根源的不安はどこからくるのか・2

根源的不安とは何でしょうか。まず、根源的不安について振り返ってみましょう。この不安は自分が自分とつながっていないところからくる、漠然とした不安です。言葉を変えると、自己信頼感欠如、基本的不信感、見捨てられ不安です。そして、そこから自己の存在認知・価値を他者に委ねる依存症が発生します。

さて、前号ではエリクソンの発達理論をもとに、根源的不安は発達の過程において本来獲得すべきパワ−を獲得しそこなうところからくると書かせて頂きました。

今回はその他、根源的不安の発生に影響しているものをいくつかみていきたいと思います。

INDEX

  1. 1.ライフイベントの影響
  2. 2.後天的学習によるもの
  3. 3.3歳児までの重要性
  4. 4.第1チャクラとの関係
  5. 5.パワ−の回復

1 ライフイベントの影響

人は生きている過程において様々な出来事に遭遇します。その、出来事があまりにも強力で衝撃的なものですと、私たちの自信、安心感を喪失させて不安の発現に影響するでしょう。
よく言われているのが長男、長女が体験をする弟、妹の誕生です。今まで宝物のように扱われていたのが、急に「上の子なのだからしっかり」と見放されたような接し方を受ける。誰が悪いというものでもないのですが、当の本人は見捨てられたような感覚を持つかもしれません。
根源的不安は自分がしがみついている何か、必要としている何か、安心感を得られる何かより、出来事、ライフイベントの発生により強制的に切り離されることにより起こるものかもしれません。

また、上例と同じような衝撃は、幼い時の転校、大人になっての失恋、仕事での失敗等様々あるでしょう。転校については周囲との人間関係、愛情、愛着と切り離され、失恋では彼・彼女からの愛情、自分が持っている愛情の対象から切り離されます。とくにカップルは2人でひとつのアイディンティティを形成しますので、失恋はアイディンティティの崩壊と自己の喪失につながるほどの強力な衝撃を受けます。また、仕事での失敗は自責感が強いと自分のプライドと切り離され、生きる力を奪われるかもしれません。

2 後天的学習によるもの

根源的不安を持っている人の共通として自分に対する自信がないことがあげられます。

では次に、大人までの成長発達の過程では問題はなかったけれど、大人になって学習により自信喪失、根源的不安を感じている例を見ていきます。
これは簡単に言うと周囲からのたびかさなる言葉、態度より無能者のレッテルを貼られ、自己価値が低下することから起こるものです。

例えば入社して上司から日々罵声を浴びせ続けられたとしたらどうでしょう。屈辱であり、しかし文句も言えず気持ちを抑圧します。また、他者からの視線も気になることでしょう。また出来ない自分を責めるかもしれません。こういったことが毎日続くと培ってきた自信も崩壊して自己不信感、また、いつ怒られるかという慢性的不安を感じ続け、ついには身体的疾患に発展するかもしれません。

これと同じことはDVの被害を受け続けた女性にも言えるかもしれません。毎日罵声や暴力を受け続け、自己価値が低下して自分はダメな人間と思い込んでしまうことも多々あるでしょう。また、いつ暴力を受けるか分からない日々不安のなか暮らすと、慢性的不安・根源的不安へと発展していくことでしょう。

これら2例の共通は、自分の誇り、自信を他者から奪われることです。そして、ダメ人間のレッテルを貼られ、不安感を植えつけられることです。

3 3歳児までの重要性

a ソーシャルスキル獲得の大切さ

幼児は3歳ぐらいまでは家の中が世界の中心であり外の世界との接触は少ないと思います。そして、この時期になりますと好奇心より外の世界を覗いてみたり、実際に同年代の子供達と遊び始めだします。この年頃までに、自分は大切にされている、愛されているといった自己信頼感や、家のなかでも自分の意志を通して振る舞う自律性が養われていないと、不安、臆病、感情の抑圧から外に出ていくこともなく同年代の子と遊ぶ機会が減ります。結果としてそこから学ぶ対人関係能力、ヒュ−マンスキルの基礎を獲得しそこなうのです。そして、更なる成長の過程を通しても人と接することは少なく、ヒュ−マンスキル、自信、有能感を獲得しそこない、自己信頼感欠如のまま慢性的な不安、劣等感じ続けることになると思います。

