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肯定的意味の創造:困難の中に光を見出す力

私たちは、人生において途方もない困難や悲劇に直面することがあります。
突然の解雇や長期の入院など、予期せぬ出来事に遭遇した時、どうしようもない絶望感、怒り、悲しみといった感情に苛まれるのは当然のことでしょう。

「なぜ自分だけがこんな目に」、「もう、生きていく力もない」と、深い苦しみに沈んでしまうかもしれません。

そうした状況では、物事のマイナス面にばかり焦点が当たり、未来を絶望視してしまう気持ち、痛いほどよく分かります。

しかし、時間だけが過ぎ去り、怒りや悲しみに囚われたまま、失意のうちに家に閉じこもり何もせずにいるとしたらどうでしょうか。
もちろん、どんな選択をするかは個人の自由です。
癒えるまで、永遠に何もしないという選択もできないわけではありません。

どんな出来事にも意味はある:意味を考え、創造することの大切さ

しかし、忘れてはならないことがあります。
どんな出来事にも必ず意味があるということです。

物事は陰陽一体であり、マイナスの側面があれば、その裏側には必ずプラスの側面が存在します。
どれほど辛い出来事が起こったとしても、そこには必ず肯定的意味を見出すことができるのです。

肯定的意味とは、起こった出来事に対し、肯定的側面に焦点を当て、人生の当事者自身が創造するものです。

そして、その意味を創造するためには、「行動する」ことが非常に大切になります。
現状の困難な状況を改善しようと行動し、その中で得られる経験や学びを通して、私たちは肯定的意味を創り出すことができるのです。

例えば、50歳の父親が突然職を失い、幼い2人の子どもを抱えるケースを考えてみましょう。
大学3年生の長男は学費を払えず退学を余儀なくされ、妻はパートに出始め、父親自身も再就職先が見つからない。まさに経済的な困難に直面しています。

第三者として客観的に見れば、この家族に肯定的意味を見出すことは難しいと感じるかもしれません。
しかし、肯定的意味を見つけるのは第三者の仕事ではありません。それは、その出来事を体験している当人自身の仕事なのです。
もちろん、私たちは共にその意味を探すお手伝いをすることはできます。

そして、肯定的意味は、すぐには見つけられないかもしれません。時の経過と共に状況が変化し、その意味が見つかることも多々あります。

先ほどの家族を例にすると、次のような未来も考えられます。

長男は大学中退後、働くことを選択。
前向きに就職活動を行い、就職した会社で営業力を発揮し、良い仲間にも巡り合うことができました。母親はパートで働く中で、新たな人間関係を築くことに新鮮さと喜びを感じます。

父親は思うように再就職が進まない中で、「この苦労を多くの同志と分かち合いたい」と考え、アルバイトをしながら失業した父親たちのコミュニティを創設。
やがてマスコミの脚光を浴びるようになります。

このように、逆境や危機が訪れたとしても、私たちの前向きな選択、そしてその辛い経験をプラスに変えようとする意志によって、人生の新たな肯定的側面に徐々に光が当たっていくのです。
肯定的意味は、まるで私たちの発見を待っているかのように、そこに存在しているのかもしれません。

そして、「そうか、あの時の苦しみはこのためにあったのだ」と気づく瞬間が、人生には多々訪れます。

辛さの中でも前向きな選択をし、辛い経験をプラスにしようとすることには、私たちの強い意志が深く関わっています。
意志とは、決意と言い換えることもできるでしょう。

人生の陰陽・「陽は創造出来る」

私自身の経験について少しお話しさせてください。

私は37歳の時、会社を退職しました(2002年時)。
幼少期から経験してきた様々な心理的な苦痛や苦悩をある程度克服した今、その経験を絶対的な価値あるものにしたいという強い意志、決意のもとでの退職でした。
楽しい子ども時代や青春時代とは無縁だった私にとって、この時期はまさに「陰」と呼べるものでした。

しかし、陰陽一体と考えると、必ず「陽」があるはずです。
私は自分の経験した「陰」の様々な経験を「陽」にするために、カウンセラーの道を選びました。
そこには、過去の「陰」の経験を絶対的な価値あるものにしたいという、まさに肯定的意味の創造があったのです。

そうなのです。
意味は、自ら創造できるのです。

私たちが何か辛い経験をしてそこから回復した時、その力は計り知れません。
その力をいかに人生に活用するか、そこにこそ意味があるのです。

困難にぶつかったり、辛いことが起こったりすること自体が、私たちへの人生からの問いかけなのかもしれません。
そして、その事態に対し、いかに振る舞うか。意志と決意のもと、何を選択するのか。肯定的意味を創造するかどうか。

すべてを決めるのは、他ならぬあなた自身なのです。

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