恋愛依存 パ-トナ-を縛る6つの戦略

前回恋愛依存者の恋愛におけるアイディンティティ獲得について書きました。
それは、自己存在の不確実感をパ-トナ-と一緒になることにより、アイディンティティを獲得しようというものです。
したがって恋愛依存者にとって、パ-トナ-との破局は自己存在の喪失にもつながり、破局は恋愛依存者にとって致命的な辛さを与えてしまうのです。

恋愛依存者のそのことを意識的、無意識的に感じており、パ-トナ-との破局を避けるため、パ-トナ-を自分の手元に置いておくため、あらゆる方法を用いてパ-トナ-を縛りつけます。

今回は恋愛依存者のパ-トナ-を縛る方法、戦略について書きたいと思います。

1 力による支配
文字通りです。脅しとも言い換えてもいいかもしれません。パ-トナ-をあらゆる暴力で脅し、叩きのめし、自分の側から離れないようにするのです。
この暴力には直接パ-トナ-に当る場合と、間接的にパ-トナ-に当る場合(物に当る場合、子供に当る場合、子供を苦しめたくなければ言うことを聞け)があります。

また、暴力とは力による暴力、言葉による暴力共に指します。
そして、パ-トナ-は暴力を振るう相手を見て無力感、恐怖から逃げられず無抵抗となり、暴力を振るう相手のいいなりになります。
しかし、暴力を振るう側も、暴力を振るわれているパ-トナ-が我慢の限界となり、「別れる」と固い決意を表明したとたん、泣いて土下座をして謝り、今までを反省して、2度と暴力を振るわないことを誓い、暴力を振るっていたパ-トナ-に優しく接することもあります。

暴力を振るわれていたパ-トナ-はこの優しさこそ「本当の姿」と感激するのです。
まるで強弱、緩急の如く、これをコントラスト効果と呼びます。
そして、しばらくするとまた暴力が始まるのです。

さて、ここで気をつけないといけないのが暴力を振るっていたパ-トナ-が本当に恋愛依存者かどうかです。相手をつなぎとめるために意図的に暴力を振るっていたとしたら恋愛依存者かもしれません。

しかし、そうではなく「逆らうな」「お前は言うことを聞いていればいいんだ」と自分本位な思い上がりで暴力を恒常的に振るっていたとすれば、発達のおける情緒の欠如、何らかの人格障害者かもしれません。
また、暴力によってしか自分を表現することを学んでいないのかもしれません。
いずれにせよ、暴力によって人を支配する行為は犯罪です。充分な注意が必要でしょう。

2 弱さをPRする
自分がか弱く無力であることを最大にPRします。
「あなたに見捨てられたら生きていけない」という戦略です。
弱さをPRされたパ-トナ-は相手に対する同情、または別れることの罪悪等を感じてパ-トナ-のもとに留まざるを得ません。
しかし、いつまでも執拗に弱さをPRされ続けると、いい加減嫌になるのではないでしょうか。弱さをPRする方法は、最後はパ-トナ-の怒りを買い見捨てられることにもつながります。

また、弱さをPRするのも考えものです。
それは本当の自分の能力を値引くことであり、その結果さらに自己喪失の加速をかけるかもしれないからです。

3 尽くす
パ-トナ-に見捨てられないために尽くします。
実はこれは下手に出る取引なのです。これだけ尽くすから、これだけしてあげるから見捨てないでねという取引です。
しかし、この戦略の問題は尽くされた側が、パ-トナ-の尽くす意図をどれだけ意識しているかです。尽くされた側としては、単にパ-トナ-が尽くしたいから尽くしているとしか捉えないかもしれません。

ですから、見捨てることはないとしても、自分の価値、用事を優先して尽くしてくれるパ-トナ-との約束等を次順位にするかもしれません。
そうすると尽くすことを戦略としているパ-トナ-は、自分の尽くしていることが報われないと勝手に怒るのです。

見捨てられないためにパートナ-に尽くすのは、尽くす側の勝手な行動なのです。「これだけ尽くしているのに」「これだけしてやっているのに」と尽くしているパ-トナ-に怒りを表明した瞬間、2人の関係は終わるかもしれません。

