MENU

アダルトチルドレンのカウンセリング回復へのステップ

私自身がアダルトチルドレンを体験しており、アダルトチルドレンに関することを、以下の3ページに分割して書かせて頂いております。

1.アダルトチルドレン・心の問題と行動特徴(前ページ)
2.アダルトチルドレンのカウンセリング回復へのステップ(本ページ)
3.アダルトチルドレン体験を振り返って学んだこと等(次ページ)

アダルトチルドレンの問題解決に向けて

Index

  1. アダルトチルドレンの悩み:生きづらさからの回復を目指して
  2. アダルトチルドレンからの生きづらさ:回復への道筋と変化
  3. アダルトチルドレン回復へ:生きづらさを乗り越える10のステップ

1.アダルトチルドレンの悩み:生きづらさからの回復を目指して

「アダルトチルドレン(AC)」という言葉をご存知でしょうか?
機能不全家族で育ち、大人になっても人間関係や自己肯定感に悩みを抱える方々を指します。

もしあなたが今、漠然とした生きづらさを感じていたり、人間関係で同じような問題にぶつかっていたりするなら、それはアダルトチルドレンの特性が関係しているかもしれません。

実は私自身も機能不全家族の中で育ったアダルトチルドレンの一人です。
だからこそ、あなたが抱える苦しみや悩みに深く共感できると考えています。

親との関係、社会生活への適応、そして「自分らしく生きる」ことへの葛藤。
これらは私自身が長年抱え、乗り越えてきたテーマです。

人間は、親子関係を基盤として成長します。
この基盤が不安定だと、社会や人間関係に無理なく適応することが難しくなり、生きづらさや悩みの深さにつながることがあります。

かつて私が抱えていたアダルトチルドレンの問題は、主に以下のようなものでした。

  • 自己主張ができない
  • コミュニケーション能力の欠如
  • 協調性の問題
  • 他者への過剰な配慮
  • 心理的な引きこもり
  • 親の敷いたレールの上を歩む人生(自己決定能力の欠如)

これらはすべて、人間関係の問題であり、社会不適応の問題です。そして、深く掘り下げると、性格特徴の問題と言い換えることができます。

そのため、アダルトチルドレンの悩みに対するカウンセリングは、より具体的に言えば、性格の改善のためのカウンセリングであると私は考えています。

(ただし、脳機能にダメージを受けるほどの問題、例えば、人といるだけで震えが止まらないといった重度の症状については、私の経験範囲外となりますことをご了承ください。)

私自身、アダルトチルドレンの問題、そしてそれに伴う性格改善には、子ども時代を含めると30数年もの歳月がかかりました。

その大きな原因は、以下の2点です。

  1. 30代前半まで、自分自身がアダルトチルドレンという概念を知らなかったこと。
  2. 自分の性格特徴に問題があることは分かっていたものの、具体的な改善に取り組まなかったこと。

私がアダルトチルドレンの問題、そして生きづらさを感じる性格特徴の改善を実感できたのは、37歳の時、14年間会社員として勤務し続けた経験が大きいです。
その中で、円滑な人間関係を築くために自分がどう変われば良いかを学び、実践できたのです。

会社退職後も心理カウンセリングを受け、さらに深く自分自身の人生と向き合う機会を得ました。
振り返れば、私は子ども時代から親に人生を「乗っ取られていた」のかもしれません。

そのように考えると、アダルトチルドレンの問題は、「自己喪失の病」とも言えるのではないでしょうか。アダルトチルドレンからの回復とは、まさに「新しい自分の創造の物語」のスタートなのかもしれません。

心理オフィスステラでは、私のアダルトチルドレンとしての経験を基盤に、東大阪でアダルトチルドレンの悩み、そして回復に向けたカウンセリングを行っています。

アダルトチルドレンからの生きづらさ:回復への道筋と変化

アダルトチルドレンからの回復に向けて、何がきっかけとなるでしょうか?
一番大切なのは、まず「自分がアダルトチルドレンである」と気づき、自覚することです。

その次に、心理カウンセリング、アダルトチルドレンの自助会への参加、セミナー、あるいは関連書籍を読むことなどが、回復への具体的なきっかけとなるでしょう。

では、アダルトチルドレンからの回復とは、心理、感覚、行動がどのように変わることを指すのでしょうか?

