家族・親子間の固定したル-ルと役割と境界の問題

前回、アダルトチルドレンの機能不全家族の問題として、親子間の境界がないことを挙げました。
境界がないと自分を確立することが出来ません。

今回は境界がないこととの関連で、家族間の固定したル-ルの問題と、役割の継続について書きたいと思います。

アダルトチルドレン 境界の大切さ

まず、家族間の固定したル-ルについてです。

例えば親が子供に愚痴を聞かせ続けます。子供は親の話しを一生懸命聞いて親をなぐさめます。
このパタ-ンがずっと続くと、家族・親子間のル-ル、すなわち子が親の愚痴を聞かなければならない、というル-ルが固定されたことになります。

もちろん親子間の境界のないル-ルです。
そして、このル-ルが固定した結果、子供はなだめ役の役割を、親子間において継続して果たすことになるのです。

アダルトチルドレンの子供時の問題は、親子間での境界がないこと、そして、家族・親子間での固定したル-ルの存在と、継続して果たす役割にあるのです。

この問題を抱えたまま、大人になりますと、子供時と同じく、自分と他者の境界がなく、子供時背負っていたのと同じ役割を、大人になっても果たし続けることになります。

先のなだめ役、親の愚痴の聞き役を、子供時の役割として果たして続けたてきた場合、大人になっても他者のなだめ役、愚痴の聞き役に徹することが考えられます。

子供時と同様、自分の本当の気持ちを抑圧して、聞きたくもない話しを聞き続け役割を果たし続けるのです。

これは過去に縛られていることであり、この縛りがアダルトチルドレンの生き辛さの原因でもあるのです。

しかし、大人になった今、子供時家族・親子間で果たしていた役割を継続して果たす必要があるのでしょうか。

ありません。

しかし、無意識的でしょうが、子供時背負っていた役割を大人になった今も、他者との関係において果たし続け、他者との境界が築けないことが生き辛さの原因ともなっているのです。

したがって、過去の親子関係、家族関係を振り返り、どのようなル-ルが存在していたのか、そして、どのような役割を果たしていたのか、そして、その背負った役割を今も継続していないか、振り返ることはアダルトチルドレンの生き辛さからの回復には大切なことなのです。

さて、ここで前回の続きです。
他者との境界がないことについて、詳細を記したいと思います。

「アダルトチャイルドが人生を変えていく本」
アスク・ヒュ-マン・ケア研修相談センタ-編より紹介です。

境界には、身体的境界、感情と意志の境界、責任の境界の3種類があります。

A 身体的境界

身体が安全で心地よく感じられるための境界です。

身体を危険や極度の消耗から守ること、不快な接触をされないこと、自分の所有物や自分の空間を相手に侵されないことが含まれます。

身体的境界を守るための、原則を示しておきます。

1 疲れたら休む

2 自分にとって心地よいかどうかを大切にする

3 あなたのプライバシ-を侵したり、あなたを物のように扱う人には近づかない

B 感情と意志の境界

自分の感情や考えを大切に行動するための境界です。

感じ方、考え方を他人にコントロ-ルされないこと。他人との違いを認めあえること、自分で行動を決定できること、思ったことを言葉にするかどうか自分が選択できることが含まれます。

感情と意志の境界の混乱を避けるための、原則を示しておきます。

1 相手の感情と、私の感情は別。私の感情は私だけのもの。

2 相手の感情について、私は責任を負わない。

3 相手の感情を、私はコントロ-ルしようとしない。

4 私の感情を表現するか、しないかは、私が選択する。

5 私の行動は、私が決める。

6 私の行動を他人がどう評価するかは、私の価値には関係ない。

C 責任の境界

あなたも相手も、自分自身の責任において生きるための境界です。

自他の責任を区別すること、共通の問題について責任とリスクを分担すること、ギブ&テイクの関係を保つことが含まれます。

責任の境界線を引けないと、誰かがあなたにもたれかかることを許したり、あなたが誰かにもたれることになります。関係のバランスがくずれ、不健康なものになってしまうのです。

責任の混乱を避けるための、原則を示しておきます。

1 相手の責任と、自分の責任は別。
私は、自分が乗り出す前に「これは誰が負うべき責任か」を自分に問う。

2 相手に代わって自分が責任を負うことはしない。
相手に対する自分の責任を果たす。

3 相手の問題をなんとかするのでなく、問題に悩む相手に共感する。

4 相手を困難から救い出すのでなく、相手を力づけ、必要なサポ-トをする。

5 相手の問題について責めたり指示するのでなく、事実に直面させる。

いずれにしても、自分と他者の境界をきっちりと築き、自分を守ること、自分に専念すること、他者に侵食させないと、これらはすべて自分を確立するために重要なことなのです。

そして併せて、境界の築けない原因が、機能不全家族で自分が子供時果たしていた役割を、今も継続して果たしていないか振り返ることも重要なのです。

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