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妻の仕事を「評価・操作」して支配する夫の戦略とは?

現代の社会において、恋愛や結婚を考える際、男女ともに仕事を持っているケースがほとんどです。
結婚に至った場合、男性は仕事を続けるのが一般的ですが、女性の場合は、以下のような3つの選択肢に分かれることが多いでしょう。

1.仕事を継続する
2.今の仕事を退職し、時間的に余裕のある仕事(派遣・パートなど)に転職する
3.仕事を完全に辞める

今回のテーマは、夫が妻の仕事を「評価・操作」することで、妻を支配・コントロールしようとする場合、どのような方法があるのか、という点です。その方法は大きく2つに分けられます。

A.妻に仕事を継続させ、経済的には自立させながらも支配する
B.妻に仕事を辞めさせて支配する

目次

A.妻に仕事を継続させ、経済的には自立させながらも支配する

経済力は、個人にとって大きな力です。妻が仕事を継続するということは、夫婦関係においてもある程度の力を持つことになります。

一般的な共働き夫婦の場合、お互いが夫婦生活の維持や、子育て資金、マイホーム購入といった将来の夢のために働いているため、家事も分担し、結婚における役割負担を公平に分担しようとするでしょう。

また、妻が経済力を維持しているということは、いつでも経済的に独立できる力を持っているため、夫婦関係に何らかの問題が起こったとしても、夫は妻の言い分をよく聞き、お互いが納得できる解決策を探し、関係を維持しようと努めるはずです。

すべては、妻が経済力という力を持っていること、そして夫が離婚への恐れを抱いているからです。

では、夫が妻に経済力を維持させ、経済的には自立させながらも、支配する方法はあるのでしょうか。残念ながら、それは存在します。

1.精神的暴力:妻の仕事を認めず、自己評価を下げる

夫は、妻の仕事を絶対に認めません。
例えば、「大した仕事に就いているわけではないだろう」と言いながらも、「他に何もできないのだから、その仕事をしておけ」などと突き放すような言い方をします。

夫は妻の経済的利益が必要であり、その利益は確保しつつも、妻の仕事に対する評価は決して与えないのです。

また、次のように言うかもしれません。
「どうせ家のことは何もできないのだから、今まで続けてきた仕事をして、少しでも金を稼げ」。
この場合も、妻の家事能力を勝手に決めつけながら、仕事は続けさせて経済的利益を得ようとしています。

ここにおける共通の戦略は、妻の仕事を認めないという方法です。
相手のしていることを認めないということは、その相手の自己肯定感を著しく下げる効果があります。

毎日、「どうせお前の仕事は大したことがない」と言われ続ければ、人によっては「自分は本当に夫の言う通りなのだろうか?」と疑問を持ち、そのように思い込んでしまうかもしれません。

夫の狙いとしては、妻の仕事も認めず、家事能力も認めない。何も認めないことによって、妻を絶対的に自分に従わせたいのかもしれません。「俺に認めて欲しければ、俺の思うようにしろ」、「金を出せ」と。これは、モラルハラスメントの可能性もあるでしょう。

また、夫がお金を稼ぐ道具として結婚を求めていた可能性も考えられます。
やがて夫は、妻が働いて得た給与を取り上げ、自分の趣味や遊びに使い始めるかもしれません。

いずれにせよ、こうした夫は罪の意識を持たない、自己中心的な人格の問題を抱えているように見受けられます。
妻の収入は当てにするが、人として尊重はしないのです。

もし、このようなタイプの男性と結婚してしまった場合、一体どうすればいいのでしょうか。
カウンセリングは、本人が「変わりたい」と強く思っている時に有効です。

しかし、自己中心的な人格の問題を抱えている当人(夫)が、カウンセリングを受けて自分を変えたいと思うことは稀でしょう。
また、他者を変えるカウンセリングはできません。

したがって、夫の支配に悩んでいる妻は、この問題を自分の人生の問題として、真剣に考える必要があります。 考えるべきポイントはただ一つ、「別れるか」、「一緒に生活を続けるか」です。

2.妻の仕事や価値を評価しつつ、対照的な自分への同情を誘う「ヒモ男」戦略

「君なしでは生きていけない」。これは、いわゆる「ヒモ男」に多いパターンかもしれません。
つまり夫は働かず、妻の収入に依存して生活し、そのお金を主に遊びのために使うのです。

そして、愛想を尽かして縁を切ろうとした妻には、次のように訴えかけます。
「君に見捨てられたら生きていけない」、「放り出されたら生きていけない」、「君の仕事は立派だ。僕もいずれ頑張って仕事をするよ」など。

