深く仲良くなる為のコミュニケーション:相手の存在を認め本音で語り合う
1.表面的な関係を超えて、心を通わせるために
人と仲良くなると聞くと、様々なイメージが浮かぶかもしれません。
「思ったことを素直に話す」、「相手の話をきちんと聞く」、「自分の意見を言う」、「人を笑わせる」、「会話をリードする」、「場を盛り上げる」など、人それぞれ、得意なコミュニケーションの形があるでしょう。
しかし、私が考える「仲が良い関係」とは、もっと深く、「お互いが自分の気持ちに正直に話し合える関係」です。
それは、お互いが思っていること、考えていること、感じていることを率直に伝え合い、受け止め合える間柄と言い換えられるでしょう。
自分の話をすること、相手の話を聞くこと、そしてお互いの違いを認め合うことが、この関係を築く上で不可欠となります。

一方で、人を笑わせたり、会話をリードしたり、場を盛り上げたりといった行為は、確かにその場を楽しくするでしょう。
しかし、そこには心の交流が少なく、ただ楽しく騒ぐだけの関係に留まってしまうこともあります。
私が今回焦点を当てたいのは、そうした表面的な楽しさだけではない、真に心を通わせる「人と仲良くなる」ためのコミュニケーションです。

2.人と仲良くなるために最も大切なこと:相手の存在を認める
では、人と仲良くなるために、最も大切なことは何でしょうか?
私は「相手の存在を認める」が最も重要なことだと考えます。
相手の存在を認めるための最初の、そして最も重要な行為は「挨拶」です。
挨拶ができなければ、相手の存在を無視していることになり、そこから人間関係が発展することはありません。
そして、挨拶の次に必要となるのが「雑談」です。
多くの方が、挨拶はできても、この雑談に難しさを感じているのではないでしょうか。
雑談には、あたり障りのない話から、趣味の話、共通の話題、さらには悩みの相談まで、様々な深さがあります。こ
の深さは、自己開示の度合いと、それに伴う関係性の深さに比例します。

3.「絶対雑談が続かない」悩みの根源:コミュニケーションの問題
Index
1.相手の話しを聞くスキルを持っていない
2.自分が話すこと・自己開示をためらう
3.自分が話すことばかり考えてコミュニケーション1人相撲を取っている
4.話しが合わない価値観が違い過ぎる

1.相手の話しを聞くスキルを持っていない
「話し上手は聞き上手」という言葉があるように、コミュニケーションの基本は、相手の話を聞くことです。相手がせっかく話し始めても、こちらがその話を受け止めなければ、相手は一方通行のコミュニケーションだと感じ、不本意に思うでしょう。
話を聞く側としては、話し手が気持ちよく話を続けられる雰囲気を作ることが大切です。
相手の立場に立ち、伝えたい内容と意味を把握し、その時の気持ちを感じ取り、さらに話を促進するような反応を心がけましょう。
まずは相手に気持ちよく話してもらうこと。
相手は何か目的があって話し始めたのですから、その目的を達成させてあげましょう。
きちんと受け止めて聞いてもらえれば、話し手は満足感を覚え、あなたに好意を抱くはずです。

2.自分が話すこと・自己開示をためらう
「人の話は聞けるけれど、自分が話すのは苦手」という方もいらっしゃいます。自分が話すことが苦手なのは、どのような理由からでしょうか。
a)話すスキルに自信がない
b)話す話題がない 何を話して良いのか分からない
c)話したあとの結果を気にし過ぎる

a)話すスキルに自信がない
自分が話す際に大切なことは何でしょうか?
人によっては、「相手が興味を持つように話す」、「面白おかしく話す」、「論理的に話す」、「簡潔に分かりやすく話す」など、様々な答えがあるでしょう。
しかし、私は「自分に正直に、一生懸命に話す」ことが最も大切だと考えています。
もちろん、話すのが非常に上手な人もいます。
しかし、そこまでのスキルがなくても「自分に正直に、一生懸命に話す」ことは誰にでもできます。
今の自分にできることを精一杯すること、今の自分のコミュニケーションスキルを受け入れ、ありのままの自分を表現することが重要です。
コミュニケーションはスキルであり、経験を積むことで上達します。
スキルがないからとコミュニケーションを避けていては、上達することはありません。

