子育ての悩み:子どもの心に届く「会話」と「叱り方」のヒント
子育ては、喜びと同時に多くの悩みを伴うものです。
中でも、まだ幼い子どもとの会話や、子どもを叱るという行為は、親にとって特に難しく感じるのではないでしょうか。
年齢も価値観も全く異なる存在だからこそ、当然の戸惑いと言えるでしょう。
子どもとの「話し方」と「叱る」ことの本当の意味
Index
1.子どもとの会話は「興味を持って聞く」ことから
2.「叱る」ことの意味を考える:なぜ叱れない親がいるのか
3.「怒る」と「叱る」は違う:知性で向き合うこと

1.子どもとの会話は「興味を持って聞く」ことから
子どもには、子ども自身の価値観や感覚の世界があります。
それは、親であるあなたの価値観とは、時に大きく異なるものです。
親としては、子どもが何かに夢中になっている姿を見て、「それが将来何の役に立つのだろう」、「時間の無駄ではないか」と感じることもあるかもしれません。
しかし、それはあくまで親の固定観念や思い込みに過ぎないことがほとんどです。
何事も決めつけず、まずは子どもの話に耳を傾けてみましょう。
「何がそんなに楽しいの?」、「どうしてそれに興味があるの?」と、純粋な気持ちで問いかけてみてください。
親が自分の価値観に合わないからといって、子どもの興味を否定的に捉えてしまうと、会話は途絶え、子どもへの理解も深まりません。

まずは、「聞くこと」そして「興味を持つこと」。
これを心がけるだけで、子どもは安心して心を開き、たくさんのことを話し始めるでしょう。
親が真剣に話を聞いてくれることで、子どもは「自分が興味を持っていることを話してもいいんだ」、「自分の気持ちを表現しても受け入れてもらえるんだ」という前向きな感覚を育みます。
人生において最大の味方である親が自分を否定しないことは、子どもの自己肯定感を育む上で何よりも大切です。
もし親に否定されてしまえば、子どもは自信をなくし、萎縮してしまうからです。

2.「叱る」ことの意味を考える:なぜ叱れない親がいるのか
以前、Eテレの「ウワサの保護者会」で、「子どもを叱れない母親」の特集が組まれていました。
その母親は、ご自身が子どもの頃に親から厳しく叱られて辛い経験をしたため、「自分が同じように叱ると、子どもを傷つけてしまうのではないか」と話していました。
親が子どもの頃に経験した「叱られた記憶」が、今の「叱れない」という行動に繋がっていることもあるのだと、私自身も改めて考えさせられました。
一方で、「自分が親に厳しく叱られて育ったから、子どもにも同じように厳しくすべきだ」と考える親御さんも少なくありません。
親が学習した叱り方や関わり方を、無意識のうちに自分の子どもにも適用してしまうパターンはよく見られます。

また、「叱り方が分からない」という理由で、子どもを叱ることができない親御さんもいらっしゃるかもしれません。
効果的な叱り方について、学ぶ必要性を感じることもあるでしょう。
番組では、叱ることで親子間に「緊張状態」が生じることを避けたいがために、あえて叱らない選択をする親御さんについても触れていました。
これが、いわゆる「友達親子」と呼ばれる関係性の一因となっている場合もあるようです。
しかし、親が子どもに遠慮してしまっているのだとしたら、それは健全な関係性とは言えません。

3.「怒る」と「叱る」は違う:知性で向き合うこと
子どもを「叱る」ことについて、興味深い話がありました。
子ども自身は、悪いことをしているという自覚がある場合、親に叱られないと「自分は無視されている」、「関心を持ってもらえていない」と感じることがあるというのです。
「叱ってほしい」という矛盾した思いを抱えることもある、と。特に小学生や中学生くらいの子どもに多く見られる感覚かもしれません。
ここで大切なのは、「怒る」と「叱る」の違いを理解することです。

私なりの解釈も交えて説明すると、
a)怒る
感情をぶちまけること。衝動的で、相手を攻撃するような、自己満足的な感情の発散。
b)叱る
感情的にならず、知性を用いて言葉で諭すこと。なぜそれが良くないのかを具体的に伝え、子どもと向き合い、考えさせる行為。
「叱る」ことは、感情的になる「怒る」こととは全く異なります。
叱ることは、親が冷静に、そして根気強く子どもと話し合うプロセスなのです。
そして最後に、子どもが「屁理屈」を言い始めたら、それに正面から付き合わないことが一番良いと言われています。
「〇〇だからダメなんだ!」、「でも、〇〇は?」といった応酬は、往々にして終わりが見えません。
そんな時は、「そうなのね」、「あなたはそう思っているのね」 と、子どもの発言を受け止めつつ、冷静に流すのが効果的です。

屁理屈が通じないと分かった子どもは、一人になった時に「あの時、あんなことを言うんじゃなかった」と自己反省することが多いそうです。
自分のエネルギーが空振りに終わり、虚しさを感じることで、子どもは「これは通用しない」と学習し、成長していくのでしょう。
子育ては、親も共に成長する旅です。
日々の会話や叱ることを通して、子どもの心を理解し、健全な成長を促していきましょう。