心理カウンセリングにおける「共感」:イメージと経験が織りなす理解
カウンセリングにおける「共感」とは、一体どのようなものでしょうか?
私は、その共感には2つの側面があると考えています。
- 言葉の奥にある感情を感じ取る共感:これは、ご相談者様との会話の中で、言葉の表面的な意味だけでなく、その背後にある感情やニュアンスを感じ取る共感です。
- イメージを共有し、空気を感じ取る共感:ご相談内容を具体的なイメージとして捉え、そのイメージが持つ雰囲気や感情の「空気」を共有することで生まれる共感です。
Index
1.共感を深めるプロセスと「真の共感」
2.「真の共感」がもたらすもの:洞察と具体的な提案
3.「お受けできる相談内容」と「お受けできない相談内容」の明確化

1.共感を深めるプロセスと「真の共感
では、これらの共感を深めるためには何が必要でしょうか?
それは、まずご相談者様に心ゆくまでお話ししていただくことです。
カウンセリングの始まりにおいて心理カウンセラーは、ご相談者様のことも、抱えているお悩みも、何も分かりません。
だからこそ、まずは言語的な受容と共感から始めます。言葉を交わしながら、ご相談者様が話しやすい雰囲気を作り上げていくのです。
会話が進むにつれて、ご相談者様のこと、お悩みの全体像が徐々に理解できるようになります。
そうすると、ご相談者様の言葉に対する理解が深まり、私が感じて発する共感の言葉も自然と増えていきます。
これが「深い共感」です。
そして、私が考える「真の共感」とは、ご相談者様との対話を重ねる中で、ご相談者様の置かれている状況、感情、悩まれている姿などが、私の脳裏に具体的なイメージ(ヴィジュアル)として鮮やかに浮かび上がることです。
そのイメージの世界に私が入り込み、その雰囲気や空気を共有する。
大げさに聞こえるかもしれませんが、まるでシンクロしているような感覚です。

2.「真の共感」がもたらすもの:洞察と具体的な提案
この「真の共感」こそが、カウンセリングにおいて非常に重要な意味を持ちます。
なぜなら、この共感が、ご相談者様のお悩みに対する深い理解、洞察、そして直観をもたらしてくれるからです。
そして、この真の共感が生まれるために最も大切なこと。
それは、私の経験が活かせるご相談内容であることです。
ここでの「経験」とは、私の人生経験、心理学学習経験、そしてこれまでのカウンセリング経験のすべてを指します。これらの経験を総動員することで、上述のイメージ化が促進され、真の共感が可能になるのです。

3.「お受けできる相談内容」と「お受けできない相談内容」の明確化
私はカウンセリングを行う上で、「お受けできる相談内容」と「お受けできない相談内容」を明確にしています。
- 「お受けできる相談内容」とは、私がカウンセリングにおいて具体的なイメージを創り、共感が深くできる可能性が高いご相談です。
- 一方、「お受けできない相談内容」とは、私の人生経験とあまりにもかけ離れていたり、言語的には理解できても、感覚的にピンとこないようなご相談です。
このような場合、イメージを創ること自体が難しく、仮にイメージができたとしても、その世界に入り込むことができず、傍から眺めるような状態になってしまいます。
これは、私の考える「真の共感」ができない状態を意味します。
私にとって、真に共感するということは、イメージ化を通じてご相談者様と同じ空間を共有している状態です。
これによってはじめて、問題の根源を深く理解することにつながり、問題解決に向けた具体的な提案やアドバイスが可能になります。
そして、そのアドバイスには、より強い「言葉の力」が宿ります。
逆に、真の共感ができない場合、私の言葉の力も弱くなり、力強いカウンセリングを提供することが難しくなります。

だからこそ、私はカウンセリングにおいて、私なりの共感とその効果の発揮を大切にし、そのためにも「お受けできる相談内容」と「お受けできない相談内容」を明確にしているのです。
この「真の共感」に基づくカウンセリングが、ご相談者様にとって本当に役立つものとなるよう、これからも研鑽を重ねてまいります。