否定を恐れる人の「同意を求める話し方」に隠された心理とは?
私たちは、自分の意見や考えを否定されることに敏感です。
それは自然な感情であり、誰にでもあることでしょう。しかし、その「否定されたくない」という気持ちが強くなりすぎると、無意識のうちに相手に同意を求めてしまうことがあります。
「否定を恐れる人」の同意を求める話し方には、一体どんな心理が隠されているのでしょうか。
そして、もしあなたがそのような話し方をしてしまっているとしたら、どうすればいいのでしょうか。

反対意見等を恐れ同意を求める言い方
Index
1.「〇〇じゃないですか?」に隠された支配性の正体
2.心理カウンセリングの現場では、同意を求める言い方にどう対応する?
3.支配性が明確な「同意の強制」
1.「〇〇じゃないですか?」に隠された支配性の正体
職場の会議や友人との会話で、「人間って、やっぱり利益のために動くものじゃないですか?」といった話し方を聞いたことはありませんか?
この「~じゃないですか?」という言い方は、「私はこう思うのですが、あなたも同じ意見ですよね?」という同意を求めているサインです。
そこには、「私の意見を否定しないでほしい」「できれば、賛成してほしい」という心理が隠されています。
さらに深く見ていくと、そこには「否定させない」という、ごく小さな支配性が働いているとも考えられます。
もちろん、これは無意識であることがほとんどです。
話し手は悪気なく、ごく自然にこの言葉を使っているのです。

ではなぜ、このような言い方が増えてきたのでしょうか。
考えられる理由の一つに、SNSの普及があるかもしれません。
匿名での誹謗中傷が蔓延する現代では、「自分の意見を言うと叩かれるかもしれない」という恐怖から、最初から「皆が同じ意見である」という空気を作り出し、自分を守ろうとする心理が働くのかもしれません。

2.心理カウンセリングの現場では、同意を求める言い方にどう対応する?
心理カウンセリングの場で、もしクライエントの方から「親って自分勝手なものじゃないですか?」という言葉が出たとします。
このとき、カウンセラーが「そうですね、自分勝手な親は多いですよね」と同意してしまうと、どうなるでしょうか?
クライエントの方は一時的に安心するかもしれませんが、自分の考えを深く掘り下げることができません。

なぜなら、同意は「共感」や「理解」とは別物だからです。
私はこの場合、「あなたは、さまざまな経験から、親は自分勝手なものだと感じていらっしゃるのですね」と返答するようにしています。
これは、相手の言葉をそのまま受け止め、理解していることを伝えるメッセージです。同意はしません。
同意を求めてきた相手に安易に同意してしまうと、カウンセリングの場が健全な対話の場ではなくなってしまうからです。

3.支配性が明確な「同意の強制」
一方で、もっと明確な支配性を持って同意を求めてくる人もいます。
たとえば、会社の会議で「コスト削減にはこの方法がいいと思います。あなたもそう思いませんか?」と、圧力をかけるように同意を求めてくるような場合です。
このケースでは、「否定されたくない」というよりも、「自分の意見を押し通したい」という強い支配欲や傲慢さが前面に出ています。
このような話し方をする人は、他者の意見を聞く姿勢に欠けており、自分の論理を押し付けることに終始しがちです。
そして皮肉なことに、このような人の意見は、意外と根拠が薄かったり、軽薄に聞こえることも少なくありません。

もしあなたがこのような話し方をする人に出会ったとしても、恐れる必要はありません。
大切なのは、「言葉は自分を証明する」ということを知ることです。
自分が発する言葉が相手にどのような影響を与えているか、そして、その言葉の裏にどんな心理が隠されているのか。
そのことを理解するだけで、人とのコミュニケーションは大きく変わっていくはずです。
もしあなたが「つい同意を求めてしまう」と感じたことがあるなら、一度、自分の話し方を客観的に見つめ直してみてはいかがでしょうか。