性格は変わるのか 性格は思考、行動、感情、身体反応より構成されています

「私の性格は変わるのでしょう」?
カウンセリングをしていると、この質問をよく受けます。

では、性格とは何でしょうか。
心理学者オ-ルポ-トによると「ある個人の行動は環境への適応において、その人らしい独自の一貫した適応行動様式があり、たえず遺伝と環境の相互交渉により、変化、発達して再体制化されていくものである」と定義しています
(オ-ルポ-トは正確には性格ではなくパ-ソナリティの定義と言っています)。

このオールポ-トの定義で注目すべきは、「ある個人の行動は環境への適応において、その人らしい独自の一貫した適応行動様式があり」です。
これは言葉を変えると、「人はある特定の環境において継続固定して行う反応様式がある」と言い換えてもいいと思います。

具体例で書きます。
例1
特定の環境⇒会議で話す
継続固定して行う反応様式⇒緊張してうまく話せない

例2
特定の環境⇒仕事での発送作業
継続固定して行う反応様式⇒封入ミスが気になって作業に時間がかかりすぎる

このようにある特定の環境(特定の場)に対して、常に継続・固定した行動様式をオールポ-トによると性格というのです。
したがって性格とは自分も当然自覚しており、外からも観察可能なものと言えるでしょう。

例1では「緊張しやすい人」、例2では「神経質」等自他共に認めるかもしれません。

このように性格とは行動面に現れ観察可能なものなのです。
では、私たちの性格はどのようなものから構成されているのでしょうか。
性格は次の4つから構成それています。

それは、思考 行動 感情 身体反応(喉の渇き 振るえ 緊張等)です。
そして、このうち私たちが直接介入、コントロ-ル出来るのは思考と行動です。

感情と身体反応については、自分自身でコントロ-ルすることが難しいのです。
感情は勝手に感じるものであり、様々な身体反応も私たちの意志を無視して勝手に生じます。
もちろん、感情と身体反応もリラクゼ-ション、イメ-ジトレーニングで介入、コントロ-ルは可能なのですが、感情と身体反応を問題にする前に、私はカウンセリングにおいては思考と行動にアクセスをします。

思考と行動を変えることが、性格の変容にもっとも近道であると思っているからです。
そして、思考と行動の変更・促進が図れますと感情と身体反応も変わってくるのです。

したがってオ-ルポ-トの性格の定義における、継続・固定した反応を変更するためには、性格を構成している、思考と行動を変更すれば、感情と身体反応も変わり一定の継続・固定した反応を解除出来ることになるのです。

これが「性格は変わりますか」?という質問に対する、私の答えです。
では、もう少し詳しく書いてみましょう。

性格の変容。思考 行動 感情 身体反応の4つについて、「人と親しく話すことが苦手で出来ない、そして人と話す場を避ける」という例をテ-マに見ていきたいと思います。
(前提はコミュニケ-ションスキルはあるのだけれども、人と親しく話すことが苦手と思われている方です)。

例3
特定の環境⇒人と話す場面
継続・固定して行う反応様式⇒親しく話せない、そして人と話す場を避ける

この例の人は人と話す場を避けるという行動を選択して行動していますが、その前提が人と親しく話せないということです。

ではなぜ、人と親しく話すことが出来ないのでしょうか。そこには「話をしてつまらない人と思われたくない」「相手を不快に思わせてしまうかもしれない」「受け入れてもらえないのではないか」「嫌われのではないか」「無視されるのが怖い」等。これらの不安が先行して話すことを抑え、話すことに自信が持てないことが考えられます。

そして、この不安⇒不安感の前提となっているのが思い込みなのです。
「話をしてつまらない人と思われたくない」つまらない人と思われる根拠は?
「相手を不快に思わせてしまうかもしれない」その根拠は?
「受け入れてもらえないのではないか」その根拠は?
「嫌われのではないか」どうして嫌われるのか根拠は?
「無視されるのが怖い」どうして無視されるか根拠は?

