ワクワクと苦悩:想いを現実にする「苦悩の力」
最近、「ワクワク感」という言葉をよく耳にします。
未来の願望実現にはワクワク感が大切だ、という考え方です。
私もその通りだと思います。未来の理想の自分を思い描き、ワクワクする気持ちを抱くことは、その波動が未来へと繋がり、今この瞬間の行動にも大きな影響を与えるはずです。
しかし残念ながら、この「ワクワク感」について、少し誤解されている方も散見されます。
それは、「常にワクワクすることだけをしていればいい」という主張です。
ワクワクすることだけをして、将来の理想を叶えられる、と。簡単に言えば、「自分の好きなことだけをしていればいい」ということなのでしょうが、果たしてそれは現実的でしょうか?

今を生きる中で、好きなことだけをして生活を維持することは可能でしょうか。
現実を振り返ってみましょう。
私たちは社会で生きていくために、様々な役割を果たさなければなりません。
今を生き、そして未来の願望や想いを実現させるためには、気の進まないことや、時には嫌だと感じることも、今は必要だと受け入れる場面があるはずです。まずは生活を維持し、生きていかなくてはならないのですから。
自分の好きなことだけで生活が成り立つ人は、よほど経済的に恵まれているか、あるいはすでに理想を現実のものとした、ごく一部の人かもしれません。

ワクワクしないことにも価値がある
「自分の好きなことだけをする。嫌なことはしない。」
この発想は、「自分の苦手なことはしない」と言い換えることもできるでしょう。
どうでしょうか?
もちろん、無理をして嫌なことや苦手なことをする必要はありませんが、その苦手なことにあえてチャレンジすることで、自己成長が大きく図れるとしたら…。
好きなことしかせず、苦手なことにチャレンジしないというのは、大きな自己成長の機会を逃していることにも繋がりかねません。
苦手なことにチャレンジするには勇気がいりますし、苦悩も伴うでしょう。
しかし、そのチャレンジを経て得られる力には、計り知れないパワーが秘められているかもしれないのです。
そして、その力こそが、あなたの想いを叶えるために必要なものかもしれません。
そう考えると、ワクワクと苦悩はまさに「表裏一体」だと言えるでしょう。

ワクワクと苦悩は表裏一体:苦悩がもたらす真の光
理想が現実となるビジョンを見てワクワクすることは、確かに大切です。
しかし、そのビジョンに近づくためには、苦手なことに悩み、それにチャレンジして新たな力を獲得することが必要な場合もあります。
私は、次のように考えます。
「影を知らない人は、真に光を知ることはない」
私たちは、光のありがたみや太陽の暖かさを知っています。
それはなぜでしょうか?
闇や夜を知っているからです。
私たちは春の訪れを心待ちにします。
それは、冬の厳しさと寒さを知っているからです。
この世のすべては、相対的な関係性の中に成り立っています。
陰に対して陽、闇に対して光、寒さに対して暖かさ。

陰・闇・寒を知らない人は、真に陽・光・暖のありがたみを知ることはありません。
逆に言えば、陽・光・暖しか知らない人がいるとすれば、それは陰・闇・寒の世界を知らないということになります。
もし陰・闇・寒を「苦悩の世界」と捉えるならば、陽・光・暖しか知らない人は、苦悩を知らない人、ということになります。
人が成長するには、様々な経験が必要です。特に苦悩。
人は悩み、それを乗り越えようと努力し、達成することで成長すると私は信じています。
それこそが、人が積み重ねる「業績」として真に偉大なものなのです。
そうであるならば、苦悩を知らない人は、真の光をも知らないのではないでしょうか。
そして、人が生きていく上では、バランスが何よりも大切です。

光と影、その両方を知るからこそ、人は人間として成長し、他者に対する共感能力も養えるのではないでしょうか。
これをワクワクと苦悩、この二つを相対的なものとして考えると、ワクワクしか体験しようとしない人は、苦悩を知らず、真の光を知らないことになります。
ワクワクも苦悩も、人生の表裏一体をなすものです。
この両方を体験してこそ、バランスの取れた人間に成長できるのです。
そして、苦悩を乗り越えることで得られる力は、人生の肯定的な意味を創造する上で不可欠な要素です。
苦悩こそが、真にあなたの人生に光をもたらす源泉となるでしょう。