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キャリアアップ・キャリアチェンジの心理:なぜ人は「次」を目指すのか

私たちは、現在の仕事の職位、立場、環境に満足できない時、より上の職位や難易度の高い資格取得、キャリアアップのための転職など、「上のステージ」を目指す強い動機に駆られることがあります。

また、収入や職位といった目に見える「上のステージ」ではなく、内なる声に導かれ、「本当にやりたいこと」、「情熱を傾けられる仕事」を求めて、全く異なる「別のステージ」を目指す人もいるでしょう。

これらを総称してキャリアアップ、あるいはキャリアチェンジと呼び、今回はその背景にある多様な心理について深く掘り下げていきたいと思います。

キャリアアップ・キャリアチェンジを動機づける多様な心理

Index
1.経済的な安定と豊かさを求めて(家族の幸せ)
2.向上心と自己実現への渇望
3.力への欲求・優越感の追求
4.自己責任の放棄・現実からの逃避
5.自己の人生に対する根本的な問いかけから

1.経済的な安定と豊かさを求めて(家族の幸せ)

自分を含め、家族の生活レベルを向上させたいと願う人は少なくありません。
愛する家族に少しでも苦労をかけず、ゆとりのある暮らしをさせてあげたい。

そして、自分自身も自由に使えるお金を増やし、人生の楽しみを増やしたいと考えるのは、資本主義社会に生きる私たちにとってごく自然なことです。

決して贅沢をしたいわけではないけれど、過不足のない充実した生活、そして将来への備えを考えると、やはりお金のことは無視できません。
そのため、より収入の高い仕事への転職(キャリアアップ・キャリアチェンジ)を選択する人も多いのです。

これは、家族への愛情と自身の生活の質を高めたいという、健全で力強い動機と言えるでしょう。

2.向上心と自己実現への渇望

今の生活や仕事、職位に特に不満はないけれど、人によっては「もっと深い知識を必要とする仕事に就きたい」、「もっと活躍の場を広げたい」という強い向上心を抱くことがあります。
難解な資格や技術の習得を目指すのも、この心理が背景にあります。

もし社内にその想いを満たせる部門があれば良いのですが、もしなければ、社内での新部門創設を願い出ることも可能です。
しかし、会社側がその必要性を認めない場合、抑えきれない向上心からキャリアチェンジを図ることもあるでしょう。

また、現状の仕事が、様々な理由で「妥協して就かざるを得なかった仕事」であると感じている人もいます。

本当に就きたかった仕事、以前から諦めきれずに抱き続けている夢を実現するため、転職、起業、独立といった大きな一歩を踏み出すケースです。
これは、「やりがい」や「働きがい」を求める心理と深く結びついています。

いずれにせよ、自己の向上心を満たし、自己の想いや夢を実現するために、リスクを承知でキャリアチェンジに挑む姿勢は、非常に前向きで力強いものです。

3.力への欲求・優越感の追求

「人より豪華な服を買い、高価な車を乗り回し、贅沢な食事をし、人には金の力を背景に優越感に浸って接したい。お金は力だ」

このような思いからキャリアアップやキャリアチェンジを目指す人もいるでしょう。
これは、何らかの劣等感に対する補償的思考から来ているのかもしれません。

また、社内において上位の職位や肩書を得ることで、部下の数が増え、あたかも「お偉いさん」として振る舞い、威張ることに喜びを感じる人も存在します。

出世競争に全力を注ぎ、社内での権力獲得を目指すのです。
そして、踏ん反り返り、できない者を罵倒することで、優越感に浸りたいという欲求を満たそうとします。

しかし、一般的に威張り散らす人は横暴な人物として避けられる傾向にあります。
そして、彼らの力への欲求や優越への欲求を満たす源(お金、職位など)は、最終的には自ら湧き出る力ではなく、何らかの地位によってもたらされることがほとんどです。

そのため、職位降格、左遷、倒産といった事態に陥れば、一瞬にしてそれらを失う可能性があります。
その時、周囲の人々は一斉に離れていき、彼らは孤独を味わうかもしれません。

そして、自分がどれだけ傲慢だったか、どれだけ多くの人々を傷つけたかを振り返り、反省の日々を送ることになるでしょう。

4.自己責任の放棄・現実からの逃避

今の仕事や職位、立場、環境が苦痛で、何らかの理由でその仕事に留まることが困難になり、別の活躍の場を求めてキャリアチェンジを選ぶこともあります。
自分が仕事で潰れてしまう危険性があるのであれば、自分を守るためのキャリアチェンジは当然の行為です。

しかし、もし本来果たすべき責任を放棄し、関係者への十分な説明もなく、ただ「逃げる」ことを選択したのだとしたら、それは自己責任の放棄による逃避行動と見なされるかもしれません。
最低限、お世話になった方々に対して説明責任を果たすことは、社会人としての義務ではないでしょうか。

また、本人は「今よりも上の立場を目指す」、「収入をアップして凱旋する」などと口では言っていても、もともと責任放棄からの行動であるため、実際に上のキャリアを目指す気力が乏しく、口先だけで実行が伴わない可能性もあります。

選択は個人の自由です。
しかし、責任放棄や現実逃避を選んだとしても、その結果は、本人の人生を通して返ってくるでしょう。特に「信頼」という言葉は、その後の人生に重くのしかかることになります。

5.自己の人生に対する根本的な問いかけから

今の仕事や職位、環境に不満はないけれど、「何か、この仕事は自分の生涯をかけてすべきことではないのではないか」、「自分にはもっと他にすべきことがあるのではないか」といった疑問を抱くことがあります。

これらは、今の仕事や活動に対する疑問、すなわち、自己の人生、生き方、そして在り方に対する根本的な問いかけから生まれるものです。

そこから「自分探し」の旅に出たり、自分が本当にしたいことを見つけようとキャリアチェンジを選ぶ人もいます。
今は具体的な夢が分からなくても、漠然とした疑問意識を、はっきりとした形にしたい、明確な理想を見つけたいという思いが、人生そのものを抜本的に変えることにつながるのです。

人生は旅であり、様々な人との出会い、様々な経験を通して、「自分とは何者か」を語れる仕事に出会い、自分だけの人生の物語を紡いでいくことでしょう。

さて、多様なキャリアアップ、キャリアチェンジの心理を私なりに考察してみました。
何が「正解」というものではありません。

しかし、せっかくの人生ですから、自分が心から満足し、納得し、最善を尽くせる生き方や在り方を見つけられる社会、そしてそのチャンスが豊かにある社会であってほしいと心から願っています。

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