b)話す話題がない・何を話して良いのか分からない
「自分には趣味がない」「興味の範囲が狭い」と感じ、話す話題がないと悩む方もいるかもしれません。しかし、本当に何も話す話題がないのでしょうか?
今まで生きてきた体験、最近のニュースを見て思ったこと、感じたことなど、話す話題は意外とたくさん持っているはずです。
話題がないと主張される方は、「話す内容が相手に気に入られるだろうか」、「興味を持って聞いてくれるだろうか」と考えすぎているのかもしれません。
あるいは、「こんな話をしてもいいのだろうか」という申し訳なさを感じているのかもしれません。
話すことに迷う必要はありません。大切なのはことは「自分に正直に、一生懸命に話す」ことです。

c)話したあとの結果を気にしすぎる
自分が話すということは、その内容に対して自分がどう感じたのかを開示すること、つまり自己開示を伴うことがあります。
しかし、自己開示をした後、相手からどう思われるかが気になり、「自己開示が怖い」と感じる方もいます。
しかし、相手がどう思うかは、相手の反応責任であり、話した側の責任ではありません。
話した後の結果や相手の反応を気にしすぎる人は、どこまでが自分の責任で、どこからが相手の責任なのか、きっちりと境界線を考える必要があります。

3.自分が話すことばかり考えて「一人相撲」を取っている
コミュニケーションは、話し手と聞き手がいて成り立ちます。
しかし、相手が話している最中に、自分が次に何を言おうかと考えていては、相手の話をきちんと聞くことができず、すれ違いのコミュニケーションに陥ってしまうかもしれません。
また、自分が話すことに夢中になりすぎて、話を聞いている相手の反応を無視してしまっては、相手を無視したコミュニケーションになってしまいます。
自分が話す時は焦らず、相手の反応を確認しながら、ゆっくりと進めていきましょう。

4.話しが合わない価値観が違い過ぎる
人は様々な価値観や興味を持って生きています。
中には、まったく価値観が正反対で、話をしても理解できない人もいるでしょう。
それはそれで良いのです。
とりあえずお互いに話してみて、分かり合えない部分は、そのままにしておきましょう。
「自分を100%理解してもらいたい」、「受け入れてもらいたい」と強く主張すると、かえって逆効果になることがあります。
これは、相手からすると価値観の押し付けであり、否定や攻撃と捉えられかねません。
大切なのは、自分も相手も大切にしたコミュニケーションであり、自分を100%認めてもらうことではありません。
自分の主張を大切にしつつ、意見の違う相手も認め、尊重することなのです。
違いは違いであり、間違いではありません。
そして、相手に多くを期待しすぎないことも大切かもしれません。

4.自己開示と相互理解が、深い関係を育む
これまで繰り返し述べてきましたが、人と仲良くなるためには、自己開示、つまり「自分とは何者であるか」という情報を相手に提供し、自分を知ってもらうことが必要です。
そして、お互いが自己開示し合うためには、コミュニケーションが不可欠なのです。
しかし、自己開示した情報に対して、反応してくれない相手もいるでしょう。
これは相手の反応の問題であり、自己開示した側の問題ではありません。
人と仲良くなる過程、親密化の過程は様々です。
共通の話題や趣味、価値観などを共有し、さらには悩みを相談し合うなど、共有できる範囲は親密度の程度に比例します。
そして、深い親密さを築くためには、お互いの自己開示と、それに基づいた相互理解が何よりも必要なのです。

5.自分を知り、自分を解放する大切さ
そして、最後に大切なことがあります。
自己開示をするためには、自分が何を思い、何を考え、何を感じているのか、自分が自分を理解している必要があります。
しかし、生育歴などの影響からか、常に自分を抑え続けてきたために、自分が何を思い、考え、感じているのかを感じにくくなっている方もいらっしゃいます。
これは、自分を抑える習慣がついてしまっただけです。
自分を解放できれば、自分が何を思い、考え、感じているのかを、必ず感じ取れるようになります。
心理カウンセリングは、人と仲良くするためのコミュニケーションのスキルを学び、そして、あなたが自分自身を理解し、抱えている問題解決に役立つでしょう。
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