私は人が人生を歩むうえで一番大切なことは、自分が自分を信頼することであると思っています。
そして、このことを自己信頼感と言います。
自己信頼感とは言葉を変えると、自分が自分を信じると言ってもいいでしょう。
では、自分が自分のことを信頼する、自分が自分を信じるためには何が必要なのでしょうか?
何も必要ありません。
自己信頼感とは、今のありのままの自分に対してOKであるという感覚です。何かを持っているから自分を信頼する、何らかの地位についているから自分を信じる等、何らかの前提、条件を満たしたことにより、自分を信頼して信じるのではありません。
したがって自分が自分を信頼するのに根拠はないのです。
では、何を拠り所として人は自分を信頼していると言えるのでしょうか。
そもそも、自分に対する信頼感とは目に見えるものではなく、体の中から感覚として感じるものです。
何が起こっても何とかなるだろう、自分は大丈夫、きっとうまくいく等、漠然としたエネルギーの感覚なのです。
ですから、「なぜ、あなたは自分を信頼出来ると言えるのですか」という質問があるとすると、これは愚問です。
自分が自分を信頼するのに、自分が自分を信じるのに根拠はなく、ただ、体の芯から湧いてくるエネルギーを感じるだけなのです。
もし、先ほどの例、自分が何かを持っているから自分を信頼する、何らかの地位についているから自分を信じるとします。これはこれで理解出来るのですが、残念ながらその持っている何かや、地位は失う可能性があります。それらを持つことによって自分を信頼する、信じている人は、それらを失うことによりたちまち自分に対する信頼や自信を失うことにつながるのです。
しかし、体の芯から湧いてくるエネルギーは、何かを失うことで枯れることはありません。
もちろん、悲しみや抑うつの気持ちから一時的にエネルギーが弱まることもありますが。
自己信頼感とは、「自分なら何とか出来る」、「前へ進める」「なんとかなるだろう」等、根拠のない体の中心から湧いてくるエネルギーなのです。 そして、この自己信頼感こそが今を生きる私たちにとって、これからの人生を開く私たちにとってなくてはならないものであると思うのです。
自己信頼感を持っている人は、自分を信頼しているので、自分に自分を委ねることが出来ます。自分が自分の人生の主として人生を歩めます。
ですから、自己決断をすること、責任を負うこと、未来に向かって進むことを恐れません。
では、自己信頼感を獲得出来ていない人は、何に自分を委ねるのでしょうか。
それは不安です。
自己信頼感を持っている人は、心配事が起こっても何とかなると感じます。しかし、自己信頼感を持っていない人は、心配事が起こるとその不安に支配され悩みます。
人生を不安に覆われ、常に不安への対応、心配で頭が一杯です。 不安に悩むことは誰にでもある正常な反応なのですが、自己信頼感を獲得出来ていない人は、始終不安に支配され、起こるかどうかも分からないことに悩み続けるのです。
ですから自己決断が出来なかったり、責任を負うことを極度に恐れたり、未来に夢を描けけないのです。
さて、自己信頼感は自分を信頼することです。
そして、自分を信頼出来ないと次の2つに対しても信頼することが出来ません。
それは他者と未来に対してです。
1 他者に対する信頼
自己信頼感とは自分に対する自信であり、自分は自分でOKという感覚です。
自分にOKを出せている人は、自分が自分のことを正当に評価出来、自己評価も高く、他者からの評価を過剰に求めません。
したがって他者に振り回されることが少ないと思われます。
また、自分を確立しているので自分と他者の境界を引くことが出来、自分は自分、他者は他者として互いの違いを認めることも出来ます。
違いは違いであり、間違いではありません。
他者の個性を尊重して信頼しながらも、適度な距離を保ち親交を持つことが可能になります。
また、何か起こった時には「助けてください」と素直に言うことも出来ます。
これは、自己信頼感を持っている人が、他者に助けを依頼したとしても、自己評価が下がるとは思わないからです。
そして、この「助けてください」により自分にとってのサポート体制が築けます。
誰しも困った時に自分を助けてくれるサポートシステムがあると、心強いと思います。
しかし、自己信頼感を獲得していない人は他者に依存(自分の存在価値を他者に委ねる)することはあっても、対等な人間同志として、「助けてください」が言えず、サポートシステムを構築出来ません。
