感謝の強制

人によっては「感謝、感謝」、「感謝せよ」と教えの如く、強迫的に伝えられる方がいます。
しかし、私はこの姿勢には疑問を持っています。

私も「感謝」は、生きるにおいて大切なことだと思っています。

では、この感謝、一体どこから生じてくるのでしょうか?
同じ事に対しても、感謝出来る人と、感謝出来ない人との違いは何でしょうか?

私は感謝とは、心の内から、自然と生じて来るものだと考えています。
すなわち、自分の内側から自然とわいてくるものなのです。
そして、感謝は、心の内、体感レベルを通して、感謝の雰囲気、ありがとうの雰囲気が、外に向かって穏やかに発っせられるのではないでしょうか。

それに対して、「感謝せよ」という言葉は、感謝そのものが、自分の外にあり、その外にある「感謝」を、自分の内側に取り込めという命令調のように感じてしまい、私には、今ひとつピンと気ません。

感謝とは自分の心、内側からわいてくるものであり、自分の外にある言語上の感謝を、自分の内に強制的に取り込むことは、以外と難しいのです。

その根拠は、感謝の言葉である、「ありがとう」を言葉として発する時、心の内に感謝の気持ちのある人と、無理に「ありがとう」と言わされている人では、言葉のトーン、伝え方、すなわち、相手に伝わる想いがまったく違ったものになるでしょう。

感謝の気持ちが分からない人とは

では、感謝が心の内から自然に生じてくる人と、生じて来ない人の違いは何でしょうか。

おそらく、感謝の基である、心の内側の暖かさ、ぬくもりの違いでしょう。
そして、これらは、親子関係、成育歴を通して、培われるものではないでしょうか?

それは、子供時、親から「ありがとう」と言われたことがあるか。
親から「ありがとう」と言われたことがない子は、自分が何かをしても、義務的、当たり前と捉え、感謝の気持ちとは何か、知らないのではないでしょうか。
親から伝えてもらっていない。

また、感謝が分からない人の例としては、親が子供の必要を常に満たしてしまい。
「してもらうのが当たり前」という意識を、子供が成長しても、抱き続けてしまう可能性もあります。
これでは、他者からの好意も「してもらって当たり前」であり、感謝の気持ちは当然、お持ちにならないでしょう。
(私は過剰な過保護は、子供の必要を全て親が満たしてしまうので、子供にとっては自主的、主体的に何も出来ない状況に置かれ、それが成長の妨げとなるため、心理的な虐待と捉えています)。

さて、感謝の心、ありがとう。
これらは、心の内から自然と生じる、わいてくるものです。
そして、その感謝のエネルギーの基は、人生経験においてどれだけ多くの人と、心ある温かい交流を重ねてきたかに、比例するのではないでしょうか。

人との暖かい交流の経験より、感謝の気持ちは培えるのではないかと思います。
その経験より、人の有難さを知り、相手を尊重する気持ちも生じ、自然と、感謝の気持ちを抱くようになると考えます。

では、親子関係、家族関係等を基盤として、暖かい人間関係を経験出来なかった人は、感謝の気持ちを、生涯、心の内に持つことは出来ないのでしょうか?

このことに関して書くと、人との暖かい交流が欠落して生きて来られた方は、人から何かをしてもらう事に対して、「当たり前」という思いをお持ちかもしれません。
人に対して、「当たり前」の気持ちを持ってしまうと、感謝、ありがとうの気持ちは生じないでしょう。

では、この場合、どのようにすれば、感謝の気持ちが、心の内から生じるようになるのでしょうか。

感謝の気持ちを培うために

方法は2つあると思います。

それは、誰かに対して親切な行いをする。
そして、「相手からのありがとう」の言葉を素直に受け取り、自分の内に在る、心の暖かさを育てていく。
それにより、さらに人に対する親切心は高まり、人との暖かい交流、やりとりも増えるのではないでしょうか。

そして、もう1つの方法。
コンビニ等で商品を購入した際、レジにて必ず、「ありがとう」と出来るだけ、穏やかに、はっきりと発する。
当然店の方も、「ありがとうございました」と言われることでしょう。
「ありがとう」。
この言葉を発する練習をしていくことも大切です。

これらの経験を通じて、心の暖かさを育て、心の内より生ずる「ありがどう」を発する、言葉のトーンを学んでいくのです。

「感謝」、「感謝せよ」。
感謝とは外にあるものではなく、心の内にあるもの。

しかし、心の内にある感謝、その基である心の暖か、優しさを育てるためには、他者に対して親切な行い、ありがとうと、この言葉を発っし続けること。

自分の外にある人からの経験と関係性において、感謝の気持ちを培うのです。
この意味においては、「感謝せよ」、「感謝しなさい」という言葉は的を得ているのかもしれません。

しかし、一番大切なことは。
その感謝は、心の内から自然と生じたもの、心の暖かさ、優しさから生じたものであること。

そして、当然、忘れてはいけないこと。
様々なことに、感謝をする習慣をつけること。

感謝の基本は、心の内に自然とあるのです。
そして、その気になれば、身に付けることは可能なのです。
これは、知識ではなく、体感です。