4 罪悪感を抱かせる
パ-トナ-に罪悪感を抱かせることで自分の元に留めます。
パ-トナ-に罪悪感を抱かす具体的方法は、辛そうな顔つき、ためいき、沈黙、涙等があり、この非言語コミュニケ-ションのメッセ-ジは、「私が苦しんでいるのはあなたのせい、だからあなたは私の側にいなければならない」というものです。
この罪悪感を抱かせる恐ろしい方法は「死ぬ」ことを連想させることです。自殺をほのめかす、リストカットにはしる。自らの生命を絶つ危険性でパ-トナ-を脅し、そして、実際それが起こることを連想させることでパ-トナ-に罪悪感や恐怖を抱かせます。

罪悪感はそれを向けられたパ-トナ-を確実に縛ります。
しかし、これも弱さをPRすると同様、執拗にし過ぎるとパ-トナ-の怒りを爆発させます。それは「死ぬ」ことを連想させてもです。 なぜなら、「なぜ自分がこいつのために、こんなにも苦しまなくてはならないのか」。「もう好きにしろ」と我慢の限界に達するのです。

5 嫉妬させる
パ-トナ-に罰を与える行為です。
「君が相手をしてくれないから他の女性と親しくする」等。あからさまに行為を連想させる発言、またはその行動を見せつけることにより、パ-トナ-の嫉妬心を煽ります。パ-トナ-は相手を失うのではないかという不安に悩み、また、パ-トナ-が他の異性に惹かれる、または付き合うのは自分に魅力がないからではないかと自分を責めるかもしれません。

いずれにせよ嫉妬した側はパ-トナ-を取り戻そうと様々な手を使うでしょう。
この戦略の怖いところは、嫉妬を感じたパ-トナ-の相手を取り戻すための手段方法です。パ-トナ-に対して優しく振る舞ったり、性的に魅力的に振る舞いパ-トナ-の関心を得ようとするのはまだいいのですが、怒りに任して暴力で支配し出したら大変です。
また、嫉妬より重犯罪が起きることも周知の事実です。 嫉妬は悲しみ、不安、怒り、あらゆるネガティブな感情の複合体です。嫉妬によりパ-トナ-を縛る戦略は大変危険なのです。

さて、ここまでの分類は、ハワード・M・ハルパ-ン著、ラブ・アディクションと回復のレッスン、学陽書房を参考にしてきました。

私はこれ以外にも次の戦略を1つあげたいと思います。

6 パートナ-を無能化する
パ-トナ-に尽くすと似ているかもしれません。
これはパートナ-の面倒を見ることです。
パ-トナ-のすべきことを先に手を打ちしていきます。
すると、面倒を見てくれるパートナ-が何でもしてくれるので、面倒を見てもらうパ-トナ-は何もすることがなくなります。

そして、面倒をみるパ-トナ-は次のように思わせます。
「私がいないとあなたは何もできない」と。

パ-トナ-に尽くす場合は下手に出るイメージ゙ですが、パートナ-の面倒をみる場合は、上から高圧的に出るイメ-ジと思って頂けばいいのではないでしょうか。
いずれにせよ、他の戦略と同様パ-トナ-を支配するのです。

ここまでパ-トナ-を自分のもとに留める方法、パ-トナ-を縛る戦略についてみてきました。

問題の本質は冒頭に書きましたが、恋愛依存者の自己不確実感、自己存在の希薄さです。ですから、彼らは1人孤独になるのが耐えがたく執拗以上にパ-トナ-にしがみつこうとするのです。

これは「見捨てられることの恐れ」です。

なぜ、自分がパ-トナ-にこれほどこだわるのか、一度自分を振り返る必用もあるでしょう。
また、執拗にパ-トナ-から様々な戦略で支配されて身動きのとれない場合も、なぜ、自分がこのパ-トナ-のもとに留まっているのか、別れないのか、振り返る必用があると思います。

支配する側、支配される側、共に恋愛依存者かもしれないのです。