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学校におけるいじめ:機能不全社会が育む問題

アダルトチルドレンという言葉をご存知でしょうか。
これは、機能不全家族の中で育ち、心が深く傷つき、自分の存在を認められずに大人になった人たちのことを指します。

しかし、家族関係に問題がなかったとしても、成長の過程で学校や会社といった家族以外の人間関係の中で存在を無視されたり、否定されたりすることで自信を失い、アダルトチルドレンと同じような問題を抱える人が多くいます。

こうした問題は、所属する人間関係の歪みから生じています。
つまり、健全な人間関係が築けておらず、その関係性が機能していない状態です。私たちはこれを機能不全社会の問題と呼んでいます。

その代表的な問題の一つが、現代社会で大きな課題となっている、学校における「いじめ」ではないでしょうか。

社会の歪みが映し出す、学校いじめの現実

いじめは、単に加害者と被害者の個別の問題として捉えられがちですが、その根底には、個人を取り巻く社会、特に学校という閉鎖的なコミュニティにおける人間関係の歪みが潜んでいると考えられます。

いじめを見過ごす環境、傍観者が多い状況、そして適切な対応が取れない学校の体制も、機能不全社会の一側面と言えるでしょう。

Index
1.いじめを受けた子どもの心の問題
2.いじめを行う子どもを育てる親の問題
3.いじめに対応しない学校の問題
4.いじめに対する社会良識の欠落の問題

1.いじめを受けた子どもの心の問題

同級生によるいじめ、担任教師をはじめとする教員の未熟さ、さらには教頭、校長、教育委員会と、その無責任さはとどまるところを知りません。
学級におけるいじめは、集団で一人の子どもを徹底的にいじめるため、個の存在を破壊しかねないほどの負の力を持っています。

どれだけ家庭で愛情を注がれ、自己肯定感を育んでいても、学級での集団いじめに遭えば、その自信や自己肯定感は一瞬のうちに失われてしまいます。
その後は、問題が改善されるまで耐え忍ぶしかありません。

こうした経験を乗り越えて大人になった場合、自己肯定感の喪失生きづらさを抱える可能性が高いでしょう。
また、トラウマやフラッシュバックの問題も生じ、心の傷は想像以上に深く根を張ります。
そして、いじめで受けた心の傷は、アダルトチルドレンと類似した症状を引き起こすと考えられます。

2.いじめを行う子どもを育てる親の問題

いじめに関して、私の専門領域ではありませんが、私見を述べさせていただきます。

学校におけるいじめの問題には、いじめる生徒の情操心、共感能力、相手の立場に立って物事を考える能力の欠如が背景にあると考えます。
もちろん、この背景には子どもの親の問題があります。
家庭教育において、子どもの心の育成が十分にできていなかったのではないでしょうか。

また、ゲームやマスコミ(テレビなど)、SNSによる心理的な悪影響も考えられます。

そして、無力な教師の存在も否めません。
昨今、指導がしにくい状況にあると聞きますが、その背景には、少しでも子どもに体罰のようなものが加わると大騒ぎする保護者集団、いわゆるPTAの存在があるのかもしれません。

先日、北野武さんが司会を務める番組で、幼稚園の先生の話として、園児劇で桃太郎を演じる際に、脇役に振り分けられた保護者から「なぜ、うちの子がそんな役なの」と訴えがあったというエピソードが紹介されていました。
結局、桃太郎が16名登場する劇になったそうです。

社会は、あらゆる役割を担う人々の存在によって成り立っています。
そして、このような親の発想は、主役以外を軽んじる差別的な考え方につながりかねません。

このような親では、まともな子どもは育ちにくいかもしれません。心の教育がなされず、「自分さえ目立てばいい」、「自分さえ良ければいい」というエゴしか植え付けられないでしょう。

そして、このような声の大きい保護者が多ければ、教師も思い通りに子どもを指導できません。
教師VS保護者という構図では、往々にして保護者が優位に立ち、教師の無力化を招くことになります。

3.いじめに対応しない学校の問題

また、いじめは教師の一言から始まることもあり、無能どころか悪質な教師も存在するようです。
では、このような教師を指導するのは誰でしょうか。

教育関係の組織については詳しくありませんが、学校を会社に例えるならば、教頭は統括部長、校長は支店長といったところでしょうか。上役・上司の部下指導力のなさも問題の一つです。

これらトップにいる人たち(校長・教頭)が、いじめ問題に対する情報が耳に入っても何の対策行動も起こしていなかったとニュースで報じられています。これもまた、無責任の証です。

また、ニュースでは学校の上部組織である教育委員会についても問題があると報じられています。隠蔽体質責任を認めない姿勢は、無責任性そのものです。

このように色々と述べてきましたが、いじめの問題は、いじめる生徒がいることから発生します。
いじめる生徒の出現は、当然ながら保護者の育児能力の問題が最も重要です。

さらに、学校自体の問題、すなわち無力な教師教育体制における教師の育成力不足学校トップの見て見ぬふりをする無責任さ、そして隠蔽体質が挙げられます。

すべては、いじめる生徒を取り巻く大人の問題なのです。
いじめる生徒を育てたのも大人であり、指導しないのも大人です。

大人は社会を創り、学校におけるいじめの問題もまた、大人の問題でもあるのです。
そして、これは、学校の機能不全の問題と捉えても良いでしょう。

まともに機能しない機能不全社会の歪み、そして学校組織の問題が、いじめの問題の背景にあるのではないでしょうか。
しかし、何よりも一番の問題は、いじめる側の生徒がいることに他なりません。

4.いじめに対する社会良識の欠落の問題

さて、先日驚くべき調査結果がインターネットで報じられていました。
タイトルは「いじめはやる方が悪いが半数以下、希薄な罪の意識」というものです。

NPO法人ジェントルハートプロジェクトが、過去3年間の小・中・高校生1万3000人を対象に行った調査です。

小学生では「いじめる方が悪い」と答えたのが6割ですが、中学・高校生ではわずか4割という恐ろしい結果です。

このような子どもたちが成人したとしても、まともな家庭を築けるでしょうか。
自分たちさえよければ他人を傷つけても平気、というエゴイズムに満ちた家族を形成する可能性が高いでしょう。

アダルトチルドレンの問題として世代間の連鎖がありますが、これら情操に欠ける子ども、青年も、情操を欠いたまま成長し、心の豊かさのない家庭を作り上げ、後の世代に連鎖していくのではないでしょうか。

そして、それこそが機能不全社会を創り上げていくことにつながるのです。

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