心の悩み相談集

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2008年06月19日

人とのかかわりについて 親密の規準

智彦さんは現在25歳の会社員です。
彼は友達が出来ない悩みでカウンセリングに来られました。

彼の1週間のスケジュ-ルは月曜日から金曜日までは、会社員として事務内勤で働いています。
職場は年配の方が多く、話しが合わないそうです。
また、彼は北海道出身であり関西圏に知り合いはいません。
そして休みの土曜日と日曜日はこれといって趣味もなく家で静かに過ごしています。

彼はそんな自分に最近疑問を持ちはじめたのでした。
それは友達がいないことにです。友達がいないから休日も暇で、時間が経つのが遅く、昼間から酒を飲み虚しさを紛らわしていることに気がついたのです。

そして彼は人との出会い、友達を求めサ-クルに入ったのでした。
今の孤独感を人と接することにより、友達を作ることにより解決しようと思ったのです。
彼の入ったサークルはメンバ-30名の社会人のサ-クルで月2回、アウドドア、スポ-ツ、飲み会と皆でワイワイとすることを目的としたサークルです。
幹事が様々な企画を行いメンバ-は気が向けば参加という自由参加型です。

しかし、サークルに入って3ヶ月、どうも彼はこのサ-クルに馴染めず、一体どうすればいいのだろうと悩みカウンセリングに来られたのでした。

彼によるとサ-クルは「どうも深い付き合いが欠けている」「おもしろければいい」「笑っていればいい」という感じがして、馴染めないとのことなのです。そして、何よりも当初の目的である友達が出来ないことが一番の悩みでした。

そこでまず、彼に対して友達の定義について確認をしました。

彼にとって友達とは、「じっくりと膝を突き合わせて話し、お互い心の話しを本音で出来る間柄」だそうです。

彼の話しを伺って思ったことは、サ-クルの目的と、智彦さんの欲するものが直接的には一致していないということです。

サークルは、皆でワイワイとにぎやかに過ごすことを目的とした集まりです。皆でにぎやかに過ごすということは参加者全員のエネルギ-が一定の方向に向かっており、その各々のエネルギ-が交差、一致、炸裂してその場を楽しむものです。ですから、参加人数はそこそこ多い方が盛り上がります。

しかし、智彦さんの友達を作りたいという目的、「じっくりと膝を突き合わせて話し、お互い心の話しを本音で出来る間柄」ですが、これは参加者が内面の心で感じていることを、互いにオープンにして話すものです。したがって何を言っても批判されない安全で受容的な空間が必要であり、参加者は数人が理想的です。

サ-クルは皆が雑談等楽しむ仲間、知り合いを作り、にぎやかに楽しむことを目的としているのに対して、智彦さんは静かに少人数の友達で心を開いて話をしたいのであり、双方目的が違うのです。

当然、知り合いと友達は違います。
知り合いから友達関係へと発展するのです。

したがって智彦さんがサークル内で友達をつくるためには次の方法しかありません。
まず、サ-クル内で盛り上がりメンバ-の一員となり知り合いを作ること、そしてそこから数人の気の合う人をみつけることです。

しかし、智彦さんのお話では未だ知り合いさえも出来ていないようです。そこで、彼にどのようにサ-クルで振る舞っているか聞いてみました。

「どうしても自分から話すことは苦手で受身になってしまいます。また、おもしろい話しをするのも得意ではありません。また、人から話題を振られても一言の返事で終わっているようで・・・」
「周りへの気配りは大切と思い、活動後の掃除とか後片付けは積極的に行っています」

私が彼のこの話しを聞いて感じたことは、まず自己開示が出来ていないということです。
人は自分の情報を発信しないとなかなか人間関係は深まりません。
また、話題を振られても一言で終わるのも問題でしょう。せっかく気を遣って話題を振ってもらっても、一言で終わらせてしまうと、話題を振った人もがっかりしてしまいます。これは相手を受け入れることが出来ていないことでもあります。
また、気配りを後片付けのような裏方の仕事で発揮していると思っていることも問題です。
裏方の仕事も大切なのですが、サ-クルのような場ではそこに一緒に過ごす人に気を遣うことが、第一の気配りなのです。

