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強固な自己否定:「自分はダメ」という思い込みから抜け出すために

カウンセリングの現場で多くお伺いするお悩みの一つに、「自分を否定し責め続けてしまう」という、自己否定の問題があります。
では、自己否定とは一体、自分の何を否定し、なぜ自分を責め続けてしまうのでしょうか。

多くの場合、それはご自身が行った行動や結果に対する否定、そしてご自身の存在そのものに対する否定へとつながります。
一生懸命頑張って出した結果を認められなかったり、「自分なんて必要のない人間だ」と感じてしまったり。

自己否定に苦しむ多くの方が、「本当はそこまで自分を否定する必要はない」、「自分にも良い点はたくさんある」と頭ではわかっているはずです。それでも、どうしても自己否定が優先されてしまい、それが「生きづらさ」を招いているのではないでしょうか。

「そこまで自分を否定する必要はない」と意識できているのに、なぜ自己否定は止まらないのでしょう?

無意識の思い込み、あるいは脳の機能や癖のようなものなのでしょうか?

ここからは、自己否定について、私の考えと、それに対する具体的なアドバイスをお伝えしていきます。

強固な自己否定:その症状、問題点、そして解決へのアドバイス

Index
1.自己否定の症状:あなたはこんなサインを出していませんか?
2.自己否定が発症する原因:その根っこにあるものは?
3.強い自己否定が招くもの:他者からの否定と孤立
4.自己否定からの解放へ:今すぐできる改善アドバイス

1.自己否定の症状:あなたはこんなサインを出していませんか?

自己否定は、日々の生活の中で様々な形で現れます。もし以下の項目に心当たりがあるなら、自己否定が深く根付いているサインかもしれません。

a)自分の欠点ばかりを探し、自分を責め続ける

毎日、自分の至らない点や、他人と比べて劣っている点ばかりを探し、ご自身でご自身を否定し続けていませんか?
仕事や作業中はそれに集中しているため、自己否定の感情は薄れるかもしれません。
しかし、本来リラックスできるはずの余暇の時間に、いつの間にか自分を責め、惨めな気持ちに追い込んでしまう。
これでは、心の休まる時がありません。

b)褒め言葉を素直に受け取れない

自己否定が強いと、他人からの褒め言葉を素直に受け取ることが難しくなります。
「他の人ができているのは当たり前」、「褒められても嬉しくない」と感じてしまうかもしれません。
しかし、せっかくのポジティブな言葉を否定してしまうと、自己否定の改善にはつながりません。
自信や自己肯定感にも悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

c)「自分はダメ」という強固な思い込み

自己否定で悩む方は、「自分はダメだ」という思い込みが非常に強固です。
「思い込みは身を滅ぼす」と言われるように、強い自己否定は、ご自身の存在そのものへの疑問(「自分は生きていていいのか?」)にまで発展する可能性も秘めています。

d)他人を否定し、悪口を言うことで心のバランスを取ろうとする

自己否定が強いと、「自分はダメな人間だ」と思い込み、自分自身を認めることができません。
これは大きな心の課題です。

人間は不思議なもので、心に問題を抱えると、それを解決しようと(あるいは自分を守ろうと)無意識に自己防衛の手段を取ることがあります。

心のバランスを保つために、他人を否定する行為が必要になってしまうことがあるのです。
自分が自分を否定し、さらに他人をも否定する。
全ての人間を否定することで、一時的に心の均衡が保たれると感じる人もいます。

また、自己否定の強い人は常に「自分はダメだ」というストレスにさらされています。
このストレスを解消するために、他人の悪口や愚痴を言うことで、自分を認められない苦しさを一時的に蓋をしてしまうこともあるでしょう。

もちろん、自己否定に悩む全ての方が、他人を否定することで自己防衛しているわけではありません。
他人を羨み、ひたすら自分を否定し続け、心の傷を広げてしまう方もいらっしゃいます。

2.自己否定が発症する原因:その根っこにあるものは?