前述の「アダルトチルドレンの悩み:生きづらさからの回復を目指して」の項でも触れましたが、回復とは、あなたが抱えている問題となる性格特徴などを変えることが主であるとご認識ください。

さて、私のカウンセリングにおける臨床経験を踏まえ、回復への変化が比較的短期で現れるケースと、長期を要するケースに分けてご説明します。(ただし、最短でも数ヶ月は取り組む覚悟が必要です。)

そして、一点、重要な注意点があります。
それは、心理カウンセリングや心理カウンセラーに「依存」しないことです。
過度に頼りすぎてしまうと、それは新たな依存となり、アダルトチルドレンの問題からの回復を妨げることにもなりかねません。

a) 比較的短期間で回復するケース(自己努力と人との出会いが鍵)

回復へのきっかけはカウンセリングなどであると思いますが、回復の速度は、カウンセリング後、いかに学んだことを実践し、努力するかによって変わってきます。なぜなら、長年にわたって親子関係などを起因として培われ、固定化された思考や行動パターンを変える作業に取り組むことになるからです。

しかし、カウンセリング後など、心温かい良き人々との出会いが、あなたの傷ついた心を癒してくれることが大いにあります。

「人は人を通して成長し、人は人によって癒される」のです。
心理カウンセラーは、その最初の一歩をお手伝いする役割です。

あなたの自己努力と心温かい人々との出会いによって、以下のような心理、感覚、行動の変化がもたらされるでしょう。

  • 自分と他者の間に健全な境界線が引けるようになる
  • 自己主張ができるようになる
  • 意見の相違は人間性への批判ではないと理解できる
  • すべての人に好かれる必要はないと体感できる
  • できない自分にもOKが出せるようになる(すべてを完璧にこなせる人はいません)
  • 人生の選択など、自分で決定できるようになる(自己決定力の強化)
  • 自分は自分で良いと思えるようになる(誰もが個性や長所、短所を持っています)
  • 人間関係を築くことが楽になる
  • 未来に希望が持てるようになる(自信の獲得を含む)
  • 親子の間の軋轢が解消される(親は親、自分は自分と線引きができるようになる。ただし、親子の和解とは異なり、執着心の強い毒親問題は別のアプローチが必要でしょう)

b) 回復に時間がかかるケース(依存の問題)

依存の問題は、回復に時間がかかる傾向があります。
例えば、ゲーム依存を想像してみてください。
依存とは、脳がそれを勝手に求めてしまい、中毒症状のようになる状態です。
その脳の嗜癖状況を改善(治療)するには、当然ながら時間が必要です。

また、依存による生きづらさを抱えている方は、依存対象がないと生きていけないと思い込んでしまう傾向があることも問題です。

  • 恋愛依存
  • アルコール、ゲームなどの物質依存
  • 何かにこだわる依存

これらの依存で悩まれている方は、依存対象に対する思いが強く、また脳が意思に反して勝手に求めてしまう傾向があります。

私は依存症そのもののカウンセリングは専門としておりません
無理に依存対象から引き離そうとすると、うつ病やパニック症状などを患うことにもなりかねず、慎重な対応が必要です。
問題によっては、精神科や心療内科の受診をお勧めすることがあります。

アダルトチルドレンとしての生きづらさを感じているあなたへ

もしあなたが、「自分もアダルトチルドレンかもしれない」「この生きづらさを何とかしたい」と感じているなら、一度ご自身の心と向き合ってみませんか?

あなたの「新しい自分の創造」の物語を、一緒にスタートさせるお手伝いができれば幸いです。

3.アダルトチルドレン回復へ:生きづらさを乗り越える10のステップ

「生きづらさ」を感じていませんか?
もしあなたがアダルトチルドレン(AC)としての特性を抱え、人間関係や自分自身との向き合い方に悩んでいるなら、その生きづらさから解放されるための道筋が必ずあります。

この「アダルトチルドレン回復へ10のステップ」は、私自身の回復プロセスと経験を基に、アダルトチルドレンが生きづらさを乗り越え、自分らしく生きるための道のりをまとめたものです。
私の心理カウンセリングでも、このステップの考え方を取り入れています。

この10のステップの基本には、心理学における認知行動療法の考え方がベースとなっています。このステップが、あなたの回復への一助となり、悩みの解決に少しでもお役に立てば幸いです。

1.今の生き辛さに気づくこと

アダルトチルドレンの問題から回復するためには、まず「今、どのような生きづらさを抱えているのか」に気づくことが第一歩です。それは、周囲との人間関係、あるいは自分自身との問題として現れているかもしれません。漠然とした萎縮感や不安感の正体を探ることから始めましょう。

2.過去の辛さを振り返ること

過去の親子関係や家庭環境で感じた辛さを振り返ります。
どのような家庭で、どのような辛さ、悲しみ、怒りを感じてきましたか?
また、生育歴の中で、学校での先生や友人との間に生じた、辛い経験についても思い出してみましょう。

3.過去の辛さと今の生き辛さの関係を考えること

過去の親子関係、家庭環境、学校生活などで経験した辛さと、今抱えている生きづらさに共通点はありませんか?
おそらく複数の共通点が見つかるはずです。
過去の生きづらさは、あなたの「今」と「これから」に大きな影響を及ぼしています。

