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ストレス&イライラからの解放のために

「ストレス」という言葉は、私たちの日常に深く浸透しています。
心や体に何らかの負担がかかる状態を指しますが、実はストレスそのものが全て悪いわけではありません。

適度なストレスは、私たちに活力を与え、目標達成のための原動力となることもあります。

しかし、そのストレスが過剰になったり、慢性的に続いたりすると、心身に大きな負担となり、私たちの生活に悪影響を及ぼします。まさに、重い荷物を背負い続けるように、心も体も押しつぶされそうになるのです。

この記事では、まずストレスを外圧(外部からのストレス)」「内圧(自分自身から生じるストレス)」の2つの側面から掘り下げていきます。さらに、見過ごされがちな「我慢と抑圧」が引き起こすストレスやイライラのメカニズム、そしてそれらから解放されるための具体的な方法についても詳しく解説していきます。

ストレスとイライラの原因と対応:深い理解が解放への第一歩

Index

1.ストレスの要因:外圧と内圧を知る

ストレスを心身にかかる「負荷」や「圧力」と定義すると、その要因は多岐にわたります。
ここでは、私が提唱する「外圧」と「内圧」という視点から詳しく見ていきましょう。

外圧によるストレス

外圧とは、文字通り、外部から自分に対してかかる負荷や圧力のことです。
例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • 過剰な仕事量:終わりの見えない業務に追われる
  • 親からの過度な期待や干渉:自分の意思とは異なる価値観の押し付け
  • 夫婦間の継続的なトラブル:関係性の悪化による精神的疲弊
  • 騒音や人間関係の摩擦:日常生活における不快な刺激

このように、外圧のストレス源は人それぞれ異なります。
同じ出来事でも、ある人には大きなストレスでも、別の人にはそうでないこともあります。
これは、その人の性格特性、気質、物事の捉え方が大きく影響しているためです。
また、その人が置かれている現在の状況によっても、ストレスの感じ方は変わってきます。

内圧によるストレス

多くのストレスは外部からもたらされますが、「内圧」とは一般的にはさほどストレスにならないような対象や出来事に対して、その人独自の性格や気質、感覚が強く働き、自ら負荷や圧力を強化している状態を指します。

これは、外部からの刺激に対する「反応の仕方」が、結果的に内圧のストレスを生み出すことが多いからです。
より正確には、外圧と内圧が混在したストレスと考えることもできます。

では、自分自身がストレスを生み出し、または強化してしまう内圧の要因には、どのようなものがあるのでしょうか?

  • 完璧主義 :「こうあるべき」という理想が強すぎると、現実とのギャップに苦しみ、できない自分を責めてしまいがちです。これは、自分自身に過度な負荷をかけ、焦りからストレスが生じ、さらに完璧を目指す行動へと駆り立てられる悪循環を生みます。心身が限界を超えた無理な行動につながり、疲弊してしまうのです。

  • 強い責任感 :責任感が強い方は、完璧主義と同様に、その強さゆえに全てを完璧に果たそうとします。これにより、心理面だけでなく行動面にも大きな負荷がかかり、心身ともにストレスを増大させます。一見すると外圧のように思えますが、他者に頼ることなく、一人で全ての責任を背負い込もうとする傾向が強いため、これも内圧が関係したストレスと言えます。

  • 過敏(気にしすぎる): 些細なことでも過度に気にしてしまう「過敏反応」は、心に大きな負荷をかけ、ストレスをもたらします。聴覚、視覚、嗅覚などの感覚が鋭敏であったり、「自分が悪く言われているのではないか」と自己関連付けしてしまったり、先のことを過度に心配し続ける「反芻思考」、神経質さ(感受性の高さ)なども含まれます。こうした強い感覚や思考の反応は、強いストレスを招くことになります。

ストレス耐性

同じ経験をしても、ある人はさほどストレスを感じず、別の人は強いストレスを感じることがあります。これは「ストレス耐性」の違いによるものです。

そこには、経験に対する予期不安の高さや、何事も悪い方に考えてしまう思考の癖、悲観的な思考が影響していると考えられます。

生育歴、特に幼少期に親から十分な受容を得られなかった経験や厳しく育てられた経験がある場合、脳の扁桃体(感情を司る部位)が肥大し、出来事や未来に対して過剰に反応したり、ネガティブなことを考え続けたり、不安を起因とした思考や感覚の問題、繊細さにつながるとも言われています。