自己否定の心の核心にあるのは、「自分はダメだ」という劣等感です。
では、なぜこの劣等感を持つに至ったのでしょうか。

最も考えられる原因の一つは、幼少期に親や養育者から十分な承認を得られず、逆に否定され続けた経験です。

例えば、「頑張って結果を出しても100点でないからダメ」、「100点でも褒めない(当たり前)」、「常に粗探しばかりされ、ダメな点ばかりを強調して怒られる」といった、度重なる徹底した否定が、ご自身の中に深く染み込んでいるのかもしれません。

また、兄弟や友人との比較も劣等感の元となります。
さらに、学校での差別や仲間外れといった経験も、劣等感や自己存在の否定感を招き、強固な自己否定へと発展する可能性があります。

幼少期に特別な問題がなかったとしても、何かのできごとで、ご自身の言動が他人に笑われたり、馬鹿にされたような態度を取られたりしたことで心が傷つき、他者に心を開くことが怖くなる場合もあります。

その延長線上で「自分はダメだ」という思いが強くなり、自己否定が強固になることもあるでしょう。

3.強い自己否定が招くもの:他者からの否定と孤立

強固な自己否定を抱えている方は、「ありのままの自分では他者に受け入れてもらえない、否定される」と思い込んでいます。そこで、他者に受け入れてもらうため、あるいはご自身の心が傷つかないために、無意識のうちに二つの戦略を取ることがあります。

a)他者に合わせすぎる

「自分が自分でいては否定される」という思いから、他者に合わせることを最優先にしてしまいます。
その結果、自分の意見が言えなくなり、他者に合わせすぎたあまり、「自分が何を望んでいるのか分からない」という自己喪失感に陥ることもあります。

b)心を閉ざす

自己否定が強いと、他者からの否定を極端に恐れ、他者に対して心を閉ざしてしまいます。
その結果、コミュニケーションがうまくいかなくなったり、意思表示が苦手になったり、人を受け付けない雰囲気を出してしまうことがあります。

他者に合わせすぎても、心を閉ざしても、他人から見れば「自分の意見がない人」、「迎合ばかりする人」「心を開かないため打ち解けられない人」、「何を考えているか分からない人」と映ってしまうかもしれません。

さらには、人を寄せ付けない雰囲気は他人にも伝わり、「関わりたくない人」と思われてしまう可能性もあります。

結果として、強固な自己否定からくる「社会で他者と生きていくための戦略」が、他者から見ると不自然に映り、皮肉にも恐れていた「他者からの否定、蔑視、嫌われる」という現実を招いてしまうことがあるのです。

4.自己否定からの解放へ:今すぐできる改善アドバイス

それでは、強固な自己否定から解放され、改善に向かうための私からのアドバイスをお伝えします。
基本的には「否定について考えないこと」ですが、それをいかに実行するかがポイントです。

a)気分転換の引き出しをたくさん持つ

自己否定の考えが頭をよぎり始めた時、すぐに気分転換できる方法を10通りほど事前に用意しておきましょう。
その時々の状況に応じて、それらの方法を試してみてください。

もしそれでも自己否定を考えてしまっても、無理に止めようとせず、そのままにして、ご自身が良い気分になれることや気分転換を続けてみましょう。
要はエネルギーを他のことに分散させることが大切です。

b)軽い運動を取り入れる

自己否定は脳内で起こっています。
日々、軽い運動を定期的に行い、身体にもエネルギーを送ることは、脳内での過剰なエネルギー消費に対して、何らかの良い影響をもたらす可能性があります。
ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で継続してみましょう。

c)熱中できる何かを見つける

ご自身の全エネルギーを、心から熱中できる何かにぶつけてみましょう。
何かに夢中になっている時は、嫌なことを考えにくくなります。
私も経験がありますが、没頭することで心の状態が大きく変わることがあります。

d)呼吸に意識を向ける

嫌なことを考えている時、呼吸が浅くなっていませんか?
自己否定を強く考え始めた時、数回深呼吸をしてみるのも良いでしょう。深
呼吸をする際は、できる限り穏やかな気持ちで行ってみてください。
その後は、気分転換や何か熱中できることに意識を向けるのも効果的です。

