MENU

対抗依存とアダルトチルドレン:心の防衛と多様な症状

アダルトチルドレンと心の防衛としての「対抗依存」

心理オフィス ステラでは、ご自身がアダルトチルドレンかどうかを診断するカウンセリングやご相談は承っておりません。

私たちが大切にしているのは、ご自身がアダルトチルドレンであると気づかれた後、どのようにご自身の人生を生きるか、そのサポートをさせていただくことです。

また、「アダルトチルドレン」という言葉自体は、決して病気ではありません。
これから様々な症状や反応について文献に基づきご紹介しますが、これらは機能不全家族(アダルトチルドレンが育った環境)を生き抜く中で、二次的な反応として現れることが多いものです。

「アダルトチルドレンだから、必ずこれらの症状がある」と決めつけないでください。
そして、もし身体的な症状でお困りの場合は、カウンセリングだけでなく心療内科や精神科の受診もご検討ください。

Index
1.共依存・依存症の発生プロセスを振り返る
2.対抗依存とは何か?
3.私が抱えていた対抗依存の症状
4.アダルトチルドレンに見られる症状

1.共依存・依存症の発生プロセスを振り返る

まず、アダルトチルドレンが共依存やその他の依存症に陥るプロセスを簡単に振り返ってみましょう。

a)機能不全家族の存在: 健全な親子関係や家族の機能が果たされない環境で育ちます。

b)様々な心の傷を負う: 親との健全な繋がりが得られず、その結果「見捨てられることへの不安を抱えたり、自分自身と繋がることができない「自己の喪失」を感じたりします。これが慢性的な不安や空虚感へと繋がります。

c)空虚感を埋める試み: この心の穴を埋めるために、様々な依存症が現れることがあります。

共依存: 特定の相手(多くは問題を抱える人)に過度に関わり、その人の世話をすることで自分の価値を見出そうとする「人への依存」。

物質依存: 物欲を満たしたり、一時的な優越感を得たり、あるいは感覚を麻痺させるために、アルコール、薬物、ギャンブルなどにのめり込む。

行為依存: 仕事や特定の趣味に熱中しすぎるなど。

しかし、これらの方法では、根本的な空虚感を満たすことはできません。
なぜなら、空虚感の本質は「自己の喪失」にあるからです。
自分自身をしっかりと確立できない限り、この空虚感から完全に抜け出すことは難しいのです。

私自身の話をさせていただきますと、私もアダルトチルドレンです。機能不全家族で育ち、様々な心の傷を負い、空虚感も感じていました。しかし、共依存や他の依存症に陥ることはありませんでした。
なぜか?
その理由を考えてみたいと思います。

2.対抗依存とは何か?

私のケースを考える上で重要なのが、「対抗依存」という概念です。
一見すると共依存とは全く異なり、他人から「孤立」する特徴を持つのが対抗依存です。

対抗依存の主な特徴は、以下の4つが挙げられます。

a)防衛: 自分の感情や行動を否認する心理的な防御。他者からの影響や自分の弱さを認めないようにします。

b)自己充足: 他者との関係において感情的な欲求を否認します。誰かに頼ったり、感情的なサポートを求めたりすることを避けます。

c)孤立: 親密な関係性から自ら距離を取り、引きこもります。深い人間関係を築くことを避ける傾向があります。

d)行動化: 批判的になったり、怒りを露わにしたり、他人を傷つけたり支配しようとする挑戦的な行動に出ることで、自分の内面の弱さを隠そうとします。

(参考文献:緒方明著『アダルトチルドレンと共依存』誠信書房)

3.私が抱えていた対抗依存の症状

私は依存症に陥ることなく、むしろ子どもの頃からこの「対抗依存」の特徴を強く持っていたように思います。
それは、対抗依存によって自分自身を守っていたからだと考えています。

私なりに対抗依存をまとめると、このような状態でした。「自分の感情(他者との親和感、自己の孤独感)を否認し麻痺させて、他者との付き合いを避け距離を置き、心理的に引きこもることを選択する。そして、人を認めることなく自分を特別視し、他者に対して根拠のない優越感を持ち、心の中は攻撃性に満ちている」。

