対人恐怖症:人との関わりに不安・苦手意識を感じるあなたへ
近年、人との関わりに不安や恐怖を強く抱く方が増えてきています。
かつては「対人不安」という言葉が一般的でしたが、最近では「対人恐怖症」という表現を使う方が増えており、当サイトでも時代の流れに合わせて「対人恐怖症」という言葉を主に用いています。
なお、心理オフィスステラでは、精神疾患に対する医療的なカウンセリングは行っておりません。ただし、「対人恐怖症」という言葉が、かつての「対人不安」の進化形として一般用語化してきている現状を踏まえ、症状が重篤でない場合に限り、対応をお引き受けしています。
まずご理解いただきたいこと ― 不安と恐怖の違い
不安:結果に対する恐れに支配されている。落ち着かない様子。
恐怖:自分の身に危害が加えられる感じがして、極度に不安になること。
(三省堂 新明解国語辞典より)
現代では「対人恐怖症」という言葉が広く使われるようになりましたが、本来「恐怖」とは非常に強い感情です。ではなぜ、あえてこの言葉が選ばれるようになったのでしょうか。
その背景には、悪口や中傷、いじめ、仲間外れ、家庭内暴力(DV)といった、他者からの攻撃的な行為の顕在化があると考えられます。これらの行為は、心だけでなく、時に身の危険をも感じさせるものです。
つまり、現代社会そのものが「人に傷つけられる恐れ」を抱きやすい環境であるため、「対人恐怖症」という表現が一般化したのではないかと思われます。思いやりの欠如や、分断を生む社会的風潮が、私たち一人ひとりに、いつ・どこで・何がきっかけで心を傷つけられるか分からないという不安感を抱かせています。
そして、不安と恐怖の境界があいまいになり、それらがひとまとめに「対人恐怖症」と表現される傾向が強まっているように感じます。もはや、厳密な区別は実生活の中でそれほど重要ではなくなってきているのかもしれません。

対人恐怖症の一般的な症状
・人と話すのがつらい
・視線が気になる
・相手にどう思われているのか過度に気になる
・人前で強い緊張を感じる
・その場から逃げ出したくなる
これらの症状が見られる場合、以前は「対人不安」とされていたものが、今では「対人恐怖症」と呼ばれるようになっています。
私自身も、子供時代から約30年にわたり、人との関わりに不安を感じてきました。漠然とした怖さや緊張感を常に抱え、コミュニケーションに大きな困難を感じることも多くありました。その経験を活かし、現在は大阪にてカウンセリングを行っております。

対人恐怖症・対人不安・人が苦手に対する問題と解決について
- 01:対人恐怖症の正式名称
- 02:人はなぜ対人恐怖症に陥るのか
- 03:対人恐怖症の様々な具体的な問題
- 04:私の具体的な人と接する時の心構え
- 05:受け賜わっていない対人恐怖症の状態の心理カウンセリング
01:対人恐怖症の正式名称
さて、「対人恐怖症」ですが、実は(DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き)においては、正式な精神疾患の用語として記載されていません。
記載されている用語は、「社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)」SAD、です。
具体的な症状を簡潔に書きますと
【A】
他者の注目を浴びる社交の場に対する、恐怖と不安。
雑談、会食、他者の前で何らかの動作を行うことに対する不安。
【B】
ある振る舞いや、不安症状を見せることから、否定的評価を受けることを恐れる。恥をかく、拒絶される、迷惑になることを恐れる。
【C】
不安を感じる人と接する場を回避、または、強い不安、恐怖を感じながら耐え忍ぶ。
他にも症状等は記載されているのですが、上記3つが、主だった対人関係の不安・恐怖の問題と認識します。
また、これらの症状は、いずれも「人と関わること」に対する過剰な緊張や恐怖として表れます。日常生活に支障をきたすレベルであれば、専門的な対応が必要となることもあります。

02:人はなぜ対人恐怖症に陥るのか
a)過去の心の傷が未来への不安を引き起こす
過去に人間関係でつらい経験をした人は、
「また同じようなことが起きるのではないか」
という不安を持ち続ける傾向があります。
いじめ、裏切り、無視、批判――これらの記憶は、脳に深く刻まれ、無意識のうちに未来の人間関係への恐れとして現れます。
特に、幼少期に親や周囲から刷り込まれた不安や恐怖心は、心の深層に根を張り、「人と接すること=傷つくかもしれない」という漠然とした強い不安に変化します。
たとえ今、安全な場所にいたとしても、人は「未来」を思い描きながら生きる生き物です。その想像が不安に傾けば、対人恐怖も強まっていくのです。

