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路上で子どもがたばこを吸う心理:私たちはどう向き合うべきか

先日、商店街を歩いていると、小学生高学年くらいの少年が、あたりまえのようにたばこを吸いながら歩いているのを見かけました。
周囲の大人は誰も注意することなく、私もまた、ちらりと彼を見ただけで、その場を通り過ぎてしまいました。

たばこを吸う子どもの心理とそれを注意しない大人の心理

Index
1.大人がたばこを吸う子どもを注意しない心理
2.子どもが路上でたばこを吸う心理:注目されたい、SOSのサイン?
3.「助けてほしい」という子どもの心の叫び

1.大人がたばこを吸う子どもを注意しない心理

今回は、人前でたばこを吸う子どもの心理について深く掘り下げていきます。
その前に、なぜ、多くの大人がたばこを吸う子どもを見ても注意しないのか、その理由について考えてみましょう。

私自身がその少年に何も言わなかったのは、突き詰めれば、彼と私との間に「何の関係もない」と感じたからです。
文字通り、彼が今たばこを吸っていようと、将来どうなろうと、私には関係ない、という感覚です。
おそらく、私以外の多くの大人も、同じような感覚を抱いていたのではないでしょうか。

さらに、そこには「関わりたくない」という心理も働きます。
たばこを吸っている子どもの背後に、もしかしたら反社会的な人間が隠れているかもしれない。
もし注意すれば、彼らが現れて因縁をつけられるかもしれない、と考えると、関わらない方が賢明だと判断しがちです。

また、大勢が行き交う商店街で、堂々とたばこを吸うという目立った行為(法律に反し、反社会的な態度)を取る子どもに対し、大人が注意したところで、素直に耳を傾けるでしょうか。

「うるさいんだよ、おっさん、おばさん!」と、罵声を浴びせられる可能性も考えられます。
こうした衝突を避けるため、多くの大人は見て見ぬふりを選んでしまうのです。

2.子どもが路上でたばこを吸う心理:注目されたい、SOSのサイン?

しかし、もう少し深く考えてみましょう。
多くの大人が行き交う場所で、あえてたばこを吸うという目立つ行動に出る子どもの心理的背景には、一体何があるのでしょうか?

もしかしたら、彼は「大人に注意されたい」のかもしれません。そして、それはたばこを吸うことそのものへの注意ではなく、実は彼が抱えている「悩みを訴えたい」という無意識のサインではないでしょうか。

悩みをどう伝えたらいいのか分からない子どもが、まずたばこを吸うという行為で大人の注目や注意を引き、そこから自分の抱える問題へと話を繋げたい。
このような心理的動機が隠されている可能性は十分に考えられます。

しかし、問題は、たばこを吸うことで注意された子どもが、その大人に素直に自分の悩みを打ち明けられるか、という点です。

大人が注意や説教をしたところで、子どもがそれを聞き入れなければ、悩みの相談へと発展することはありません。むしろ、説教を聞いているうちに子どもの反抗心が爆発し、関係性が途絶えてしまう可能性も高いでしょう。

よほど強い気持ちで彼らに向き合い、更生させたいと願う大人でなければ、注意するだけで、それ以上の深い関係性を築くことは難しいのが現実です。
これもまた、「ややこしいことには関わりたくない」という大人の心理に繋がります。

3.「助けてほしい」という子どもの心の叫び

しかし、私は大人の前で平然とたばこを吸う子どもの心の奥底には、「話を聞いてほしい」「助けてほしい」という、切実な思いがあると感じています。

同時に、彼は「どれだけの大人が、たばこを吸っている自分を気にかけてくれるのか」を試しているのかもしれません。

いずれにせよ、自分を助けてくれるのは大人だと信じ、まずは怒られるような行動で注目を集めようとするのです。

ですが、その後、子どもは自分を注意してくれた大人に、どうやって本音や抱えている悩みを打ち明ければいいのか分かりません。
そのもどかしさが、喧嘩腰な態度や反発として現れるのかもしれないのです。

本当は素直に自分の悩みを話せれば良いのですが、その話を聞いてくれるのは、通りすがりに注意した大人ではないかもしれません。
児童相談所や福祉相談所といった公的機関があることは知っていても、子どもゆえに、どこに、誰に、どのように相談して良いのか分からないのが実情でしょう。

この問題の背景は、たばこを吸う子どもが悪いと単純に断罪するだけでは解決しません。
親、学校、地域、そして相談できる公的機関など、様々な立場の人が見守り、協力して問題を解決していくべきではないでしょうか。

しかし、現代社会は、かつてのような地域の繋がりが希薄になり、閉鎖的になりつつあります。
この複雑な問題を解決することは、決して容易なことではありません。

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