e)他者に親切にしてみる

可能な範囲で大丈夫です。
決して無理は禁物です。
他者への親切は、ご自身の気持ちも良くします。

また、他者からの心のこもった「ありがとう」は、ご自身の心の豊かさにもつながり、自己肯定感にも良い影響を与えるのではないでしょうか。
自己否定を治すために戦略的に行うのではなく、軽い気持ちで試してみてください。
他者への親切は、他者受容につながり、そこから自己受容へと展開する場合もあります。

f)他者の褒め言葉は素直に受け取る

自己否定の強い方は、他者の褒め言葉を素直に受け取ることが難しいと感じるかもしれません。「常に自分を否定している自分を、他者が褒めるなんて、お世辞に違いない」と解釈してしまうこともあるでしょう。

でも、考えてみてください。日々、他者からの「ありがとう」や褒め言葉をそんなに多くもらえるものではありません。せっかくの他者からの感謝や褒め言葉は、素直に受け取ってみましょう。それは、ご自身の価値を再認識する小さな一歩になります。

g)客観性:客観力を養う

自己否定の強い方は、主観的な見方で、自分で自分を否定のループに追い込んでいきます。
しかし、その否定のループ、そこまで自分を否定する程のことなのでしょうか。

主観的な、思い込みで、自己評価を下げ、自己否定へと、グルグル回っているのではないでしょうか。

その時々の行為を振り返り、評価されるとは思いますが、客観性、客観力を培い、その時々の良かった点も洗い出し、過小評価しないようにしましょう。

h)今日の良かった点のみノートに記録する

人間は誰しも、ネガティブなことを記憶することに力を発揮します。「ポジティブなことを強く記憶できればいいのに」と思うかもしれませんが、どうも人の脳は、嫌なことやネガティブなことに対する記憶力が強いようです。

したがって、良かったこと、努力して成果を出したこと、褒められたことなど、ポジティブなことは忘れがちです。今日の良かったことのみをノートに記録してみましょう。

注意点は、良かったことだけを記録することです。
これを続けることで、「自分は自分が考えているほど、否定される人間ではない」と認識できるようになるでしょう。

i)自己受容:「まっ、いいか」の心を持つ

「否定」の反対は、どのような言葉でしょうか? それは「受容」です。
実は、ご自身のことを最も大切に受容できるのは、ご自身自身なのです。

自己受容を第一に考えると、結果が良くても悪くても、結果を否定して自分を責め続けるという問題は生じません。
ご自身がご自身を受け入れているからこそ、最善を尽くして行ったことに対して、結果がどうであれ、それを受け入れることができるのです。

自己否定に苦しむことはなくなるでしょう。

結果が良かったら喜び、悪かったら反省する。
少しはがっかりするかもしれませんが、「まっ、いいか」と受け流せるようになります。



それは、思ったような結果を出せなくても、頑張った自分を認めることができるからです。
今回、思うような結果が出なかった場合は、客観性に基づいて反省を行い、その反省点を次回に活かせば良いだけのこと。
したがって、必要以上に自分を責めることなく、自己否定に走る必要はなくなるのです。

これらのことを続けてみて、ご自身がご自身を否定する「脳の癖」が少しでも和らげば、という思いで書かせていただきました。
効果は保証できませんが、何事も否定から入らず、まずは「ちょっとだけ」チャレンジしてみても良いのではないでしょうか?

最後に、自己否定は、真面目さ、几帳面さ、完璧主義的な性格特徴や価値観も影響しているかもしれません。

申し訳ございません。
心理オフィスステラでは、強固な自己否定に関するカウンセリングは受け賜わっておりません。
(私には強固な自己否定の経験がないためです)。

問題に対しては、ご自身だけで抱え込まず、専門家、心理カウンセラーと話すことで、自己否定からの解放や改善の糸口が見つかるかもしれません。

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