b)他人の評価を気にし過ぎる
対人恐怖症の方は、自分の言動が他人にどう見られているかに強く意識が向きます。
「嫌われているのではないか」
「変だと思われているのでは」
「迷惑をかけているのでは」――
このような思考が頭を占め、やがては自分自身への否定感へとつながっていきます。
とりわけ過去にいじめや否定的な経験がある方は、同じことがまた起きるのではないかという恐怖(いわゆるフラッシュバック)を感じることがあります。
しかし、他人が自分をどう思っているのか、本当のところは誰にも分かりません。
それにもかかわらず、「自分は否定される存在だ」と決めつけてしまうことで、ますます人との関わりが怖くなり、最終的には人を避けるようになることもあります。

c)自己受容が出来ず他者を受け入れられない
人は、他人に受け入れられ、認められることで、自分を肯定的に受け入れる(=自己受容)ことができるようになります。
この土台は、幼少期の親や養育者との関係の中で培われるものです。
もしも、その過程で否定されたり、期待や価値観を一方的に押し付けられたり、虐待を受けていたとすれば、
「自分は受け入れられない存在だ」
という感覚が根づいてしまいます。
その結果、他人の否定にも敏感になり、さらなる自己否定や対人恐怖へとつながっていきます。
学校や職場でのパワハラなどがそれに追い打ちをかけることもあります。
自己受容ができないと、「また否定されるのでは」「また傷つくのでは」という思いが強くなり、人との関わりを避ける傾向が生まれます。
対人恐怖症を克服するためには、まず他者から受け入れられる経験を通じて、少しずつでも「自分を受け入れる力」を取り戻すことが重要です。
d)SNSの発展が生む新たな不安
SNSは便利なツールである一方で、匿名性の高さゆえに、誹謗中傷や陰湿な言葉の温床になることも少なくありません。
「どこで自分が悪口を言われているか分からない」
「誰が自分を見ているのか分からない」――
こうした不安は、人に対する疑念や恐怖をさらに強めてしまいます。
実際にSNS上での誹謗中傷が原因で、心を病み、対人恐怖を深めてしまうケースも増えています。
この問題は国レベルでも深刻視され、近年、法的な整備も進められています。

03:対人恐怖症が引き起こす具体的な問題
a)人と居るだけで不安や震えを感じる
私自身にはそのような体験はありませんが、人と一緒にいるだけで、あるいは特定の人を思い浮かべるだけで震えが生じる場合、精神科や心療内科の受診をお勧めします。
心理カウンセリングで改善するか否かは、カウンセラーの力量にもよりますが、対人恐怖症を心の病気と捉えれば、まずは医師の診断を受けることが大切です。
b)ひきこもりや社会生活の困難を招く
人との関わりに強い不安や恐怖を感じる方は、対人関係による苦痛を避けるため、また心を守るために「ひきこもる」という選択をする場合があります。
私はひきこもり自体を否定も肯定もしませんが、その期間が長期化するほど、社会復帰が難しくなるのは現実として存在します。
c) 話せない・目を合わせられない・声が小さくなる
人と話す際、「どう思われるか分からない」という不安や恐怖が強いと、その行為自体が苦痛となり、会話を避ける傾向が出てきます。
また、対人不安の影響で目を合わせることができなかったり、心の萎縮により声が小さくなってしまうこともあるでしょう。
こうした様子は、周囲から「変わった人」と見なされやすく、いじめや誹謗中傷につながる危険性もはらんでいます。
d)人に合わせ過ぎ自己が分からなくなる
人との関わりに苦手意識を持つと、否定や批判を恐れて自分の意見を言わず、他者に合わせ過ぎることがあります。その結果、「自分が何を考えているのか」「何を感じているのか」が分からなくなり、アイデンティティの未確立という問題に発展する可能性があります。
周囲からは、自分の意見を持たない人だと判断され、評価を下げてしまう悪循環に陥ることもあるでしょう。

e)コミュニケーションのひとり相撲
本来、会話とは相手との相互的なやりとりですが、対人恐怖を抱える人は、相手に評価されることへの不安から、一方的に話し続けてしまうことがあります。
これは「退屈な人」と思われたくない、何とかその場をやり過ごしたいという心理からくる行動であり、結果として相手との対話にならず、「変な人」と思われてしまうリスクを高めます。

f)人から心を傷つけられないために自分を演出する(キャラ変)
対人恐怖を抱える人は、他者から否定されることに非常に敏感です。そのため、心の安全を守る手段として「本当の自分ではない自分」を演じてしまうことがあります。
現代社会では、同調圧力が強く、それに順応する“カメレオン的な振る舞い”が時には必要とされるかもしれません。しかし、過剰な自分演出は不自然であり、心の疲労を招く原因にもなります。

