルは対人スキル、コミュニケーションスキルの2つから成り立っています。
まず対人スキルとは、人との交流において、いかに社会的に振る舞うかというスキルです。
話し方、表情、身だしなみ等、社会的に好まれるスキルを獲得しているかどうかということなのです。
対人スキルを獲得していないと、人と接する時、人と話す時、いかなる態度を取り、いかに振る舞っていいのか分かりません。
したがって、対人スキルを獲得していないと、人と一緒にいる時どのように振る舞っていいかが分からず、人と一緒にいることが不安になるのです。
また、コミュニケーションスキルも対人スキルと並列するものであり、いかに人と話しをするか、好ましい会話のスキルです。
さて、対人スキル、コミュニケーションスキルは幼児期よりの適切な親子関係、そしてその後の学生時(小~大)における人との交わりのなかで培われます。
しかし幼児期より親子関係に問題があり、親と適切な関係を築くことが出来ず、また親に対して恐怖や遠慮等の気持ちを持っていますと、その後の人間関係にも支障が出てしまい、ソーシャルスキルの獲得が困難なものになります。
ソーシャルスキルはスキルです。
スキルはいつでも学習して獲得出来ます。
私も子供時より他者と気楽に会話をすることが出来ませんでした。
したがってソーシャルスキルはほかの人と比べて、15年以上遅れて獲得したと思っています。
カウンセリングにおいてはソーシャルスキルについても話し合います。
また、カウンセリングでソーシャルスキルを学ぶことも可能です。
2.最悪の結果を予想する 否定される思い込みの弊害
ソーシャルスキルはあるのに、「人と接するのが恐い、話すのが恐い」という方がおられます。
そして対人スキル、コミュニケーションスキルの発揮を抑えてしまいます。
ではなぜ、獲得しているスキルを発揮せず、抑えているのでしょうか。
考えられることは、スキルを発揮した後を予想していることです。
それは、「最悪の結果」です。
例えば、「話しをしようと思うがどうせ無視されるに違いない」、「私の話しはおもしろくない皆退屈する」「話にオチがなくしらけてしまう」等の思い込みから、コミュニケーションに対する最悪の評価と結果を恐れているのです。
そして、その予想が現実になることを怖れて、スキルの発揮を抑え、自分を抑えてしまうのです。
しかし、この最悪の予想は本当に現実になるのでしょうか。
誰にも分かりません。
確かめる方法は1つです。
対人行動、コミュニケーションを避けることなく、その場でソーシャルスキルを発揮して、現実を体感して確かめるしかないのです。
そして、スキルの発揮を抑えていると次の2点からも問題が生じます。
a 不安ばかり先行して不安に支配され、やがては対人場面を回避し続け対人不安・恐怖を強化する。
b 自分を発揮しないため、周囲の評価も下がり、自信が低下する。
カウンセリングでは、その最悪の結果は本当に起こるのか?
他に考え方、見方はないか等、現実的、客観的に考えることについて話し合い、カウンセリングを進めていきます。
3.アイディンティティの未確立 自分が分からない
アイディンティティとは自分とは何者であるかということです。
具体的には、「私は甘いものが好きです」「私は会社員です」「私は人には優しく接します」「私は自分のことをきっちりと説明できる人間です」「私は人と話すことが好きです」・・・。
「私とは~~~です」の複合体なのです。
しかし、この「私とは~~です」という自己が確立されていませんと、自分が何をしたいのか、何を大切に他者とかかわればよいのか、人とのなかでどのような自分を表現すればよいのか等、自分がどう行動して振る舞えばいいのか、自分が自分で分かりません。
さて、対人不安の方は人から否定されることを恐れて、人に合わせ続ける傾向があります。
そうしますと他者への思いに敏感で、自分の本当の意見や気持ち、行動を抑え、感じ取った他者の思いに合わせてしまうので、自分が自分でなくなってしまい、自分が確立出来なくなってしまうのです。
その結果、自分が何をしたいのか、何を考えているのか、何を感じているのか、瞬時に分からなくなってしまうのです。
自分が何を考えているか瞬時に分からないと、他者から意見を求められた時に答えられません
。
そうすると、その苦痛を避ける傾向が生じ、ますます人が怖くなり、対人不安・対人恐怖を強化させてしまうのです。
関連記事としまして 自己信頼感のページもお読みください。
4.コミュニケーションの1人相撲
これは、人とのコミュニケーションにおいて自分が場を盛り上げなければならない、相手を退屈させてはいけない、相手を笑わせなければならない等、使命感を持っている場合に生じます。
自分が盛り上げ役を果たさなければならないと使命感を持つことは、常にその場のコミュニケーションにおいて責任を負うことになります。
しかし、コミュニケーションは2者以上で行うものです。 なぜ、自分1人がその場を盛り上げなくてはならないのでしようか。
また、自分がその場を盛り上げよう、コミュニケーションをリードしよう、自分が話さなくてはと思い焦ることは、自分自身に意識が集中した状態であり、相手とのコミュニケーションに向き合っている状態ではないのです。
