人間関係が続かない問題の様々な心理と原因について
人間関係が続かない、その裏に隠された様々な心理と問題
人間関係は、私たちにとって非常に重要なものです。
ある人は、多くの人と深くつながり、いつまでもその関係を大切にしたいと願うでしょう。
また、別の人は、少数の親しい友人と、都度その絆を深めていきたいと考えるかもしれません。
いずれにしても、私たちは一人でいると孤独を感じやすい生き物です。
人間関係の継続は、人生を豊かにする上で重要な意味を持つと考えます。
今回は、「人間関係が続かない」という心理に焦点を当てて考えていきます。
ここで言う「人間関係が続かない」とは、人と出会って何度か会うことができ、多少は親交も深まるものの、その関係が長く継続しない状態を指します。
初対面の人と全く話せない、親しくなれない、といった「人間関係が築けない」問題とは少し異なる視点で書かせて頂きます。

Index
1.裏切られることを恐れる心理
2.「本当の自分」を知られたくない心理
3.気を遣いすぎて疲れてしまう心理
4.刺激がない関係性による退屈感
5.相手の本心を見抜き、嫌になってしまう心理
6.お金と時間の関係を優先する心理
7.「人生のリセット」という選択
1.裏切られることを恐れる心理
人との親交が深まるにつれて、「相手に裏切られるのではないか」、「騙されるのではないか」といった不安を抱く方がいらっしゃいます。
もちろん、信頼していた人に裏切られたり、騙されたりする経験は、多くの人の心を深く傷つけます。
その過去の経験から、再び傷つくことへの恐れが生まれ、自分から距離を置いたり、人を信じられなくなったりして、結果的に人間関係が続かなくなることがあります。
しかし、今目の前にいる人が、あなたを裏切ったり騙したりする根拠は本当にあるのでしょうか。
抱えている過剰な不安や悪い予感は理解できます。

でも、それはまだ「分からない」ことなのです。「分からない」のであれば、まずは関係を続け、親交を深めていくことが重要ではないでしょうか。
もし、これまでに何度も裏切られたり、騙されたりする経験がある場合は、あなた自身にも何らかの問題がある可能性も考えられます。
裏切られたり騙されたりしないためには、相手の言葉によく耳を傾け、話している内容に矛盾がないか、あるいは金銭に関わる話が多くないかなど、常に相手から発せられる情報に対する感度を高める必要があるかもしれません。
これらの具体的な方法がピンとこない場合は、心理カウンセラーなど第三者に相談することも大切です。

2.「本当の自分」を知られたくない心理
「本当の自分」を知られたくないために、人間関係が続かないと感じている方もいらっしゃいます。
ここで考えるべきは、「本当の自分」とは一体何なのか、ということです。
おそらく、劣等感が強い自分、恋人がいない自分、定職に就いていない自分など、自己イメージの中の「負の側面」を「本当の自分」と捉えているのではないでしょうか。
ですが、よく考えてみてください。
もし、あなたが付き合っている人たちが、そうした「本当の自分」や、今置かれている状況、あなたが心理的に「負」とレッテルを貼っている事実を知ったとして、果たしてあなたを嫌ったり、突き放したりするでしょうか?

「本当の自分を知られたら嫌われるかもしれない」という悩みや不安は理解できますが、そのために人間関係が続かないのは、あまりにももったいないことだと感じます。
逆に、あなたが友人の抱える「本当の自分」の悩みを知った時、その人を嫌ったり、突き放したりするでしょうか?
むしろ、「そういうことで悩んでいるのか」と相手への理解が深まるのではないでしょうか。
「本当の自分を知られたくない」という悩み、もう一度考え直してみませんか?