b 脳の記憶について

私達の記憶は脳によって記憶されているのですが、実は出来事を記憶している部位と、そこからくる情動(感情、体感)を記憶している部位とに別々に分かれて記憶を保管しています。
出来事を記憶しているのは海馬。そして、情動を記憶しているのが扁桃体です。通常私達が記憶を思い出す時は、海馬で出来事を思い出し、扁桃体にてその時の情動を思い出します。または、何かふと感じた時、その時と似た情動を扁桃体が思い出し海馬へアクセスして、その時の出来事を思い出します。このように海馬と扁桃体は共に記憶を思い出しています。
また、この2つの記憶の機能についてですが、扁桃体は生まれてすぐに機能し始めて情動記憶を保管します。しかし海馬は3歳ぐらいまで時間をかけて機能的に発達します。私達の3歳児までの出来事の記憶があまりないのはこのためなのです。

そして、ここで問題が生じます。すなわち3歳児までに何かの出来事を体験して、不安や恐怖の出来事を扁桃体で記憶されても、それに対する出来事の記憶が海馬で記憶されていないことが考えられるのです。すると、成人になって何かを感じた時に扁桃体が機能して、不安や恐怖を感じたとしても、それに対する出来事の記憶が不完全なため、本人からしてみると得たいの知れない不安や恐怖に襲われることになるわけです。
これも、根源的不安発生のメカニズムの1つと考えてもいいと思います。

4 第1チャクラとの関係

チャクラ、聞いたことありますか
人間には気の中心であるチャクラが7つあると言われています。第1チャクラとは股の付け根にあるチャクラのことです。ここではチャクラそのものの説明、議論はしませんが、キャロライン・メイス著、「7つのチャクラ」(サンマ−ク出版)において根源的不安の発生と一致すると思われる記述がありましたのでご紹介したいと思います。

「第一チャクラは同族のチャクラ(同属意識)であり地に足をつけるはたらきをする」。キャロラインはこのように書いています。これを私なりに解釈しますと、同族の最小単位は家族であり、家族としての一体感がしっかりしていれば自信を持って地に足をつけた感覚が得られる。しかし逆に家族との同族意識、家族とつながっている感覚がないと地に足をついて立っている感覚が得られない。すなわち自信がなくフワフワした状態である。私はこのように解釈をしています。

実は私自身膝より下のエネルギ−が弱く(ヒ−ラ−にも言われます)不安を感じると膝より下が寒くなります。また、私自身家族と同族意識を持っておらず(なぜか波長が合わない)心理的には疎遠です。したがって家族との同族意識、一体感が欠如している者は自信を持って地に足をつけて立っている感覚が得にくいのだと思います。乳幼児の頃より家族より安心感を得られず、自己信頼感を育めなった者は成長しても自信がなく、足が地にしっかりつくことなく暮らしていることを示しているのではないでしょうか。

5 パワ−の回復

さて、今までは根源的不安の発生やその影響について見てきましたが、実際に根源的不安を追っ払うことは出来るのでしょうか。これは、言葉を変えるとパワ−の回復といってもいいと思います。
私達は生まれた時から生きるためのパワ−を持っています。
それを、成長過程において何らかの影響で見失ってしまったか、どこかに置いてきてしまったのだと私は思っています。
見失ったパワ−は見つければいいし、置いてきてしまったパワ−は探して返してもらえばいいのです。

私はカウンセリングにおいてパワ−の回復と自己信頼感の獲得を図りたいと思っています。