せっかちな人の心理と行動、そして結果
「せっかちな人」と聞いて、あなたはどのようなイメージを抱くでしょうか?
ポジティブなイメージでしょうか、それともネガティブなイメージでしょうか?
「せっかち」という言葉からは、常にイライラしている、落ち着きがない、何かに駆り立てられるように動く、といった印象を受けるかもしれません。
同時に、「常に急げ」「早くしろ」という雰囲気が伝わってきます。
しかしその一方で、せっかちな人からは決断と行動の早さという、力強いイメージも同時に感じられます。
人がせっかちな性格特性を持つ背景には、いくつかの理由が考えられます。
a)遺伝的要因
生まれつき、せっかちな気質が強い。
b)生育歴の影響:
親が常に子どもの行動をせかしていた環境で育った。
c)強い不安感
早くしないと」という漠然とした強迫観念が根底にある。
この記事では、せっかちであることの良し悪しを判断するつもりはありません。

実は、私自身もせっかちな一面を持っています。
多くの方からは穏やかだと思われているので驚かれるのですが、人間は多面的なものです。
普段の私は確かに穏やかだと感じますが、「何か行動しなければ」という状況になると、途端にせっかちな性格特性が現れるのです。
私の場合は、遺伝と生育歴の影響が大きいと考えています(親からせかされて育ったこと、また安心感が得られにくい環境で育ったことも影響しているでしょう)。そして、いつものように心の中で「急げ、急げ、早くしろ」と、まるで後方から誰か(不安)に駆り立てられているような感覚に陥ります。
それでは、せっかち(早すぎる決断と行動)な人の行動がもたらす結果について、具体的に見ていきましょう。

せっかちな人の心理と行動がもたらす問題
Index
1.急速な行動で周囲がついて来れない:孤立のリスク
2.結果を待たず次の行動に移るので(成果、達成の未確認、不完全)
3.熟考不足による決断ミス:視野の狭さがリスクを高める
4.守りに弱く、攻めに強い:待つことの苦手さ
5.せっかちな性格を強みとして活かすために

1.急速な行動で周囲がついて来れない:孤立のリスク
せっかちな人は、何かを思いついたら即座に実行に移したいという気持ちが非常に強い傾向があります。
そのため、組織やグループ活動においては、その力強い実行力が空回りし、周囲から浮いてしまう可能性があります。
あまりにもせっかちすぎると、皆で議論し、熟考すべき場面においても、そのプロセスを飛ばして自分の衝動に従い、猛進してしまうこともあるでしょう。そ
のため、集団行動にはあまり向いていないかもしれません。
結果として、「自分勝手に動く人」といったレッテルを貼られ、誰もついて来られなくなり、孤立してしまう可能性も秘めているのです。

2.結果を待たず次の行動に移るので(成果、達成の未確認、不完全)
せっかちな人には、大きく分けて二つのタイプがいるかもしれません。
Aタイプ: 一つのことをせっかちに、最速で進めたい。
Bタイプ: 複数のことを同時に、次々と進めていきたい。
いずれのタイプにせよ、彼らは決断し、実行し、行動した結果をきちんと把握する前に、次の行動に移りたいという強い衝動を持っています。
そのため、これまで実行してきた行動の成果や達成の検証が不十分になり、結果として成果が不完全なまま終わることが多いかもしれません。
とにかく「過活動」の衝動に駆られ、じっとしていられないのです。
この不完全感がさらに次の何かを達成したいという欲求を生み出し、せっかちな性格特性は次から次へと行動を起こさせます。
しかし、結局は同じループを回っているだけであり、注ぎ込んだ行動力やエネルギーに比して、何も達成していないという状況に陥ってしまうこともあるのです。

3.熟考不足による決断ミス:視野の狭さがリスクを高める
人は何か行動を起こす前には、この方法で良いのか、他に選択肢はないかなど、自分なりに熟考するものです。
しかし、せっかちな人は、熟考せずに安易に選択・決定してしまう傾向があるため、選択のミスが多発するでしょう。
これは、何かを選択する際に必要となる、多角的で複眼的な検討能力や、潜在的なリスクを管理する力が不足しているためです。
せっかちな性格特性のため、急いでいることで視野が狭くなり、強い思い込みに基づいて選択や決定を下してしまうため、行動を起こす前の段階で誤った判断をしてしまうのです。

4.守りに弱く、攻めに強い:待つことの苦手さ
せっかちな人は、勝負事において「勝ちを急ぐ」傾向があります。
攻撃している時は、調子も良く、テンポよく攻めることができますが、形勢が逆転し、守りに回ってしまうと、せっかちであるがゆえの攻撃力は封じられ(守ることを学んでいない、あるいは守るための我慢や耐性が低い)、一気に瓦解してしまう傾向があります。
そもそも、せっかちな性格特性の人は、前に進むことを好み、待つことが苦手です。
しかし、「守る」という行為は、時間の概念においても「待つ」ことを要求されるため、せっかちな人の性格特性とは相性が良くないと言えるでしょう。
ここまで、せっかちな人の性格特性がもたらすリスクや行動の結果について述べてきました。

5.せっかちな性格を強みとして活かすために
せっかちな性格特性には、早い決断力、高い実行力、そして行動力という、紛れもない長所があります。しかし、その長所が、性急すぎる判断、視野の狭さ、短慮といった短所によって十分に活かされていない場合が多いのです。
もしあなたが自分にせっかちな傾向があると感じるのであれば、これらの短所を常に念頭に置き、それらがあなたの長所を邪魔しないように行動していくことで、あなた独自の力を最大限に発揮できるようになるでしょう。
また、あまりにも目標や行動を未完成のまま次々と変えてしまうと、「いい加減な人」と思われ、周囲からの信頼を失うことにも繋がります。この点には特に注意が必要です。