MENU

恋愛依存がパートナーを支配しようとするのはなぜ?

恋愛依存において、「パートナーを縛る」とは、文字通り相手の行動をコントロールし、支配しようとすることを指します。では、なぜ恋愛依存者はパートナーをそこまでコントロールしようとするのでしょうか。

その背景には、恋愛依存者自身が抱える心の孤独感や虚しさ、そして、強く満たしたいと願う自己承認欲求があります。

彼らは、パートナーが常に自分のそばにいてくれることで、心の隙間を埋め、満たされない気持ちや思いが満たされると強く感じています。

もしパートナーが自分から離れてしまうと、恋愛依存者はまるで、二人で築き上げてきた自分の心が崩壊し、アイデンティティさえも失われてしまうかのような感覚に陥るでしょう。

それほどまでに、自分の心の空白を埋め、自分を認めてくれるパートナーの存在は重要だと感じているのです。

しかし、この重要性は、純粋な「愛しているから」というよりも、「自分を満たしてくれる存在だから」という側面が強い場合があります。そして、自分にとって不可欠なパートナーが離れてしまうかもしれないという「見捨てられる不安」を常に抱えているため、心理的・精神的にパートナーを縛り、支配しようとするのです。

それでは、具体的に恋愛依存者がパートナーを縛るためにどのような方法や戦略を用いるのか、見ていきましょう。

目次

恋愛依存者がパートナーを支配・束縛する6つの方法

1.「力」で相手をねじ伏せる

これは文字通り、脅しや暴力を通じてパートナーを支配する方法です
。あらゆる形の暴力を用いてパートナーを屈服させ、自分のそばから離れられないようにします。

暴力には、直接パートナーに物理的な危害を加える場合と、間接的に影響を与える場合があります。
後者には、物に当たる、子どもに危害を加えることをほのめかす(例:「子どもを苦しめたくなければ言うことを聞け」)、言葉による暴力(モラルハラスメントなど)も含まれます。

暴力を振るわれたパートナーは、その恐怖から無力感に陥り、逃れることができず、最終的には抵抗を諦めて相手の言いなりになってしまうことがあります。

しかし、暴力を振るっていた側が、パートナーの我慢が限界に達し「別れる」という固い決意を表明した途端、急に泣いて土下座して謝り、これまでの行いを反省し、二度と暴力を振るわないと誓い、優しく接することもあります。

暴力を振るわれていたパートナーは、この突然の優しさこそが「本当の姿だ」と感じ、感激してしまうことがあります。これはまるで強弱や緩急をつけるように相手を操る「コントラスト効果」と呼ばれます。そしてしばらくすると、再び暴力が始まるという悪循環に陥ることも少なくありません。

ここで注意が必要なのは、暴力を振るう側が本当に恋愛依存者なのかどうかです。

相手を繋ぎとめるために意図的に暴力を振るっているのであれば、恋愛依存の可能性が高いでしょう。しかし、「逆らうな」「お前は俺(私)の言うことだけ聞いていればいい」といった自己中心的な思い上がりから恒常的に暴力を振るうのであれば、情緒の欠如や何らかのパーソナリティ障害の可能性も考えられます。また、暴力によってしか自分を表現することを学んでいないケースもあります。

いずれにせよ、暴力によって人を支配する行為は犯罪です
このような状況にある場合は、専門機関や公的機関への相談など、十分な注意と対策が必要です。

2.「弱さ」をアピールして引き留める

自分がか弱く、無力であることを最大限にアピールする戦略です。
「あなたに見捨てられたら生きていけない」といったメッセージを送り、パートナーの同情や、「別れることへの罪悪感」を刺激して、自分の元に留まらせようとします。

しかし、いつまでも執拗に弱さをアピールされ続けると、パートナーは次第に嫌気がさしてしまうでしょう。この「弱さをアピールする」方法は、最終的にはパートナーの怒りを買い、見捨てられる結果につながることもあります。

3.過剰に「尽くす」ことで手放させない

パートナーに見捨てられないために、とことん尽くす行動も、実は一種の支配戦略です。これは、「これだけ尽くすのだから、私(僕)を見捨てないでほしい」という無言の取引なのです。

この戦略の問題点は、尽くされた側が、パートナーが尽くす真の意図をどれだけ意識しているかによります。尽くされた側は、単にパートナーが「尽くしたいから尽くしている」としか捉えないかもしれません。