思い込みとはこのように根拠がありません。
漠然としているのです。
そして、この思い込みが思考なのです。

したがって、思い込みをいかに緩和、変更するか、思考の変更を図ることが大切なのです。
「話をしてつまらない人と思われたくない」⇒「話をしてつまらない人と思われるかどうかは分からない。また、何を根拠として相手が自分をつまらないと評価するのであろうか?分からないことに悩んでも結論はでない。だからまずは話してみよう」

「嫌われるのでは」⇒「嫌われるとは相手のどのような態度を見て判断出来るのであろうか?嫌われる根拠は?根拠のないことに悩むのではなく、まずは話してみよう」

大切なことは、根拠のないことに悩んでも、不安の堂々巡りで結論が出ないのです。
やってみないと分からないのです。

そして、やってみないと分からないということは、行動して現実を確かめるということなのです。
私たちを縛る思い込みを手放して、前に進むのです。

もちろん、この思い込みについては、子供時の親子関係・家庭環境が深く影響していることが多々あります。
思い込みを変更する前、過去の親子関係・家庭環境が現在にどう影響しているのか振り返り、関係性を理解することが必要な場合もあります。

さて、思い込み、思考を変更したあとは行動の促進です。
この行動の促進の前に「自分が人と楽しく話しをしている」イメ-ジ等を思い浮かべてリセクゼ-ションすることは有効です。

それは、人はイメ-ジ通りに進むものだからです。
イメ-ジで人と楽しく話している姿をしっかり思い浮かべ、話すことに対する不安感の軽減、緊張の低下を図ります。そして、実際に行動する際、このイメージの効果が発揮させるのです。

思考を変更して行動の促進。そして、行動の促進の準備としてイメ-ジトレ-ニングを行い、不安からの感情と身体反応の軽減を図る。
これが事前準備であり、そして、いざ本番。行動です。
そして、行動したあと何が起こるか体感するのです。

大概の場合は自分の思っていた不安なことは起こらず、「何だこんなものか」と驚きと安心感に包まれる体験をされることも多々あるのではと思います。

そして、話すことがこんなに楽なものかと体感されれば、次にまた話すことへの不安も軽減され、緊張も低下をして、話すことにチャレンジしようと前向きな気持ちが生まれてくるのではないでしょうか。
今まで話すことに対して不安を感じで話すことを抑えていた人が、ある日より話すことにチャレンジをしだし、やがては積極的に話すことが出来るようになる。
抱き続けた不安は現実にはなく、更には話すことに自信を獲得したのです。

これが性格の変容です。
思考 行動 感情 身体反応が変わったことにより、固定・継続して行われていた反応様式が変わったのです。

さて、ここでもう1つ思考で大切なこと。
それは評価です。

何気なく気さくに人と話すことが出来る人は、話すことに自信(自信を意識していないかもされませんが)を持っていると思います。
逆に話す能力や自分自身に自信がないと、相手にどう思われるかを常に気にして、話すことに不安を感じ続けます。
しかし、話すことに自信を獲得していきますとそれと並行して不安は軽減されます。

では、自信とはどのように培うものでしょうか?
自信とは何かにチャレンジをして成功体験からもたらされるものです。
話すことに自信がない場合は、話すという行動を起こして、話すことが出来た自分、昨日よりも一歩前進した自分を認めてあげることが大切なのです。
自分が自分を認めてあげることが大切なのです。

そして、認めてあげるとは、「評価」です。
自分が自分を評価するのです。
そして、再び「思考」です。

「評価」には基準があります。
自分が自分を認めるにも、その人独自の基準があるのです。
話すということを例にとると、ある人は3分話しが続いた自分を大きく前進したと評価するかもしれません、またある人は3分しか話しが続かなかったと自分を評価しないかもしれません。
自分が自分にOKを出して、自分を評価することにより自信は培われるのですから、自分に対する評価基準は厳しくない方がいいと思います。

そして、厳しすぎる評価基準は思考の問題です。
なぜ、そこまで自分を厳しく評価するのか、ここには心理的な問題が大きく影響していることが多々あります。
自分を振り返って、自己評価基準を下げ、行動、チャレンジした自分を、暖かく評価することが大切なのです。

「思考」「行動」「感情」「身体反応」の変化により性格の変容は図れます。

しかし、このなかでも思考、「思い込み」「自己評価基準」をいかに見直すか、性格の変容に大きくかかわっているのです。