したがって、智彦さんはサ-クルに入って顔見知りは出来たと思いますが、メンバ-として輪の中に入っておらず雑談をする知り合は未だいないのです。
知り合いにもなれない間柄では、そこから彼の求める友達関係へと発展するのは難しいでしょう。

したがって智彦さんはまず、サークル内で自己開示と雑談を行いながら、まずは知り合いをつくることから始める必要があるのです。

人間関係は挨拶に始まり、雑談、その後気が合えばさらに関係を深めていきます。

では、知り合いから、彼の求める親密な友達関係に発展するにはどのような要素が必要なのでしょうか。健全な人間関係を築くため、親密さを獲得するのに大切な規準を、ジャネット・G・ウォイテッツ「アダルト・チルドレン アルコ-ル問題家族で育った子供たち」金剛出版刊よりご紹介します。

・許容
自分は防御の壁をどこまで下げられるか。相手がこちらの感情に影響を与えてくるのをどこまで許せるか。
・理解
自分は相手を理解しているか。相手の言動の意味を把握しているか。
・共感
自分はどこまで相手と同じ気持ちになれるか。
・同情
自分は相手が心配している問題について純粋に心配することができるか。
・尊敬
自分は相手を価値ある存在として扱っているか。
・信頼
自分は誰にでも打ち明けるわけにはいかない事柄に、相手がどこまで接近してくるのを許せるか。
・受容
自分は自分のままでよいか。相手は相手のままでよいか。
・誠実
この関係は真実の上に成り立っているか。なんらかの欺瞞や下心はないか。
・意志の疎通
自分たちはお互いにとって重要な事柄を率直に話し合うことができるか。お互いを理解し、関係を前進させるためのコミュニケ-ションの仕方を知っているか。
・一致
自分と相手はどの程度まで好き嫌いが一致しているか。二人の感じ方や信条に違いがあった場合、それはどの程度問題になるか。
・個の確立
自分は相手に尽くしながらもどこまで自分自身を維持出来るか。
・配慮
自分は自分の欲求だけでなく相手の欲求も心に留めているか。


さて、ここまで書いて自分自身を振り返って思ったことです。
私には知り合い(浅い付き合いの人)がほとんどいません。それは、私自身が深い付き合いを求めてはいますが、その場を過ごす浅い付き合いは苦手だからです。
では知り合いがいないと友達がいないかというとそうでもないようです。
実際に知り合いが多い人も私の周りにいるのですが、その人でも本当にお互いが理解し合っている親密な友達は、数人だそうです。

知り合いは多い方がいいのかどうか議論するつもりはありませが、親密な友達とは生涯かけてもそんなに多く得られるものではないのかもしれません。

投稿者 stella : 12:55 | トラックバック

2008年06月03日

買物依存 その人間関係を求める依存について

松代さんは50歳。大変真面目そうな女性です。
職業は食品製造工場でのライン作業です。
その、松代さんが先日自己破産をされカウンセリングに来られました。
松代さんは買物をしすぎて借金が膨らみ自己破産に至ったのです。

俗に言う、買物依存症でしょうか。

さて、松代さんは現在は1人暮らしです。結婚暦もなく、これという趣味もありません。
週末にする楽しみといえば、バッグ、アクセサリ-、服等流行の高級ブランド品を買うことです。
松代さんによると買物をする動機は、「自分は友達もおらず孤独、趣味もない、買物が自分の孤独を紛らわしてくれる」と言うのです。

買物とは当然ですが、物品を買うことです。
買物から孤独を紛らわすと聞いて、私が浮かんだイメ-ジは物を集めることによる、孤独からの逃避です。
すなわち、孤独という心の隙間を、物を集めることにより満たすのです。