2.強いストレスを受け続けると人はどうなるのか

冒頭でも述べたように、ストレスそのものは悪ではありません。しかし、その状態が継続すると、心身に深刻な影響を及ぼします。

  • 完璧主義な人が完璧を目指し、自分に負荷をかけ続けると、客観的な判断能力を失い、自己を責めることに専念してしまうかもしれません。

  • 何かに過敏な人は、常にその対象に注意が向き、さらにストレスに敏感になります。些細なことでも過剰に反応し、問題行動を引き起こす可能性もあります。(例:工事現場の音に過敏に反応し、過度なクレームを繰り返すなど)

  • 予期不安が高い人や、先のことを心配しすぎる人は、ネガティブな思考の反芻により、脳内物質のバランスが乱れ、うつ病を発症するリスクが高まります。

  • 過剰な仕事量を抱える人も、無理な頑張りが続くことで、うつ病などの精神疾患を患うことはよく知られています。

そして、強いストレスを受け続けると、自律神経の交感神経が優位な状態が続き、リラックスできなくなります。常にイライラし、些細なことでも過剰に反応してしまうことで、さらにストレスを高め、さまざまな疾患へと移行する可能性が高まります。

また、常にイライラしている方は、我慢の耐性が低くなり、ちょっとしたことでも感情が爆発しやすくなります。それが、本来のストレス源とは関係のない人間関係のトラブルを招くこともあるため、注意が必要です。

3.我慢・抑圧・イライラから生じるストレス

ストレスの要因として外圧と内圧について見てきましたが、ストレスの負荷や圧力を考える上で、「我慢」「抑圧」「イライラ」は切り離せない要素です。

例えば、家の中で子供が騒いでいるとします。
親は最初は我慢し、抑えつけようと努力するでしょう。

しかし、子供が騒ぎ続けることで、親は徐々に負荷を受け、イライラが募り、最終的には高いストレスとイライラが感情のコントロールを奪い、感情が爆発し、子供を怒鳴りつけてしまう。
このような状況は、私たちの日常生活で頻繁に起こり得ます。

また、目標に向かって努力する際に負荷がかかることは、目標達成への推進力となることもあります。しかし、目標や課題が高すぎると、過度な負荷がかかり、ストレスに押しつぶされそうになることもあります。

さらに、目標達成とは関係なく、日常生活における我慢や抑圧(近隣からの騒音、家庭内の問題など)が、募るイライラを通じてストレスを高める場合も多々あります。

このように考えると、私たちは職業生活、日常生活のあらゆる場面で、さまざまなストレスに囲まれて生きていると言えるでしょう。

4.ストレスより解放されるためには:具体的な対処法

ストレスから解放されるためには、まず何がストレスを招いているのかを特定することが重要です。その原因に応じて、適切な対処法を見つける必要があります。

  • 仕事量が多すぎる場合:上司との相談や業務の調整が必要です。

  • 人間関係で言いたいことが言えず、我慢の連続の場合:自分の気持ちを効果的に伝えるスキル(SST:ソーシャル・スキル・トレーニング)を学ぶことが有効でしょう。

  • 常に自分を悪く考えてしまう方や、ネガティブな反芻思考でストレスを招いている方:客観的な思考力を養うこと、認知行動療法などが有効な場合があります。

  • 過敏な方:リラクゼーション技法(呼吸調整、筋弛緩法など)やマインドフルネスなどが有効です。ストレスを強く感じる方は、自律神経の交感神経が優位になりやすく、呼吸が浅く、リラックスが苦手な傾向があります。呼吸はリラックスへの重要な鍵の一つです。

  • 自分では解決できない問題でストレスを抱えている場合(ブラック企業勤務、騒がしい環境など):大きな決断が必要となるかもしれませんが、環境を変えることも視野に入れる必要があります。

  • ストレスにより心身の不調を感じる場合:うつ病、パニック障害、強迫性障害などの精神疾患につながる可能性もありますので、精神科や心療内科の受診をお勧めします。医師の許可のもと、心理カウンセリングも有効な手段となります。

ストレスは、私たちの生活の質を大きく左右する重要な要素です。
一人で抱え込まず、適切な対処法を見つけ、心穏やかな毎日を取り戻しましょう。