もっと彼に愛して欲しい

私には付き合って1年の彼がいます。
でも彼が私を愛しているのかどうかよく分かりません。
いえ、正確に言えば愛してくれているのは分かっているのですが、物足らないのです。そう、彼はそっけない人なんです。
冷たいとは言いすぎですが、あまり喜怒哀楽を出さない人です。
以前私の友達にこの悩みを相談したら、いい方法があるって言って教えてくれました。
「彼の前で泣いてもいいから、自分の彼を愛している気持ち、それから、彼にもっと愛して欲しい気持ちを思いっきり言って、感情をぶつけること。そうしたら、彼も心が動かされてあなたのことを愛するようになる。
自分の気持ちに正直になる」と自信たっぷりに教えてもらいました。

で、さっそく彼の前で「私はあなたのことが好き、もっと私を愛して」と大声で、本当に泣きながらやってみたのですが、彼の反応は無表情でした。そして、「愛とは大声を出したり、泣き叫ぶものではない」と言われました。

彼は本当にどこまで私のことを愛してくれているのでしょうか。彼の気持ちをもっと私の方を向くように変えたいのです。
[ マリリン21歳 ]

マリリンさんは彼に自分の気持ちをぶつけたのですね。それでも彼の反応は悪い。本当に自分のことを愛してくれているのか心配なのですね。マリリンさんにお会いしましたが、目がクリッとしてよく笑う、大変表情の豊かな魅力的な女性でした。一方彼について訊ねてみると、法学部大学院卒、現在司法書士事務所勤務。真面目几帳面で、あまり表情を顔に出さない人のようです。

私はマリリンさんに「本当に彼に愛してもらっていないと思う?」と訊ねたところ「愛してはくれているのだろうけど、物足らない」「もっときちんと愛して欲しい」と答えが返ってきました。私もマリリンさんの話しを聞いた限りではお互いに愛しているのだろうと感じました。

では、今回何が問題となっているのでしょうか。

2人の愛し方の問題です。愛の表現方法の問題です。

マリリンさんが彼に求めている愛の表現は、いつも「愛している」と言って欲しい。たくさん強く抱きしめ欲しい。もっと楽しそうな顔をたくさんして欲しいということなのです。そして、これら求めているものを彼が表現してくれないから、物足らないと感じているのです。

人の感性・感覚・思考、性格などは人の数だけ存在します。マリリンさんの性格は、自由に感情表現をするオ−プンな性格なのでしょう。一方彼は、真面目、几帳面。このタイプの人達に共通してみられる性格特徴は、自分を抑えること。したがって自己表現や感情表現が控えめです。ですから、マリリンさんと彼は正反対の性格特徴を持っているわけです。

ここに今回の落とし穴があります。それは、人は自分と同じ愛の表現方法をパ−トナ−に求めるということです。言い換えると自分を基準として人を判断評価しているということです。ですから自分と同じ方法で愛してくれないと、相手の気持ちさえ疑ってしまう時があるのです。

彼はあまり感情表現が得意ではありません。したがってマリリンさんが自分と同じ豊かな感情表現を求めても急には出来ないのです。感情表現の学習もしていないでしょうし、何よりも感情を出すことを自分に許してこなかったかもしれません。生育歴の過程において感情表現を禁止してきた可能性があります。だから、マリリンさんが感情を爆発させて彼にもっと愛して欲しいと言った時、彼は恐かったのではないでしょうか。なぜなら、自分に許していないもの(感情)が一気に襲撃してきたのですから。したがって、ここで彼の感情に対する恐怖の防衛が働きます。この防衛には2つの意味があります。1つは今襲撃してきた感情に対しての防衛。もう1つは自分が味わっている恐怖(慣れていない感情を感じること)の感情を感じまいとすることに対する防衛です。

→もしここで彼が防衛をしないと、彼は感情に巻き込まれ自分が禁じている感情表現、感情の爆発をしなくてはならないのです。

そして彼は彼独特の理知的な防衛をしてきたのです。「愛とは大声を出したり、泣き叫ぶものではない」これを心理学では「防衛反応・知性化」と言います。

本来防衛反応がなければ、彼女の態度に対する彼の態度は、「急にびっくりした」「何かあったの」「どうしたの」等と自然なものになるはずですが、彼は自然な流れる気持ちを抑え、代わりに知性化を用いて、愛の定義をしてきたのです。彼女のもっと愛してという気持ちと、それに対する彼の愛の定義では当然かみ合いません。

では、彼女はどのようにして彼に気持ちを伝えればいいのでしょうか。まずは自分のやり方を手放して下さい。そして彼のやり方に合わして下さい。

あまり、感情的にならず、少し物静かに自分の気持ちを伝えてみて下さい。彼と同じト−ンで話して下さい。そうすれば彼も恐がらずに防衛することもなく、落ち着いて話すでしょう。

マリリンさんにとっては少し物足らないかもしれませんが、これを積み重ねて彼の心をほぐしていって下さい。あなたの愛は彼の心を開かせます。