心理的ひきこもりとは?孤独な社会生活からの回復
心を開かない孤独な社会生活:心理的ひきこもり
「心理的ひきこもり」という言葉をご存知でしょうか?これは、社会生活を送りながらも、周囲に心を開かず、集団の中で孤独を感じている状態を指します。
「社会的ひきこもり」が対人不安から社会を避け、自宅や部屋に閉じこもるのに対し、心理的ひきこもりは対人不安を抱えつつも社会参加を続けます。
しかし、傷つくことを恐れるあまり、心を閉ざし、人との交流を避けて一人で過ごす選択をするのです。
実は私自身も、過去に親子の問題やアダルトチルドレンの影響から、この心理的ひきこもりの状態を経験しました。
傷つくことへの恐れから、社会参加をしながらも、常に人に対して心を閉ざしていたのです。

社会参加しながらも心を閉ざす2つの行動パターン
社会参加をしながらも自分を守るために心を閉ざす行動パターンは、主に以下の2つに分けられます。
1.心を閉ざしながらも人との付き合いを避けないパターン
このタイプは、人の視線や評価に非常に敏感です。
「悪く思われたくない」、「嫌われたくない」という思いから、周囲に合わせようと努力します。
しかし、傷つくことへの不安が強く心を閉ざしているため、人に合わせるばかりで自己表現ができなかったり、会話にうまく入れなかったりします。
結果として、人と楽しく過ごすことができず、より孤独を感じてしまうのです。
人と円滑な関係を築くには、ある程度心を開くことが不可欠です。
心を閉ざすことは基本的に防御の姿勢であり、この姿勢では相手からの理解を得ることも、互いに親交を深めることも難しいでしょう。
そのため、心を閉ざしながら人に合わせようとすることは、強いストレスを生じさせる要因となります。

2.周囲に心を開かず、かつ行動・態度も人と距離を置くパターン
これは、かつて私自身がとっていた行動パターンです。
心を閉ざしながらも人に合わせようとするタイプとは異なり、このタイプは自ら積極的に人の中で孤独を選びます。
人との関わりによる傷つきを恐れるため、自分から人を寄せ付けない態度をとり、人が近づくことを許しません。
常に周囲に「近寄るな」という雰囲気を出してしまうのです。
私自身、高校・大学時代は意識的に人を拒絶する態度をとっていました。
特に大学時代は、一人で大学に行き、一人で授業を受け、食堂でも一人で食事をし、昼休みは図書館で眠る、という日々でした。友人と楽しいキャンパスライフとは無縁でしたが、当時はそれが「楽」だと感じていました。

しかし、卒業して会社に入ってから、そのツケが回ってきました。
さすがに会社で「近寄るな」という態度はとれませんでしたが、それまで人と親交を深めた経験が乏しく、人との接し方が全く分かりませんでした。自己表現やコミュニケーションの方法も分からず、結局は職場で心理的にひきこもり、一人で過ごす時間が長くなりました。
人の中にいても、孤独でいることしか知らなかったと言っても過言ではありません。
職場にいること自体が苦痛だった時期を経て、14年間の会社生活と様々な経験を通して、自己表現、コミュニケーション、人との付き合い方、そして感情を感じる能力などが徐々に回復していきました。

3.心理的ひきこもりが持つ強みと回復への道
私が社会的ひきこもりではなく、心理的ひきこもりで良かったと心から思うのは上述の点です。
辛さを抱えながらも社会生活を送り続けることで、社会に慣れ、社会生活を送る力が自然と身についていったのです。
社会的ひきこもりの場合、社会そのものから隔絶されるため、このような経験を積む機会がありません。ひきこもりの期間が長くなるほど、社会復帰は難しくなります。
心理的ひきこもりは、生きづらさを抱えながらも社会の中で耐え続けています。
この辛抱が、やがては社会的スキル獲得の土台となります。
自分を過剰に守ることをやめ、人との付き合い方や社会性を学ぶことで、必ず心理的なひきこもりからの回復は図れます。そして、本来持っているあなたの強さも発揮できるようになるでしょう。
案外、人って「いいものだ」と思える日がきっと来るはずです。
私はこのことを体験・経験しました。