これは孤独という萎縮した自己を、物を集めることにより拡大していると言葉を変えてもいいと思います。

松代さんの場合は高価な物を集めることにより、購入した商品の数だけ自分を満たしているのではないかと思いました。
そして、もう1つの動機、優越感に浸ることもあるかもしれません。
すなわち、流行の高級ブランド品を買い揃え、それを周囲に見せつけるのです。
見せつける相手は知っている人であっても、知らない人であっても、どちらでもかまいません。
要は自分が流行の高級ブランド品を身につけているところを誰であろうと見せつけ、注目を浴び、優越感に浸りたいのではと思いました。

先ほどの心の隙間、萎縮した自己に対して、優越感に浸ることで自分を満たしているではと思ったのです。

しかし、カウンセリングを通して大きな疑問が出てきました。

それは、松代さんが商品を買った後、どうしているのか伺った時のことです。

彼女は「家には買った商品はありません。なぜなら、すぐにまた買物をしなければならないからです。したがって買った商品はすぐに質屋に持っていき、換金して、また週末には違う店にブランド品を買いに行きます」

不思議な話しです。松代さんは買った物で自分を満たすのでもなく、身につけて見せつけるわけでもないのです。
では、何を目的として松代さんは自己破産するまで買物を続けたのでしょうか。

それは、やはり孤独を紛らわすためでした。
しかし、自己拡大や優越の欲求により孤独を満たすのではありませんでした。

松代さんには友人がいません。また、仕事も食品工場であり私語は厳禁、職場にも親しい人がいません。
したがって、今の生活ではまったく心を通わす人もおらず、松代さん自身、働き生活をしているが、社会との接点を感じにくいのでした。
また、誰も自分を必要としてくれない、認めてくれない。
そんな感覚さえ持っていたようです。

そこで思いついたのが買物です。
それも高価なブランド品の買物です。

ブランド品は誰でも即断即決で買えるものではありません。
したがって、ショップの店員との商談は欠かせません。
自分の要望を伝え、価格交渉等、これは商談でしょうが、これ以外にも雑談も行います。

ショップ店員からすると商品を売る話しばかりしていたのでは、客との信頼関係が築けません。当然、雑談をしながら客の気を引き、また情報収集を行います。
松代さんはこのショップ店員との雑談を目的として買物をしていたのでした。

松代さんは日常の生活空間においては誰も話しをする人がいません。
人は生きていくうえで話しをする人がいない孤独に耐えられるほど強い人は少なく、また、話しをする人がいるということは、自己の存在認知にもつながります。
したがって、松代さんは客としてショップの店員と話しをして、人との交流を図り、自己存在の認知を確認していたのでした。

店員であれば客を無視することもなく、むしろ愛想よく接してくれます。
松代さん自身も自分が客であるから、店員が自分の相手をしてくれていることは十分分かっています。しかし、それでもショップ店員との関わりは松代さんにとっては欠かせないものだったのです。
それだけ人との親交を求めていたのです。

しかし、客といっても商品を購入しないで雑談ばかりしていると、いずれ店員から相手にされなくなることは分かりきっています。
また、自分の顔を覚えてもらい、いつでも丁寧に店員から接してもらうには、定期的に店を訪れ高額な商品を購入する必要があったのです。

但し、毎週同じ店ばかり通っていては、お付き合い出来る店員も限定されます。
したがって松代さんは高級ブランドショップ4店舗を選び、月に1回~2回交互に店舗を訪れ、ショップ店員との雑談を楽しみ、雑談をするために高価な買物をしていたです。

また、松代さんは次のようにも言っています。「商品を買った後、店員さんがペコペコ頭を下げてくれるのは、たまらない優越感があった」と。


松代さんの場合は買物依存ではありますが、物を持つことにより心理的満足を得るのではなく、買物を通しての人間関係を求める、自己存在の認知を確認する、ショップ店員との関係性への依存だったのです、
それが、店員と客、営利関係に基づくもの、偽の親交であったとしても、人との交流を深く求めていたのです。

投稿者 stella : 21:11 | トラックバック