正直者の真実
正直な人。 嘘をつかない人。 誠実な人。
あなたの周りにも、このような徳を持った方はおられることでしょう。
では、正直な人の正直さを支えているものは何か。 その背後にある、さらなる心理はどのようなものでしょうか?
一緒に見ていきましょう。

正直者とは何か
1.嘘がばれるのが怖い
私たちは常に何らかの形で社会に参加しています。社会活動をするということは、常に行動し、その成果を問われるということです。
成果には「成功」と「失敗」の二つがあるでしょう。
もし企業活動などで失敗した場合、上司から怒られたり、評価が下がったりすることを恐れ、嘘をついて失敗を隠し、懸命に振舞ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、問題はその失敗が明るみに出た時です。
その瞬間、その人は「嘘つき」のレッテルを貼られ、周囲から蔑まれ、今まで築いた信用を一度に失ってしまいます。

「嘘さえつかなければ」。
そうした、嘘が露見した時の恐ろしさを懸念している人は、失敗も正直に報告します。
もちろん叱責やマイナス評価は受けるでしょうが、「嘘がばれて信頼を失う」ことに比べれば、ずっとましなのです。
この場合の正直さの背景には、「嘘がばれることを恐れる」という防衛本能に近い心理があると言えます。

2.常に正直であれと教え込まれて育った
子供の頃から「常に正直であれ」と言われて育った人の中には、この親の教えを人生の「中核信念」として生きている人もいます。
これは、高い規範意識に基づく正直さです。私は、これは立派な人生の指針であり、信念であると思います。
3.嘘をつくという発想がない
さて、私自身のことですが、基本的には「嘘をつく」という発想そのものがない人間です。
「バカ正直者」なのかもしれません。
なぜ、嘘をつくという発想がないのか。
子供の時はよく親に嘘をついていました。
しかし、成長するにつれ、嘘をつくという発想がなくなっていったのです。
もちろん、相手を傷つけないための社会的な嘘はつきますが、自分をごまかす、よく見せたい、失敗を報告しない、といった嘘はつく気になれません。
理由はわかりませんが、そうした「気質」なのだと思います。

4.聞かれないことに対しては正直さは不要
電化製品などを買う時、販売員は私たちの質問には嘘をつかずに答えます。
しかし、商品の欠点を知っていながら、あえて伝えない場合がほとんどです。
これは客に対して嘘をついているのでしょうか?
聞かれたことには嘘をつかず、聞かれないことについては、客が不利を被ると予想できても伝えない。 それは嘘をついているとは言えませんが、誠意のある態度とも言えません。
しかし、販売員は会社に雇用され、利を求めなければなりません。
ここに、資本主義における人間性の欠点が見えます。
「利を求め、誠を損なう」という構図です。

正直者は損をするのか?
さて、正直者について、先に私は「私は正直です」と自慢気に書いてしまいました。
では、正直者は社会生活において「得」か「損」か。
私は、あきらかに「損」であると考えます。
1.正直者が損をしても、それでも正直に生きる理由
正直者がなぜ損をするのか。
それは、正直者にはある種、柔軟性が欠ける面があるからです。
正直者はルールや規範通りに動く傾向が強く、競争社会においては手順を守るあまり、要領の良い人にスピードで負けてしまうのです。
また、黙っていればバレないミスも、率先して報告する。
正直な行いではありますが、成果や業績面から見ればマイナスでしかありません。
今の社会システムにおいては、正直者は損をする存在かもしれません。
しかし、それでも私は正直に生きます。
人に損をさせ、自分が得をするような生き方はしたくないと考えているからです。

その一つの結果が、私のカウンセリングルームにあります。
私は、自分の専門外、あるいは手に負えないと思われる心理カウンセリングの項目(13項)については、最初からお受けしないことにしています。
これは正直な対応ですが、経済的には損をすることになります。
しかし、それによって心理カウンセラーとしての名誉は守られます。 正直者は利得の面では損をするかもしれませんが、その代わりに、「自己の正義と名誉」は守られるのです。
