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恋愛における不安、依存、そして攻撃性

恋愛依存の破滅的なサイクルを断ち切るために

Index
1.恋愛依存症が招く「破滅へのサイクル」
2.不安・依存・攻撃の悪循環
3.恋愛依存の果てにある自己破壊

1.恋愛依存症が招く「破滅へのサイクル」

カウンセリングの現場でよく聞かれるのが、「恋人にしがみついてしまって、どうにもならない」という切実な声です。
たとえば、A子さんの次のような訴えがありました。

「彼は月の半分以上、出張に行きます。出張中はたくさんメールを送るのですが、ほとんど返事が返ってこないんです。私はこれだけ彼のことを思っているのに、彼は私のことをどう思っているのでしょうか?」

A子さんの「たくさんメールを送る」という言葉を詳しく聞いてみると、驚くべき実態が浮かんできました。
「仕事が終わったと思われる19時頃から、1時間おきに深夜まで打ち続ける」というのです。

皆さんは、このA子さんの行動をどう思われるでしょうか?
なぜ、そこまでメールを送る必要があるのか、A子さんに尋ねてみました。
すると、彼女はこう答えました。

「常に彼の存在を感じていたいから」。

A子さんは派遣社員として17時には仕事を終え、18時半には帰宅します。
これといった趣味もなく、帰宅後は彼のことを考える以外にすることがないと言います。
そして、いつも「自分はこれだけ彼のことを思っている」と話すのです。

では、このA子さんのケースから、問題の本質を探っていきましょう。

A子さんは1時間おきに深夜までメールを打ち、彼から返信がないと彼を責め、怒っています。
彼女は常に彼のことを考えており、それを「彼を愛しているから」だと捉えています。

a)深夜まで続く一方的なメール送信

「彼の返信が欲しい」、「存在を感じていたい」という思いからの行動だとしても、冷静に考えてみましょう。

出張中の彼は、商談後の付き合いがあったり、疲れて眠っているかもしれません。
これらは仕事の一部であり、彼の状況を考慮する必要があります。
深夜まで一方的にメールを送り続ける行為は、もはや常識の範囲を超えていると言わざるを得ません。

b)期待が満たされないことへの「攻撃」

彼からの返信が欲しいというA子さんの思いは、あくまで彼女自身の期待です。
そして、その期待が満たされないからといって、彼を責めるのは筋違いです。

人間関係は、お互いが相手の期待や要求を満たそうと努力することで円滑になります。
A子さんは、彼の期待を満たしているのでしょうか?

一方的に自分の期待や要求を押し付けるだけでは、「自分勝手」と言われても仕方がありません。

c)「愛」と「しがみつき」の混同

A子さんが常に彼のことを考えているのは事実でしょう。
しかし、それは本当に「愛している」ということだけなのでしょうか?

常に彼のことしか考えられない状態は、「愛」というよりも「しがみつき」に近いと言えます。
A子さんの場合、「愛」と「しがみつき」が同じ意味になってしまっているのです。

では、なぜこのような状態に陥ってしまうのでしょうか?
次に、「不安」「依存」「攻撃」というサイクルの観点から見ていきましょう。

2.不安・依存・攻撃の悪循環

恋愛依存の背後には、「不安」、「依存」、「攻撃」という悪循環が潜んでいます

攻撃: A子さんが彼からの返信がないことに怒りを覚えるのがこれにあたります。

依存: A子さんが彼とつながっていることを常に確認したくて、深夜までメールを送り続ける行為です。

なぜ、そこまで確認したがるのでしょうか?
その根源的な理由は、「自分と自分がつながっていない」ことにあるのです。

自分自身とつながっていないため、恋人や他人に必要以上に「つながっている」ことを確認せずにはいられません。
自分の存在の確実性を、他者に依存している状態です。

不安: 「自分が自分とつながっていない」というのは、自己信頼感の欠如、自己不信、自己受容ができていないことを指します。

これをイメージで説明すると、まるで「大地に立っているのに、自分を信頼できないから地に足がつかず、宙に浮いたように立っている」状態です。
その浮いた隙間にあるのが「不安」なのです。

だからこそ、その浮いた分を他人や恋人によって補おうとします。
大地に安定して立てていないため、人にしがみつくことで安定を得ようとするのです。

「大地に立っている」という言葉は、「自分の人生を生きている」とも言い換えられます。

つまり、不安感が強いと、それを補うために他人や恋人に自己存在の確実性を依存し、相手が自分の存在を保証する行動を取ってくれないと、さらに不安感(例えば、「見捨てられるのでは」という不安)が増幅されます。

そして、何が何でも自分の方を向かせようとして、過剰な要求や期待が発生し、攻撃的になってしまうのです。

これはA子さんだけでなく、多くの恋愛依存症に共通する心理と言えるでしょう。

A子さんの心の根源的な問題は、「自分が自分とつながっていないこと」からくる不安です。

だからこそ、サイクルは不安 → 依存 → 攻撃となるのです。

そして、このような場合のカウンセリングは、最終的にA子さんが「自分と自分がつながる」ことを目指して進んでいきます。
それは、自分の人生を自分に正直に生きることです。
自分の問題と真剣に向き合うことから始まります。

3.恋愛依存の果てにある自己破壊

さて、不安と依存は、人以外の他の何かへと向かうこともあります。
アルコール、薬物、仕事、ギャンブルなどがその例です。

アルコールや薬物の場合は、不安感を和らげようとそれらに向かいます。
感覚を麻痺させ、一時的に苦痛から逃れようとするのです。
仕事やギャンブルは、それに打ち込むこと、熱中すること(ギャンブルの場合は過剰な興奮による快感も)で不安感を和らげます。

しかし、いずれにせよ最終的に訪れるのは自己破壊です。

アルコールや薬物の乱用が破滅的な結果を招くことは、もはや言うまでもありません。
過剰な仕事は体を壊し、ギャンブルは経済的損失や自己破産へと繋がるでしょう。

そして、恋愛依存症の場合、相手に必要以上にまとわりついた結果、相手から疎まれ、嫌われ、最終的には一番恐れていた「見捨てられる」という結果を招いてしまうのです。

見捨てられたことによって心はズタズタになり、自己破壊・崩壊へと進んでしまう。
これこそが、恋愛依存の末路です。

自分の存在や価値を他人に依存しないこと。これは本当に大切なことです。

あなたは今、自分の人生を自分らしく生きていますか?
それとも、誰かの存在に自分の価値を委ねてしまっていませんか?

関連リンク:恋愛・カップルの悩み相談:幸せを目指して

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