夫婦喧嘩:「喧嘩するほど仲が良い」は本当でしょうか?
「夫婦は喧嘩するほど仲が良い」という言葉を耳にすることがあります。
本当にそうなのでしょうか?
もちろん、ここでの夫婦喧嘩とは口喧嘩のことで、取っ組み合いの喧嘩を指すわけではないでしょうが。
さて、私は「喧嘩」という行為を、平常心を欠き、攻撃性に基づき、感情的に相手を傷つける行為だと考えています。

では、そもそもなぜ夫婦は喧嘩をしてしまうのでしょうか?
喧嘩の本質は、感情的な激しい自己主張であり、相手を傷つけることに他なりません。
そして、傷つけられたと感じた側は、その傷つけた相手を、自分が傷ついた以上に傷つけようと、激しい言葉で攻撃してしまう。
これが喧嘩の連鎖です。
もし、相手が傷つくようなことを言わなければ、あるいは穏やかな口調で話せば、喧嘩には発展しないはずです。ではなぜ、私たちはつい相手が傷つくようなことを言ってしまったり、攻撃的な口調になってしまうのでしょうか?

夫婦喧嘩の原因:あなたの心に潜むもの
夫婦喧嘩の原因は、いくつか考えられます。そのパターンを振り返ってみましょう。
1.普段から言いたいことを我慢し、感情が爆発してしまう
これは非常によくあるパターンです。
夫婦関係において、普段からパートナーに言いたいことを我慢し続け、ストレスを溜め込んでしまうことで、感情が大爆発を起こすのです。
日頃からの不平、不満、お願い事などは、穏やかに伝え続けることで、感情的な爆発は防げます。
しかし、「なぜ、普段から言いたいことが言えないのか?」と感じるのであれば、その心理的な動機を考えることが大切です。
相手との関係性や、ご自身のコミュニケーションパターンに目を向けてみましょう。

2.傷つけるつもりはなかったが、相手の言葉の受け取り方に問題がある
人はそれぞれ、出来事や言葉に対して自分なりの反応をします。
パートナーがどのようなことで傷つくのか、その傾向を普段から知っておくことは非常に重要です。
そうすれば、相手が傷つくであろうことに対して、配慮を持って言葉を選ぶことができます。
また、自分が相手の言葉で傷ついたと感じた時、「もしかしたら、自分の受け取り方や解釈に問題があるのではないか?」と自分を振り返ることも大切です。
言葉の解釈には、過去の経験や心理的な問題が大きく影響していることもあります。
例えば、パートナーとの意見の相違を、自分が否定されたと過度に捉えてしまう「否定に敏感すぎる」傾向がないか、考えてみるのも良いでしょう。

3.人を傷つけること・その感覚が分からない(悪意を含む場合も)
これは、相手の気持ちを感じる能力が鈍い、あるいは悪意がある場合です。
相手の心を感じることが苦手なパートナーに対しては、どのような時に自分が傷つくのか、具体的に伝えてあげる必要があります。
例えば、「〇〇という言い方をされると、私は悲しい気持ちになる」というように、感情を添えて伝えることで、相手も理解しやすくなります。
一方で、悪意を持って人を傷つけるパートナーの場合、それは相手の基本的な人間性の問題になります。
残念ながら、あなたの努力だけでは解決が難しいかもしれません。その場合は、今後の関係性を真剣に考える必要があるでしょう。

本当に激しい感情のぶつけ合いをする夫婦は仲が良いのでしょうか?
「喧嘩するほど仲が良い」という言葉は、激しい感情をぶつけ合うことでお互いを理解し、結果として関係性が深まる、という意味合いで使われることが多いようです。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
私は、激しい喧嘩をせず、穏やかに話し合える関係性の方がはるかに良いと考えています。
そもそも、喧嘩の時にしか自分の本音を言えないのだとしたら、その夫婦関係には根本的な疑問を感じざるを得ません。
喧嘩は感情のぶつけ合いであり、激しい自己主張であると同時に、相手を傷つけることに焦点が当たっています。
そのため、お互いが深く傷つけ合うことになり、喧嘩の内容によっては、修復不可能な亀裂が生じる可能性もあります。
「そんなつもりはなかった」と言っても、深く傷ついたパートナーから距離を置かれてしまうリスクもあるのです。

だからこそ、日々の何気ないコミュニケーションを大切にし、何でも話し合える雰囲気を作ることが、夫婦関係において最も重要です。
伝えたいこと、言いたいことがあれば、常に話し合える「土壌」を築いておくこと。
これが、健全で安定した関係を築く鍵です。

1.もし喧嘩になってしまったら
とはいえ、人間ですから、常に冷静でいることは難しいかもしれません。
もし喧嘩になってしまったら、その場を長引かせず、早めに収めることに力を注ぎましょう。
その方が、はるかに健全であり、賢明な選択です。
では、どうすれば良いか? 一つは、先に謝ることです。
どちらが正しいか、どちらが悪いか、という議論は一旦置いて、まず「感情的になってごめんなさい」「傷つけてしまってごめんなさい」と、自分の非を認める姿勢を見せる。
それが、落ち着いて話し合うための第一歩となるでしょう。
夫婦喧嘩について、何か気になることやご相談したいことはありますか?