恋愛から結婚へ:「所有」と「共有」の心理
恋愛が結婚へと実を結ぶまでには、パートナーに対する「所有」と「共有」という二つの心理が深く関わっていると考えられます。
これらは似ているようで異なる心の動きです。
まず、「所有」とは、文字通り「自分のもの」という意識、あるいは「所有感」を指します。
たとえば、「私の彼氏」、「私の彼女」といった感覚がこれに当たります。
一方、「共有」は、「自分と相手で共に築き上げている」、「自分と相手が一つになっているような感覚(未分離感)」といった認識や感覚を伴います。
単に「持っている」のではなく、「共に生きる」という意識が強いのが特徴です。

恋愛から結婚へ:パートナーへの所有感ではなく共有感の大切さ
Index
1.パートナーへの「所有感」が育む恋愛初期の絆
2.結婚への鍵:「所有感」から「共有感」への成熟
1.パートナーへの「所有感」が育む恋愛初期の絆
恋愛の初期段階において、このパートナーに対する「所有感」は非常に重要な役割を果たします。
「私の大切な人だから守りたい」、「誰にも奪われたくない」という強い気持ちが、二人の結びつきをより強固なものにします。
この「失いたくない」、「奪われたくない」という強い衝動があるからこそ、人はパートナーに深く執着し、熱烈な愛情を抱きます。

これが、いわゆる「熱愛」の基盤となり、時には嫉妬や束縛といったマイナスな側面として現れることもありますが、同時に、パートナーへの深い関心や愛情を育む原動力にもなります。
「自分のもの」という意識があるからこそ、「守りたい」、「大切にしたい」、「喜ばせたい」という強い衝動が生まれるのは、人間の不思議な心理です。
もしパートナーに対する所有感が薄ければ、熱烈な感情は芽生えにくく、二人の関係は「ほどほど」のまま終わってしまうかもしれません。
このように、パートナーへの強い所有感が「熱愛」を生み出し、その熱愛が二人の結びつきを強め、やがて「この人と一生を共にしたい」という「共有感」へと発展していくのです。

2.結婚への鍵:「所有感」から「共有感」への成熟
恋愛における「所有感」は、パートナーを独占したいという自己中心的な側面を伴うことがあります。
しかし、この所有に基づく「熱愛」が続き、パートナーとの信頼関係が深まっていくと、やがて「この人がいなければならない」、「共に人生を歩みたい」、「家庭を築きたい」という気持ちが芽生えます。これこそが「共有感」です。
結婚、そして夫婦関係における「共有」は、初期の自己中心的な「所有感」とは異なり、パートナーを第一に尊重し、自分と相手の境界線が溶け合うような感覚へと発展します。
それはまさに、「二人で一人」という感覚に近いかもしれません。
この「共有感」は、相手への深い信頼、思いやり、そして確固たる絆に基づいています。

お互いを思いやり、共に生活し、共に人生を歩む。
そこには、熱烈な「所有」の感情よりも、穏やかで深く流れる愛情が宿ります。
恋愛を維持し、発展させるためには、ある程度の自己本位な「所有感」が必要かもしれません。
しかし、やがては相手を信頼し、「一緒になりたい」、「一緒に暮らしたい」、「人生を共に歩みたい」という思いやりが高まり、共感し、共に生きる意識が芽生え、強まることで、結婚へと発展していくのです。
「友達のように仲の良い夫婦」という言葉が示すように、そこには強い「共有感」と深い絆が存在していると言えるでしょう。