4.過去の辛さより、硬直した思考と固定した行動パターンをみつける

子ども時代の私たちは、親などに褒められることを望み、拒否されることに深い悲しみを感じます。そのため、「〜〜こうしなければいけない」という強制や、「〜〜こうしてはいけない」という禁止といった硬直した思考・思い込みを持ってしまいがちです。

例えば、「親に褒められるためにすべてを完璧にしなければならない」とか、「親に怒られないために頼みごとは断ってはいけない」といったものです。
そして、この硬直的な思考・思い込みのもと、私たちはその通りに振る舞い続けます。これが「固定した行動パターン」なのです。

この「硬直した思考」と「固定した行動パターン」こそが、アダルトチルドレンの生きづらさの大きな原因となります。
親に褒めてもらうため、怒られないために培ったこれらは、私たちが成長するにつれて、社会や周囲の人に褒められるため、怒られないためへと対象が変わっていきます。

この硬直した思考・思い込みを持ち、それに基づく固定した行動パターンを今も続けようとする限り、私たちは本当の自分を見失い、「自己喪失」の状態に陥ってしまうのです。

5.本当はどうしたかったのか インナーチャイルドとの会話

過去(子ども時代など)を振り返り、心の奥底にいる「インナーチャイルド」に語りかけてみましょう。

  • 本当はどうしたかったのですか?
  • 何をしたかったのですか?
  • 何を我慢しましたか?
  • 何を失いましたか?

そして、あなたの内なる子ども、インナーチャイルドの傷ついた心を癒してあげましょう。

6.親への執着を手放す

私たちの生きづらさの原因である機能不全家族、特に親の問題。
あなたは親に対する怒りで満ちているかもしれません。
あるいは逆に、今でも親に褒めてもらいたい、認めてもらいたい気持ちでいっぱいかもしれません。
アダルトチルドレンの親に対する思いは複雑です。

しかし、私たちは親を変えることはできません。ですが、私たちの親に対する思いを変えることはできます
親は本当に私たちに生きづらさを抱えさせようと過酷な態度をとったのでしょうか?
もしかしたら、親もまた、そのまた親との関係で過酷な子ども時代を経験し、生きづらさを抱えたアダルトチルドレンだったのかもしれません。

親を理解し、親への執着を手放しましょう。
執着は苦しみしかもたらさないからです。

7.新しい自分に優しい思いを創りましょう

子ども時代に培った硬直した思考、思い込み、固定した行動パターンは、親などに褒められたり、拒否されないためのものでした。
しかし、あなたは成長し、環境も変わった今、それらを持ち続ける必要はありません。

子ども時代を振り返って本当はどうしたかったのか、それを果たせるような「自分に優しい考え方」を新しく創りましょう。
そこには、強制や禁止、そして我慢はもう必要ないのです。

8.新しい理想の行動を描くこと イメージ促進

新しく創った「自分に優しい思いや考え方」を、家庭や社会において実際に「行動・実行しているイメージ」を創りましょう。
私たちはイメージできないものを実現することはできません。
イメージの力は強力なのです。

ただし、イメージ化が難しい時は、事前に具体的な行動スキルを身につけたり、練習が必要となるかもしれません。

9.新しい理想の行動の実行:体感

イメージができたら、新しい思いや考え方、それに基づく新しい行動を現実のものにしていきましょう。
すなわち、これまで身につけていた固定した行動パターンを脱ぎ捨て、あなたが望む新しい行動を実行して、実際に何が起こるのかを体感するのです。

不安は頭の中に存在しています。
現実は、あなたの不安とは違うことが多いはずです。
そのことを体感して認識しましょう。

10 .人生の肯定的意味の創造 生き辛さを力に

あなたが経験した生きづらさを振り返ってみましょう。その辛い経験から、あなたは何を学びましたか?何を得ましたか?

人生に起こることは必然です。
必ず学んだこと、得たことがあるはずです。
そして、その学んだこと、得たことを今後の人生において、プラスのパワーとして発揮するのです。

それこそが、私たちアダルトチルドレンが、過去を乗り越え、自分らしく生きるための「誇り」となるのです。

いかがでしょうか。
これが私が考える、アダルトチルドレンの回復へ向けた10のステップです。
このすべてを短期間で実行しようとは思わないでください。
それぞれのステップにじっくりと向き合い、ご自身のペースで進めていくことが大切です。

アダルトチルドレンとしての生きづらさを乗り越えたい、自分を変えたいと願うあなたへ。
一歩踏み出すことで、新しい未来がきっと開けます。


次のページ:アダルトチルドレン体験を振り返って学んだこと等