不安の共有と連帯|不安を共有・不安を軽減

私たちは人生において、どのような時に不安を感じるでしょうか。
そして、不安への対処法の1つ。不安を共有する、連帯するとはいかなるものでしょうか。
今回、次回と「不安の共有と連帯」をテ-マに書きたいと思います。

まず、私たちが不安を感じる時について、そのパタ-ンを書きます。(漠然とした継続的不安感及びPTSDは除きます)

私たちが不安を感じる代表的なバータン

Index
1.危機に直面したことからくる不安
2.結論が見えない将来に対する推測の不安
3.態度反応が固定した経験上からの不安

1.危機に直面したことからくる不安

危機に直面したことからくる不安。
では、危機とは何でしょうか。

自分の生命に対する危機、当然です。
それ以外にも自分に対する他者との比較、評価、目標達成が生じる否かの等も含まれるでしょう。
これらはすべて自己存在が関連しているのではないでしょうか。

生命に対しては生きることが命題であり自己存在に直結しています。
では、比較、評価、達成は自己存在と、どのように関連しているのでしょうか。

私たちは競争社会に生きています。
受験、仕事等。
受験に失敗したら、仕事が達成できなければ、昇格を逃したら、これらの事態において望ましくない結果を招いた時、自分が否定されたような感じを持ってしまう人もいるのではないでしょうか。

そして、この背景にある思考は「受験に失敗したら終わり」「仕事が達成出来なければ自分はダメ人間だ」「昇格を逃したらバカにされる」等の、自分を追い込む破滅的思考であり、自己存在に価値に関するものです。

いずれの場合も、危機に直面したことからくる不安については、人と話すことで不安が緩和されます。

生命の危機については、今の病気、控えた手術等に対する不安を語ることで、少しは気分も和らぐと思います。
ただ、命に直結していることですので、どこまで不安を払拭出来るかは人各々によって違うでしょうが、語ることは心の安定に多少なりとも寄与すると思います。

当面のこと、先のことも整理されたり、不安を理解してもらった、受け入れてもらったという多少の安心感もあることでしょう。

また、自分の存在価値に関する、比較、評価、目標達成についての不安ですが、この場合も話すことによる効果があります。

不安の受容共有は当然のこと、それ以上に話し相手よりフィ-ドバック、アドバイスをもらうことにより、他者の意見を得ることも出来、物事の見方の多様化にもつながるからです。

また、これらの不安を人に話すことにより、落ち着いたアドバイスを得られると、自分の思い込みから解放されたりして、緊張が緩和され、狭まった視野が広がることと思います。

「失敗したら終わり」等の自己破滅的思考からの脱却も出来るのです。

但し、聞く側はアドバイス先行ではなく、まずは話しを聞くという受容が最も大切です。

誰に話すかは大切であり、信頼関係を築けている人に話し、そのうえでアドバイスも有効になるのです。

特に自己価値に関する思い込みの不安は、カウンセリングにおいても悩み相談のテーマとなることも多く、カウンセラーと不安を共有、問題解決のアプローチも図れると考えます。

まさに、カウンセラーと不安の共有と連帯 不安を話し不安を軽減する効果が発揮されるのです。

2.結論が見えない将来に対する不安

例えばある会社が債務超過で倒産する可能性があるとします。
従業員の方々は先のことを不安に思い日々過ごされています。
でも、その不安は推測に基づくものであり確定していません。
誰にも分からないけど現実になるかもしれない堂々巡りの不安なのです。

そんな時、同じ職場の人とその不安について話すことにより、話した相手と不安の共有が図れ、安心感を得ることもあります。

「不安に思っているのは自分だけではない」。

(また実際に倒産決定後、その後の進路が不透明な場合も不安を話すことにより、今後の進路への不安の共有と連帯が図れます)。

不安を口にしたところで、会社の経営状態や先のことは不透明なのですが、悩んでいるのは自分だけではないという思いから不安が軽減されるのです。
また、不安を共有することで連帯意識も生まれ、今までにはなかった、人とのつながりも出来るかもしれません。

カウンセリングにおいても将来の結論が出ない不安の場合は、その不安感を共有するように徹します。
そうすることにより相談された方は、自分の不安を理解してもらったこと、受容されたことに安心感を覚えられ、不安の軽減に役立つのです。
また、視線を変えたアドバイスを行うことにより不安感の軽減も図ります。

3.態度反応が固定した経験上からの不安

さて、対応が難しい不安が「態度反応が固定した経験上からの不安」です。

過去の経験からまた同じ事態、状況が起これば、自分はその事態状況に対応出来ないだろうと、予期してしまい、この予期不安から不安感を持ってしまうのです。

例えば人前で話すことに数度失敗している人は、人前で話す機会があるたびに、また失敗するのではと不安に悩まされます。

そして、やがては「自分は人前では話すことは出来ない」と決めつけてしまうのです。
出来ないイメ-ジが先行して、そのイメージが現実のものとなるのです。

出来ないと決めつけてしまいますと、人はその不安となる事態を避けようとします。

再チャレンジの機会も奪われ、スキルを高めることもなく、生涯に渡ってこれだけは出来ないと人生態度を決定してしまうのです。

この場合カウンセリングを通して不安の受容と共有は出来ますが、ご相談者様の不安の軽減には即結びつきません。
なぜなら、今まで人前で話すことに失敗し続けて出来ないと決定的な恐怖感を持っているのですから。

不安を軽減するためにはカウンセリングもひとつの手段ではありますが、話すスキルを獲得して、話すことにチャレンジ、そこから出来るという体感を獲得していくことも重要となります。

実際私も対人不安で早口でしたが、話し方教室にも5年近く通い、今では何とか人前でも話すことが出来るようになりました。

時間はかかります。でも、諦めないことです。必ずスキルは付き、自信も獲得出来ます。

そして、何よりも大切なこと。

今、自分が抱えている不安を理解してくれる人を見つけ、不安の共有を図り、連帯して前に進むことです。

関連記事:不安の共有と連帯 マイナスの側面について

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