では、なぜ自己信頼感を獲得出来ていない人が「助けてください」と素直に言えないかですが、基本的に自己信頼感を獲得出来ていない人は自己評価が低いと思われます。すると、自分に対して肯定感も持っておらず「断られるに違いない」「こんな自分を誰が助けてくれるというのだ」「こんなことを頼んでバカにされたくない」等、自分に対する勝手な否定的な思い、他者よりの否定的評価を恐れて、他者に対して一歩踏み出せないのです。
しかし、人間出来ることは僅かなものです。
あることに対してはプロであっても、あることに対しては素人なのです。
助け合う、協力し合わないと物事進まないことが多々あります。
まして、自分の力だけではどうしようもない時に、素直に「助けてください」が言えないと、自分で全てを抱え込む、それ以上に出来ないことまで抱え込んで潰れてしまうかもしれません。
他者を信頼して、素直に心を開かないと、人生乗り切れない時も多々あるのです。
2 未来に対する信頼
私たちは今を生きています。
でも、本当は私たちは未来に向かって生きているのです。
今という瞬間は瞬きと同じです。一瞬はすべて過去のものとなります。
ですから、本当は今という時はないのではないでしょうか。
時間のすべては未来に向かっているのです。
では、これに関連して不安を考えてみましょう。
私たちが不安をどのような時に多く感じるかです。
おそらく私たちの不安の源はこれから先、未来に対する不安が多いと思います。
そして、自己信頼感は「何とかなる」という根拠のない自信です。
これは、「自分に対して」「他者に対して」「未来に対して」です。
したがって自己信頼感を持っている人は、これから先、未来に対して不安を抱いたとしても、「何とかなる」と思え不安に足をつかまれ身動きがとれなくなることはないのです。
人生を開くには不安を超えて活動することが必要となることが多々あります。
未来を開くには勇気を持って未来にチャレンジしなくてはならないのです。
さて、ここまで自己信頼感の大切さについて書いてきました。
では、自己信頼感が獲得出来ていない逆のパターンを見てみましょう。
それは、自分が信頼出来ない、他者が信頼出来ない、未来が信頼出来ないことです。
これは、大変恐ろしいことです。
なぜなら、何も信頼出来るものがないからです。
生きていて何も信頼出来るものがないと一体人はどうなるのでしょうか。
自分が信頼出来ず自信もなく、他者との親交もなく孤独です。そして、未来にも希望がありません。暗黒に包まれて生きているようなものです。
こうなると自分や人生に対して何の希望も持てず、自分や人生に対して無価値感、無意味感を持ち、当然、生き辛さを抱えます。そしてそこから、様々な精神疾患、体の不調、病気、アディクションへと発展していきます。
健全な生活をおくるためにも自己信頼感は大切なのです。
では、この人生にとって大切な自己信頼感はどのようにして獲得するのでしょうか。
今の私たちが自己信頼感を獲得していないとすれば、その獲得は即出来るものではありません。
自己信頼感とは人が生まれ、人生をおくり、体験をするなか、様々なことからの成功体験の積み重ねによって培われるものだからです。
人によって自己信頼感の獲得度合いは違うと思いますが、幼少期より成功体験があまりない場合は、幼少期、青年期と体験出来なかったこと、チャレンジを回避してきたことに向き合い、今から成功体験を積み重ねる体験をするしかないのです。
自己信頼感とは成功体験から獲得されるものであり、イメージとしてはそれが体の芯のエネルギ‐として変換され蓄積されていくものなのです。
そして、自己信頼感と並び大切なことは自己受容です。
自分を受容せず否定してしまいますと、自分のいいところも見失ってしまいます。
自分のいいところは、その人にとっての長所であり、それを伸ばすことによって、成功体験を積み、自分に対する信頼感を獲得出来ることもあるからです。
ですから、まずは今の自分を認め、受け入れること。
これが一番大切です。
そして、その後自分に対する課題等を洗い出し、何事にもチャレンジをしていくこと。
そして、成功体験を積み重ねること。
これによって、自己信頼感は獲得されるのです。
焦ることはありません。
一歩一歩着実に進みましょう。
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