そうすると相手の話しも半分ぐらいしか聞いていないかもしれません。 相手の話しをきちんと聞かずにコミュニケーションは成立するでしょうか。
実はこのコミュニケーションの1人相撲の背景にも、他者から否定的評価を受ける恐れがあります。
要は退屈な奴等と思われたくないのです。
この不安から気持ちも焦り、ちぐはぐな応答をしてしまい、コミュニケーションに対する苦手意識が強化され、さらには対人不安・対人恐怖も高まってしまうのです。
カウンセリングではコミュニケーションについてもお話させて頂きます。
コミュニケーションにおいて何が大切か、そのスキルと心得をカウンセリングで学ぶことも出来ます。
またカウンセリングじたいがコミュニケーションですので、コミュニケーションの1人相撲で悩まれている方は、カウンセリングの聞く技術を学ばれてもいいかもしれません。
5.自己受容が出来ていない
自己受容とは自分はこれでいいと、自分にOKを出すことです。
そして、人が自分にOKを出すには、OKを出す基準があります。
他者とのかかわりにおいて自分に求める規準が高すぎると、なかなか自分にOKは出せません。
ソーシャルスキル(対人スキル、コミュニケーションスキル)を獲得していても、自分に対する基準が高すぎると、どれだけきちんと人と接していても、他者からOKを頂いても、自分にOKが出せないのです。
また、ソーシャルスキルの問題は脇へ置いておいて、今の自分にOKを出すことも必要です。
何か人と話す際にぎこちなくても、緊張していても、精一杯努力して人と接している自分を認めてあげることです。
完全でなくてもいいのです。
自分が気にするほど、相手はあなたの方を気にしていません。また、相手に緊張していることが分かったとしても、それであなたの評価が悪くなるとも思えません。
自分は自分でいいのです。
6.他者評価を気にしすぎる
自己評価が低いと他者の評価を気にします。
自己受容が出来ていない、自分にOKを出せていないと、他者よりOKの承認を得ようとします。
この気持ちが強ければ強いほど、他者よりの承認を得るために、他者の反応、評価を気にするのです。
そしてその結果、他者を強く意識するため、自分を評価する他者に対する恐怖が高まり、対人不安・対人恐怖から抜け出せないのです。
しかし、私たちは目の前にいる相手が自分に対してどのような評価をしているのか分かるのでしょうか。
もちろん相手の反応を見てなんとなくですが分かる場合もありますが、しかしすべては推論の域を出ていないと思います。
したがって相手の反応から相手の評価を考えるということは、推論に基づくものであり、確実性はないのです。
またどれだけ、ソーシャルスキルを発揮していても、他者評価を得ようとするあまり、自分にとって理想の完璧な対人行動が出来ない限り自分を認めない等、自分に求める規準が高すぎる場合もあります。
高い自己規準を達成しない限り、他者より評価してもらえないと思い込んでいるのです。
このように、他者評価を気にしすぎる問題と、自己受容の問題は密接に関係しています。
カウンセリングの相談内容においても、他者評価と自己受容の問題を抱えている方は大変多いです。
対人不安からの回復のカウンセリングでは、自分に対する厳しい評価基準を下げ、自分を認め自分を受容することが大切なことの1つなのです。
7.1人が好き 性格特徴
生まれ持っての性格なのでしょうか。
人が嫌いというわけではないのですが、1人でいる方を好みます。
私もどちらかというと1人を好む性格です。1週間誰とも話さなくても苦痛は感じないタイプです。
ですが、人嫌いではありません。また、人好きの面も持っているのですが、やはり1人が好きなのです。
では、1人を好む性格の人が対人不安を感じる場面、または避けたい場面とはどのような場面でしょうか。
基本的に1人が好きな性格の人は、大勢で活動することを好まない傾向があります。
それは、1人の気楽さが大勢の中にはないからです。
気をつかわなければならない、話しを考えなければならない・・・。
余計な神経を使います。邪魔くさいのです。
しかし、大勢の集まりを邪魔くさいと思い避けてしまいますと、大勢の中で振る舞うソーシャルスキルを獲得出来ません。
知っている人達とは気楽に話せても、大勢の中で気楽には自分を開示出来ません。
(大勢の中で自分を開示するには、どのような人がいるか分からないため危険性があり、大概の人は大勢の中で、すぐには自分を開示しにくいものだと思いますが)。
しかし、それでも誰とでもすぐに親しげに話す人がいることも事実です。
この人達はそもそも人が大好きなのか、または見知らぬ相手でも親しくなれるスキルを持っているのでしょう。
1人が好きという性格自体はそれで良いと思うのですが、あまり人との関わりを邪魔くさいと思い避けてしまいますと、初対面の時、特に大勢の中での関わり、すなわち自分を開示することに苦手意識、不安を抱いてしまい、そこから、このような場面を避ける対人不安・対人恐怖へと発展することは考えられます。
心理オフィス ステラでは対人不安の悩みを経験克服した心理カウンセラーが、カウンセリングを受け賜わっております。
カウンセリングで、今よりも楽な人間関係を築きませんか?


