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人から受けた恩を忘れやすいのはなぜ?

誰かから助けてもらったり、親切にしてもらったりした恩を、私たちはつい忘れがちになっていないでしょうか。もちろん、受けた恩を一生涯忘れずに感謝する人もいます。
その恩が、その後の人生の指針となることもあるでしょう。

しかし、人からの親切や助けが「当たり前」のように続くと、私たちはその恩を忘れやすくなる傾向があります。
なぜなら、その恩を受けることが日常の一部となり、「当たり前のこと」だと心が勘違いしてしまうからです。

そして、相手が何らかの理由で助けてくれなくなった時、人は怒りや不満を相手に向けてしまうことさえあります。
これは、相手が自分を満たすのが当然だという心理状態になっているためです。

この記事では、人がなぜ恩を忘れてしまうのか、その背景にある心理と、恩を忘れない生き方について考えてみたいと思います。

恩を忘れてしまう4つの心理的原因

恩を恩とも思わなくなる心理には、いくつかの原因が考えられます。

Index
1.忙しさと新しい刺激の連続
2.恩着せがましい相手への複雑な感情
3.他者を利用する心理と依存症
4.助けてもらうことへの罪悪感
5.恩を返す生き方、そして「受援力」

1.忙しさと新しい刺激の連続

私たちは日々を忙しく生き、常に新しい情報や刺激を求めています。
過去に受けた恩も、時が経ち、置かれている状況が変われば、記憶の片隅に追いやられてしまうことがあります。

これは「恩知らず」というよりも、日々の目まぐるしい変化に過去の記憶が埋もれてしまう感覚に近いかもしれません。

経済の縮小や過重労働が当たり前になった現代社会では、今を生きるだけで精一杯となり、過去をゆっくり振り返る心の余裕を持つことが難しいのです。

それでも、「今の自分があるのは、あの時助けてくれた人のおかげだ」と感謝を忘れない人もいます。
過去を思い出す時間が減ったとしても、感謝の気持ちを意識的に持ち続けることが大切です。

2.恩着せがましい相手への複雑な感情

助けてもらっているのに、心から感謝できないこともあります。
その理由の一つは、相手の「恩着せがましい」態度や、助けることで優位に立ちたいという傲慢な心理を見抜いてしまうからです。

相手は意識していないかもしれませんが、恩を受ける側は、その言葉や態度から隠された意図を冷静に読み取ることができます。
このような相手から助けを受けると、恩には感謝しつつも、どこか割り切れない複雑な気持ちが残ります。

恩着せがましい相手に長く助けてもらうのは、あまり得策ではありません。
なぜなら、その恩によって相手に縛られてしまう可能性があるからです。
このタイプの恩は、感謝の気持ちを抱きつつも、忘れてしまいたいと思うかもしれません。

3.他者を利用する心理と依存症

人から親切にしてもらうことばかりを求めている人もいます。
このような人は、恩を受けても心から感謝することはないでしょう。
同じ手口で他人を利用し、楽をしようと考えるのです。

また、「他者依存症」や「恋愛依存症」の人も、受けた恩に対する感謝の気持ちが薄い傾向にあります。彼らは、他者から助けてもらうことを当然だと考え、自分の心の穴を他者に埋めてもらいたいという気持ちが強いからです。

いずれにせよ、このような態度はいつか周囲から見抜かれてしまいます。
人を利用したり、依存したりするのではなく、自分自身で自立しようとすることが、真の解決策となります。

4.助けてもらうことへの罪悪感

過去に誰かに助けてもらった恩を忘れてしまう背景には、助けてもらったことに対する「罪悪感」が隠れていることもあります。

自分は何もできなかったのに助けてもらった、という事実が、自尊心の低い人にとってはつらく感じられることがあります。
その罪悪感から、助けてもらった記憶そのものを無意識のうちに薄れさせようとすることがあるのです。

この場合、恩を忘れてしまうのではなく、恩を「忘れよう」としているのかもしれません。
これは自己防衛の一つであり、自分の弱さや無力感と向き合うことが、恩を心から受け入れ、感謝することにつながります。

5.恩を返す生き方、そして「受援力」

恩を受けた経験がある人は、その恩を「恩返し」として、今度は自分が誰かを助ける側に回ることができます。

受けた本人に返す必要はありません。
困っている誰かに手を差し伸べることが、恩を返すことにつながるのです。
これが、人として大切な「恩義」ではないでしょうか。

また、恩を忘れないためには、自分が助けてもらった時のことをノートに書き留めたり、感謝の気持ちを言葉にして伝える習慣をつけるのも良い方法です。

そして最後に、恩を受ける側として大切なことをお伝えします。「助けてください」と誰かに頼むことは、勇気がいることです。
しかし、時には助けを借りなければ乗り越えられない壁もあります。そんな時、あなたが誰かの好意や協力を得やすい人である必要があります。

それは難しいことではありません。
日頃から人間性の向上を心がけ、謙虚に、感謝の気持ちを持って人と接すること。
それが、誰かから助けてもらう力、つまり「受援力」を高めるヒントとなるでしょう。

私たちは一人では生きていけません。
太古の昔から、人々は助け合いながら生きてきました。
現代を生きる私たちも、その知恵を忘れずに生きていきたいものです。

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