まとめ
これらの問題は、すべて「他者との関係性の中で自分をどう保つか」という点に帰着します。対人恐怖を克服するには、自分自身を理解し、受け入れ、他者との健全な距離感を築くことが重要なのです。
04:私が実践してきた「人と接する心構え」
~対人恐怖症・対人不安・人への苦手意識を克服してきた経験から~
a)表情が伝える安心感
基本的には、なごやかな表情が好ましいと感じています。 自分自身が不安から険しい表情になってしまうと、相手にも緊張や不安を与えてしまうかもしれません。
無理に笑顔でいる必要はありませんが、人が安心して話しかけられるような、穏やかな表情を心がけると良いでしょう。
口角を自然に上げるための練習として、割りばしを口に挟む方法もおすすめです。
口角が上がると、少しニコやかな、穏やかな表情になります。
b)聴き上手は人間関係を育てる
私は幼少期から、自分のことをあまり話さない癖がありました(特に親が話を聴いてくれなかった経験が影響しています)。
今では心理カウンセラーとして、相手の話を丁寧に聴くことを大切にしています。
他者の話に真剣に耳を傾ける人は意外と少なく、聴き上手であることは良好な人間関係を築くための大きな力になります。
もし興味があれば、心理カウンセラーの養成講座などで傾聴の基礎を学ぶのも良いと思います。

c)他者の評価を気にし過ぎないこと
他者からの評価を過剰に気にしてしまうと、自分の気持ちや考えを抑え、常に他人に合わせるようになってしまいます。
それでは、自信や自己肯定感、そして「自分を認める感覚」は育ちません。
実際に、他者の気持ちや評価を自分が完全にコントロールすることはできません。
「最善を尽くしている自分」を自分自身が評価すること。それこそが、他人の目に振り回されない、自分らしい生き方に繋がります。
d)今日の小さな成功を振り返る
対人恐怖症と自信・自己信頼感の問題は密接に関係しています。
そのため、1日の終わりに「今日できたこと」「少しでも良かったこと」を箇条書きにして振り返ることをおすすめします。
特に人間関係でうまくいった場面や、もらった褒め言葉などを素直に受け取ることで、自信や自己信頼感の向上に役立ちます。

e)人間関係は“ほどほど”がちょうどいい
人間関係はもちろん大切ですが、気にしすぎると自分を見失いがちです。
すべての人とうまくやる必要はありません。合わない人がいても当然ですし、不安を感じる必要もありません。
無理をせず、適度にやり過ごす。これも立派な対処法です。
適度にやり過ごす方法が分からない場合は、カウンセリングを受けることも有効です。
f)個性を受けいれること
現在の私は、対人恐怖や人に対する強い不安はほとんどありませんが、人と騒ぐことは得意ではなく、内面を分かち合うような静かな関係を好みます。
これは私のHSP気質(繊細で敏感な性格)に関係しているのかもしれません。
とはいえ、「人が怖い」「関わりたくない」という感覚は過去のものとなりました。
(面倒臭い人とは関わりませんが・・・)。
あなたも、自分の個性を大切にしてください。
そして、自分なりの心地よい人間関係を築いてください。
人は皆、それぞれ違っていていいのです。
g) 真の人との交流は“気の合う人”とだけでいいという考え方
「対人恐怖なのに、人と交流なんて無理です」と感じる方もいるでしょう。
そのお気持ちはよく分かります。
私は、すべての人と交流する必要はないと思っています。
大切なのは、気の合う仲間とだけ、心地よい関係を築くことです。
どこにでも、悪口を言う人や人を傷つける人はいます。
そういう人を変えることはできません。
また、気の合わない人と深く付き合うことは心が疲弊し、現実に難しいことでしょう。
だからこそ、そういう人達とは、そっと距離を置き、自分と合う人たちとの関係を大切にしましょう。

h)小さな一歩から始めることの大切さ
人との関わりが怖いときに、いきなり多くの人と接しようとするのは大きな負担になります。
まずは、「挨拶する」「目を合わせてありがとう」を言う等、小さな成功体験を積み重ねることを意識してみてください。
そして、チャレンジして出来た自分をほめること、認めることも大切です。
小さな一歩が、やがて大きな自信に繋がっていきます。
i) 自分のペースで歩むこと
克服のスピードに正解はありません。
他人と比べる必要はまったくなく、「自分のペースで、少しずつ進めばいい」のです。
ゆっくりでも、自分をいたわりながら進んでいけば、必ず心は前に向かいます。
j)一人で抱え込まない
悩みや不安を一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談することもとても大切です。
話すことで気持ちが整理されたり、安心を得られることもあります。
話すことは自分を大切にしていることであり、話すことは、弱さではなく、強さです。

05:受け賜わっていない
対人恐怖症状態の心理カウンセリング
心理オフイスステラでは、私(心理カウンセラー)の経験を活かして、対人恐怖症、対人不安のご相談を受け賜わっております。
しかし、私自身は対人不安の傾向はありましたが、人に恐怖心を抱いたことは、さほどありません。
今は、不安と恐怖が混在しての、対人恐怖症と捉えますが。
受け賜わっていない心理カウンセリングの、対人恐怖症の方の状態です。
・NG全く話せない方
・ NG人と居るだけで震えがくる方
・NGある特定の方に対する恐怖心
以上です。
また、ご相談内容によっては心理カウンセリングを受け賜われないこともあります。
ご了承ください。