これは、相手に見捨てることへの罪悪感を植え付け、同情を誘おうとする戦略です。

しかし、結局のところ、彼らは遊ぶ金欲しさに一緒にいたいだけなのです。
深入りしすぎれば、ギャンブルで負った借金の返済まで背負わされることになりかねません。

このタイプの夫の心理は、基本的に自立しておらず、働きたくないというものです。
彼らに気持ちを入れ替えて働いてもらうためには、「離婚」をキーワードに交渉することも、彼らの目を覚まさせるきっかけになるかもしれません。

3.同情を誘うダメ男と一緒に暮らし続ける妻の心理

では、このようなタイプの男性にばかり惹かれてしまう、あるいは関わり続けてしまう女性の心理的動機はどこにあるのでしょうか。

a)自己肯定感を高めるため、存在価値を証明するため(恋愛依存、共依存)

「この人には自分が必要なんだ」と信じ込み、相手に尽くすことで自分の価値を高めようとします。
誰かの面倒を見ることに自分の存在価値を見出しているため、その対象となる相手と別れることは、自分の存在価値がなくなってしまうことと同義だと感じ、別れることが難しくなります。

b)ダメ男を「育てたい」という願望

幼少期に、家族を顧みず自分だけ遊び回るタイプの父親と過ごした経験がある女性に多く見られます。

子ども心に寂しい思いをしてきた彼女たちは、大人になり父親にそっくりの「ダメ男」と一緒に暮らすことで、その男性を改心させ、きちんとした大人に成長させようとします。
そして、子ども時代に父親から得られなかった愛情を、自分が「育て上げた」男性から得ようとするのです。

c)慣れ親しんだ環境への愛着

父親が家族を顧みない遊び人だった、という家庭環境で育った場合、子ども時代は寂しい思いをしてきたでしょう。

しかし、そのような身勝手な父親がいる環境が「当たり前」だった子どもにとって、年月が流れて大人になった時、「当たり前」の寂しい環境、身勝手な男性がいる「慣れ親しんだ」環境を無意識に求めてしまうことがあります。

また、寂しい環境が当たり前ということは、賑やかで愛情に溢れた家庭を想像すること自体が難しく、親しめない環境だと感じてしまうのかもしれません。

B.妻に仕事を辞めさせて支配する

仕事をすることは、経済力という力を持つことです。
仕事を辞めるということは、その力を失うことを意味します。
夫が妻の仕事を辞めさせて支配しようとする場合は、妻の経済力を失わせ、無力にするわけですが、実は仕事を辞めて失うものは経済力だけではありません。

妻にとっては、仕事を通して得られる自己評価、やりがい、生きがい、職場仲間とのつながり、社会とのつながりなど、これらすべてを失ってしまうのです。

したがって、仕事を辞めることは、孤独で一人きりになることにつながります。

もちろん、退職後に習い事やサークルなどに入って社会とのつながりを持っていれば話は別ですが、妻を支配しようとする夫が、妻がそうした行動を取ることを許すでしょうか。
夫の目的は妻の支配ですから、妻が家で日々一人孤独に過ごしてくれる方が都合がいいのです。

この場合、妻に仕事を辞めさせる夫の動機は、やはり精神的な支配欲が強いと考えられます。
また、妻の収入が夫より高い場合も、夫の見栄や自己肯定感を守るために、妻に仕事を辞めてもらうか、あるいは収入の低いパート労働への転換を迫るかもしれません。

C.支配からの脱却のために(まとめ)

まとめ:支配からの脱却のために

ここまで、妻の仕事を評価・操作して妻を支配する夫の戦略について、「妻に仕事を継続させ、経済的には自立させながらも支配する」方法と、「妻に仕事を辞めさせて支配する」方法の2つを解説してきました。

これらの支配の形は、どちらも妻の自己肯定感を奪い、孤立させ、自由を奪うことを目的としています。もし、ご自身の夫婦関係にこうした傾向を感じ、悩みを抱えているのであれば、それは決して一人で抱え込むべき問題ではありません。

このような関係性から抜け出し、自分らしい人生を取り戻すためには、専門家への相談(心理カウンセラー等)が有効な一歩となることがあります。

ご自身の心の状態や、今後の人生について深く考えたいと思われたら、どうぞお気軽にご相談ください。

申し訳ございませんが、心理オフィスステラでは、モラルハラスメントのご相談は受け賜わっておりません。

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