なぜ?「ちょっとした冗談」、からかっただけで、激怒する人の心理
あなたの周りに、普段は穏やかなのに、ほんの少しからかわれただけで激しく怒り出す人はいませんか?
多くの人は、冗談を言われても笑い飛ばしたり、受け流したりできます。
しかし、なぜか正面から受け止め、激高してしまう人がいるのです。
その心理には、一体どのような背景があるのでしょうか。
ここでは、心理カウンセラーの視点から、その5つのパターンを解説します。

ちょっとしたことで激怒する5つの心理パターン
Index
1.守りたい「心のテリトリー」
2.親との関係による「過剰反応」
3.相手に対する「好き嫌い」の感情
4.隠された「劣等感」との関係
5.「これ以上傷つきたくない」という防衛本能
1.守りたい「心のテリトリー」
私たちは皆、自分自身の心を安全に保つための「テリトリー」を持っています。
ちょっとした冗談であっても、そのテリトリーを侵されたと感じると、過剰に反応して自分を守ろうとします。
特に、その冗談が本人が意識的、あるいは無意識的に気にしている「心の傷」に触れてしまった場合、怒りは爆発的なものになります。
からかった側には悪気がなかったとしても、相手にとっては「心の地雷」を踏まれたようなもの。
悪意のあるなしに関わらず、安易に人をからかう行為は、相手の心の傷を刺激し、激しい怒りを引き起こす可能性があるのです。

2.親との関係による「過剰反応」
過去に親から心ない言葉を浴びせられ、心の傷を負った経験がある人もいます。
例えば、常に「お前は本当にダメな子だ」とバカにされ続けた人が、他者から少しでも似たような言葉を言われると、過去の傷が疼き、激しく怒り出すことがあります。
この場合、目の前の相手に怒っているのではなく、心の奥底にある「親からの言葉の呪縛」に反応している状態です。
しかし、冷静に考えてみれば、冗談を言った相手は親ではありません。
過去の傷が、今の人間関係に過剰な反応を引き起こしているのです。
もし、このようなパターンに心当たりがある場合は、一度心理カウンセリングなどを通じて、心の整理をしてみることも有効な選択肢です。

3.相手に対する「好き嫌い」の感情
同じ冗談でも、親しい友人に言われたら笑って許せるのに、嫌いな人に言われたら激怒してしまう。
そんな経験はありませんか?
これは、相手に対する好感と嫌悪感の違いが、怒りの反応に大きく影響しているからです。
好意を持っている相手からの言葉は「親愛の証」と受け取れますが、嫌悪感を抱いている相手からの言葉は、それだけで「馬鹿にされた」と感じてしまいがちです。
そもそも関わりたくない相手が、無意識に抱いている嫌悪感を刺激するような言動をとったとき、抑えきれない怒りが爆発してしまうのです。

4.隠された「劣等感」との関係
人は、誰しも何かしらの劣等感を抱えています。
しかし、その劣等感は、普段は意識の奥深くに隠されていることが多いものです。
ちょっとしたからかいの言葉が、その劣等感をピンポイントで刺激した場合、劣等感の強さに比例して怒りも大きくなることがあります。
他者から受けた傷ではなく、自分が自分自身に貼ったネガティブなレッテルに触れられると、激しい怒りとなって現れるのです。
もし、自分がどういった言葉に激怒するのかを冷静に分析してみると、その背後にある劣等感やその原因が見えてくるかもしれません。

5.「これ以上傷つきたくない」という防衛本能
激怒する人たちの心理をまとめると、共通しているのは「これ以上、自分は傷つきたくない」という強い防衛本能です。
心の傷、親との関係、好き嫌いの感情、劣等感等、これらの根深い問題が複合的に絡み合い、「これ以上同じことで傷つけられるのは嫌だ」という無意識の叫びが、怒りとなって表れているのです。
もしあなたが怒りやすい傾向にあるなら、怒った後に「なぜ、あそこまで怒ってしまったんだろう?」と冷静に振り返ってみてください。
自分がどんな言葉に過剰に反応するのか、それは過去から続く自分のパターンではないのか、と見つめ直すことで、違う景色が見えてくるはずです