3.気を遣いすぎて疲れてしまう心理
「人とは付き合っていたいし、人間関係も維持したい。でも、どうしても人といると気を遣いすぎて疲れてしまい、人間関係を続けるのが難しい」と感じている方もいらっしゃるでしょう。
人に気を遣いすぎて疲れるという問題は、心理カウンセリングでも多くご相談いただく心の悩みです。
この場合のアドバイスとしては、過剰に人に気を遣わないことです。
あなたの周りの人は、あなたと同じように過剰に気を遣っているでしょうか?
もしそうでないなら、なぜあなた一人だけが、過剰に気を遣わなければならないのでしょうか?
もしかすると、「気を遣わなければ、自分の存在価値がない」といった思い込みがあるのかもしれません。
これは、あなた自身を苦しめる思い込みです。
このような思い込みは手放しましょう。
思い込みを手放すためには、カウンセリングも有効な手段となり得ます。

4.刺激がない関係性による退屈感
人間関係が続かない、継続しない心理の問題として、「慣れ合った関係性に対する退屈感」を抱く場合があります。
たとえば、いつも同じメンバーで集まって、騒いだり、盛り上がったり、日々のことを話したりする関係性の場合、会う回数が増えても、あまり雰囲気も話題も変わらないと感じることがあるかもしれません。
もちろん、雰囲気や話題が変わらないこと自体には問題ありません。
騒いだり、盛り上がったり、日々のことを話すことを楽しみとして、関係性が続いているのであれば、それはそれで良いのです。

しかし、自己の理想を語りたい、夢を実現したい、個性的に生きていきたいと考える人にとっては、変化のない集まりや関係性は退屈に感じてしまうでしょう。
彼らが求めているのは刺激であり、安定した関係性ではないのです。
これは、ある意味で生き方の違いと言えるかもしれません。
刺激を求める方は、自身の理想や理念、夢の実現といった価値観を共有できる人との関係性を築くことが最も重要だと考えます。

5.相手の本心を見抜き、嫌になってしまう心理
私は心理カウンセラーという職業柄か、飲みに行った際にも、人の話を聞く割合が多いです。
人は話したがるもので、お酒が入ると、いつも以上によく話します。
しかし、ここで気を抜くと、言わなくてもいいことまで話してしまう、ということが多々起こります。
その時、私は相手の本心を見抜き、「この人とは今後付き合わないでおこう」と判断し、関係を遮断してしまうことが多々あります。
結果として人間関係が続かないことがあります。
これは、観察、洞察、推察、分析のし過ぎなのでしょうか?
それとも、寛容性の欠如なのでしょうか?
しかし、相手の本音を聞いて不快を感じたとしたら、その不快を感じた人と個人的な関係性を続ける意味は本当にあるのでしょうか?
この問いは、人間関係の継続において、自分自身の心地よさをどう優先するか、という重要なテーマを示唆しています。

6.お金と時間の関係を優先する心理
人間関係は、私たちの人生における大切な資産の一つですが、関係を続けるためには、お金と時間を費やす必要があります。
忙しくて時間を最優先したい人や、お金が減ることに強い抵抗を感じる人にとっては、人間関係を継続することよりも、自分だけのために時間を使ったり、お金を守ったりすることに価値を置く傾向が高くなります。
そのため、人間関係を続けることにあまり価値を見出せず、結果として人間関係が続かないという状況になることもあります。
これは、個人の価値観やライフスタイルの選択が、人間関係のあり方に影響を与えている一例と言えるでしょう。

7.「人生のリセット」という選択
今の自分が嫌で、新しい人生を求め、新しい自分になりたいという気持ちが強い人もいます。
このような方は、自ら人生の節目を作り、新しい自分と人生を目指そうとします。
その節目として選ばれるのが、今までの人間関係を切り捨てることです。
これは、過去との決別を意味する行為でもあります。
新しい自分、新しい人生を創り出したいという気持ちは理解できます。
しかし、そのためだけに、これまで築いてきた人間関係を切り捨てるのはどうでしょうか。
なぜなら、冒頭でも述べましたが、人は一人で生きていくことは難しく、生きていく以上、必ず人とのつながりや助けが必要になるからです。
新しい自分、新しい人生を送り、創造するためにも、これまでのお付き合いがあった人間関係を大切にされた方が良いのではないでしょうか。

人間関係の悩みは尽きないものですが、本記事が、あなたの人間関係を見つめ直すきっかけとなれば幸いです。
もし、これらの心理に心当たりがあり、どうすれば良いか悩んでいる場合は、ぜひ専門家である心理カウンセラーにご相談ください。
お役に立つのではないでしょうか。