つまり、私は「他者と繋がりたい」、「理解されたい」という自身の思いや、理解されない淋しさを否認しました。
そして、人との付き合いを避け、心理的に引きこもることを選択した結果、依存症に陥らなかったのだと思います。そこには、ある種の「諦め」の心理があったと感じます。

また、自身の劣等感を補うために、根拠のない優越感を持ち、同時に攻撃性も持ち合わせていたことが、円滑な人間関係を築けなかった要因でもありました。これは、劣等感に対する補償心理の表れです。

したがって、私は常に一人ぼっちでした(似たような感覚を持つ数人の友人はいましたが)。
しかし、この一人ぼっちになること、孤独になることによって、自分自身に殻をまとい、自分を守ることができたのだとも思います。
私は「孤独」を選択することで、他者との軋轢を避け、自分を守ったのです。

さらに、親からの境界線を越えた支配が非常に強く、常に感情を抑圧して育ったため、その反動として青年期には抑圧的な傾向がありました。
他の依存的な行為に対しても、自分を厳しく律し、批判的な姿勢で臨んだことにより、依存症に陥らなかったと考えています。

さて、対抗依存の話に戻りますが、カウンセリングをしていると、この対抗依存の傾向を持つ方が非常に多くいらっしゃいます。

例えば、自分の優越性を発揮するために相手を打ち負かすことに一生懸命になったり、あるいは、やたらと無愛想で「近寄るな」という雰囲気を醸し出したりする方々です。

表面上は「人間嫌い」に見えるかもしれませんが、実は「人恋しい」という感情を抱えています。
しかし、それを表現するための心の余裕やスキルがなく、どうにもならない気持ちで満ちている。
そのような状態の方も少なくありません。

このように、アダルトチルドレンと一口に言っても、現れる症状や状態は本当に様々です。
アダルトチルドレンという共通の土台がありながらも、それぞれの症状、思考、行動、感情には個別の多様性があることを理解し、向き合っていく必要があるのです。

では、次に様々なアダルトチルドレンの症状や状態を列挙します。

4.アダルトチルドレンに見られる症状

感情面・心理面
1.抑うつ状態
2.不安やパニックに襲われる
3.自殺または自殺念慮
4.強迫観念と衝動強迫
5.薬物依存
6.低い自己価値
7.人格障害
8.病的恐怖症
9.ヒステリ−症
10.性的障害
11.疑念を抱く
12.対人接触障害
13.分裂病
14.感情鈍麻
15.集中力欠如
16.過度の怒り
17.欲求不満に対する忍耐の低さ
18.受動的あるいは攻撃的な人格
19.極端な依存
20.相互依存不能
21.楽しみ遊ぶことの不能
22.断定不能
23.人に気に入られようとする
24.被承認欲求
25.アイディンティティの混乱

身体面
1.薬物依存
2.摂食障害
3.よく怪我をする、慢性的な身体の痛み
4.緊張と偏頭痛
5.呼吸器疾患系
6.潰瘍、大腸炎、消火器系疾患
7.便秘、下痢
8.不眠
9.筋肉緊張
10.顎間接症候群

参考文献
アダルトチルドレンの心理
ジョンC.フリエル リンダD.フリエル著 ミネルヴァ書房

私がアダルトチルドレンの症状で一番辛かった時期は、10代後半から30代前半までは、上記感情面・心理面のうち、強迫観念と衝動強迫、低い自己価値、疑念を抱く、対人接触障害、感情鈍麻、受動的あるいは攻撃的な人格、相互依存不能、楽しみ遊ぶことの不能、被承認欲求、アイディンティティの混乱と、25項目中10項目が該当しています。

今では、楽しみ遊ぶことの不能だけですが。

それから身体面につきましては、医者にかかるほどのことはなかったので該当項目ゼロと思います。

このように、アダルトチルドレンという共通性があっても表面に表れる症状は人各々違ってくるのです。

関連リンク
心理カウンセラー紹介

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!