「頑張れ」に隠されたメッセージ:応援と否定の境界線
頑張れの言葉に否定のメッセージを感じる時
Index
1.温かい応援としての「頑張れ」
2.時に人を傷つける「頑張れ」
3.「頑張れ」を伝える前に大切なこと
1.温かい応援としての「頑張れ」
「頑張れ」という言葉は、私たちの心に温かい響きをもたらすことがあります。
例えば、スポーツ観戦において、選手たちへ送られる「頑張って!」という声援。
そこには、純粋に相手を応援し、背中を押したいという温かい気持ちが込められています。
この温かさこそが、「頑張れ」という言葉の本来の意味ではないでしょうか。
カウンセリングの現場でも、カウンセラーが相談者の方に「頑張ってください」と伝えることがあります。
しかし、それは、相談者の方の悩みにじっくりと耳を傾け、心に寄り添った後だからこそ、その言葉に深い意味と力が宿るのです。
私自身も、悩みを抱えてカウンセリングを受けた際、しっかりと話を聞いてもらった後に「頑張ってください」と言葉をかけてもらうと、励まされたと感じ、心がふっと軽くなった経験があります。
また、会社員時代、気心の知れた上司から「頑張れよ」と声をかけられた時には、応援されていると感じ、温かい気持ちになったものです。
「頑張れ」という言葉が真に励ましとなるのは、その根底に人間関係における信頼と、「心から応援している」という気持ちが込められている時なのです。

2.時に人を傷つける「頑張れ」
しかし、一方で、「頑張れ」という言葉が、聞く人にとって否定的なメッセージとして受け取られてしまうこともあります。
信頼できると思って相談した相手に、少し話しただけで「頑張れ」と言われたら、あなたはどう感じるでしょうか?
「話を聞いてもらえなかった」、「何も分かってもらえていない」、「理解してもらえなかった」と、悲しい気持ちになるかもしれません。
そして、それは、築き上げてきた信頼関係を揺るがすことにも繋がりかねません。
言葉そのものに罪はありませんが、「頑張れ」とだけ言われると、相談している本人は「結局、私一人で頑張るしかないのか」、「この辛さや孤独は、誰にも分かってもらえないのか」と感じてしまい、見捨てられた、否定されたと感じてしまうことさえあるのです。

3.「頑張れ」を伝える前に大切なこと
相談している人は、すでに「自分が頑張るしかない」と分かっている場合がほとんどです。
しかし、何をどう頑張れば良いのか分からず、気持ちも萎えていて、まずは心を整理したいと考えているからこそ、誰かに話を聞いてほしいと願っています。
そのような状況で、いきなり「頑張れ」と言われても、落胆してしまうのは当然です。
「頑張れ」と安易に伝える前に、本当に大切なことがあります。
それは、相手の言葉にどれだけ耳を傾け、共感し、その気持ちに寄り添えたかということです。
相手が何を伝えたいのか、どのような感情を抱えているのかを深く感じ取り、共感に基づいた対話を重ねた後に初めて、「頑張れ」という言葉は、相手の心に響く、生きたメッセージとなるのです。
あなたが誰かに「頑張れ」と伝えたい時、まずはその人の話にじっくりと耳を傾け、心に寄り添うことから始めてみてはいかがでしょうか。
そうすることで、あなたの「頑張れ」は、真の応援として相手に届くはずです。