そのため、たとえ別れることはないにしても、自分の価値観や都合を優先し、尽くしてくれる恋愛依存者のパートナーとの約束などを後回しにしてしまうこともあり得ます。

そうなると、尽くすことを戦略としている恋愛依存者は、「自分の尽くしが報われない」と勝手に怒りを感じてしまいます。パートナーに見捨てられないために尽くす行為は、尽くす側(恋愛依存者)の一方的な行動であり、相手に感謝を強いるものではありません。

「これだけ尽くしているのに」、「これだけしてやっているのに」と、尽くしているパートナーが怒りを表明した瞬間、二人の関係は終わってしまう可能性もあるでしょう。

4.「罪悪感」を抱かせて離れさせない

パートナーに罪悪感を抱かせることで、自分の元に留めようとする方法です。

パートナーに罪悪感を抱かせる具体的な方法としては、辛そうな顔つき、ため息、沈黙、涙といった非言語的なコミュニケーションがあります。

これらが伝えるメッセージは、「私が苦しんでいるのはあなたのせい。だからあなたは私のそばにいなければならない」というものです。

この中で最も恐ろしいのは、「死」を連想させる方法です。
自殺をほのめかしたり、リストカットを行うことで、自らの生命を絶つ危険性をパートナーに示唆し、実際にそれが起こるかもしれないという恐怖や罪悪感を抱かせます。

罪悪感は、それを向けられたパートナーを強く縛りつけます。

しかし、これも「弱さをアピールする」場合と同様に、執拗にやりすぎるとパートナーの怒りが爆発してしまう可能性があります。

「なぜ自分がこの人のために、こんなにも苦しまなければならないのか」、「もう勝手にしろ」と、我慢の限界に達してしまうからです。

5.「嫉妬」心を煽って注目させる

これは、パートナーに罰を与える行為とも言えます。

「君が相手をしてくれないから、他の異性と親しくする」といったように、パートナーが自分の要望に応えないと、あからさまに浮気を連想させるような発言をしたり、そのような行動を見せつけることで、パートナーの嫉妬心を煽ります。

この方法でパートナーを苦しめ、嫉妬心を煽ることで、自分のそばから離れないように仕向けます。

パートナーは、相手を失うのではないかという不安に悩まされ、また、パートナーが他の異性に惹かれるのは自分に魅力がないからではないかと、自分を責めてしまうかもしれません。嫉妬心とは非常に強い感情であり、この感情を利用してパートナーを縛る戦略なのです。

(ここまでの分類は、ハワード・M・ハルパ-ン著『ラブ・アディクションと回復のレッスン』学陽書房を参考にしています。)

私はこれ以外にも、次のような支配戦略があると考えています。

6.パートナーを「無力化」して依存させる

これは「尽くす」という戦略に似ているかもしれません。

パートナーの身の回りの世話を焼き、彼らが行うべきことを先回りして済ませてしまいます。
そうすると、面倒を見てくれるパートナー(恋愛依存者)が何でもしてくれるため、面倒を見てもらう側は何もすることがなくなります。

恋愛依存者は、パートナーに「あなたがいないと、私は何もできない」と思わせたいのでしょう。
パートナーに過剰に尽くし、彼らの能力や自立心を奪い、無力化を図ることで、自分から離れられないようにするのです。

いずれの方法も、パートナーを自分の元に留め、支配するための戦略であるという点では共通しています。

恋愛依存その問題の本質と向き合う

ここまで、パートナーを自分のもとに留める方法、つまりパートナーを支配・束縛する戦略について見てきました。

この問題の根本にあるのは、冒頭にも述べたように、恋愛依存者が抱える心の隙間、寂しさ、そして常にパートナーに満たしてもらいたいと願う承認欲求です。

同時に、パートナーに見捨てられるのではないかという強い不安も抱えています。
そのため、恋愛依存者は一人になることに耐えられず、執拗なまでにパートナーにしがみつこうとするのです。

なぜ恋愛依存者は、パートナーや恋愛に対してこれほどまでにこだわるのか。一度、ご自身の内面を深く振り返る必要があるかもしれません。

ご自身の心の状態を深く振り返り、向き合うためには、心理カウンセリングが有効な手段となるでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次