無理をして「明るい人」を演じていませんか? その心理と心のサイン
周囲から「明るい人」、「ムードメーカー」と言われることは、一見すると素晴らしいことのように思えますよね。
場を和ませ、人を笑顔にできる人は、確かに周りから慕われ、羨望の眼差しを向けられることも少なくありません。
しかし、もしその「明るさ」が、あなた自身の心に無理を強いた結果だとしたらどうでしょうか?
無理をして明るく振る舞い続けることは、知らず知らずのうちに心に大きな負担をかけ、やがては心身の疲弊といった問題を引き起こす可能性をはらんでいます。

「明るく振る舞う」裏に隠された心理パターン
人が明るく振る舞う背景には、様々な心理が隠されています。
ここでは、いくつかのパターンを見ていきましょう。
1.生まれ持った明るい性格
もちろん、無理なく自然体で明るい人も存在します。
生まれつきの気質や、幼少期から笑顔の絶えない温かい家庭で育った経験などが、その人の明るさを形作っているのでしょう。
このような方々は、無理をして明るく振る舞っているわけではないため、心に負担がかかることはありません。

2.「認められたい」「目立ちたい」という承認欲求
「誰かに認められたい」、「注目されたい」という欲求から、意識的に明るく振る舞う人もいます。
人を笑わせ、場の中心になることで、周囲からの関心や称賛を得ようとするのです。
明るいキャラクターは、時にリーダーシップを発揮する上でも有利に働くことがあります。
しかし、この「目立ちたい」という気持ちが過剰になると、それは自己顕示欲や、時には傲慢さへと繋がる可能性も秘めています。
なぜそこまでして認められたいのか、その心の奥底にある動機を見つめ直す必要があるかもしれません。

3.場を「盛り上げなければ」という強迫観念
静まり返った空気や、盛り上がらない場が苦手だと感じる人もいます。
自分が何とかしなければ、場が暗いのは自分の責任ではないか、といった思いに駆られ、無理をしてでも盛り上げ役を買って出てしまうことがあります。
なぜ、自分がその場の雰囲気を背負い込まなければならないのでしょうか?
もしかしたら、幼い頃の家庭環境が影響しているのかもしれません。
家庭が暗い雰囲気になるのを嫌い、無意識のうちに自分が場を明るくする役割を担っていた、といった経験はありませんか?
その時の「役割」を、大人になった今も引きずり、無理をして明るく振る舞い続けている可能性も考えられます。

4.「誰かの役に立ちたい」「恩返しがしたい」という純粋な気持ち
過去に辛い経験をし、周囲の人の笑顔や優しさに支えられて立ち直ったという方もいるでしょう。
その経験から、「今度は自分が誰かを笑顔にしたい」、「元気を与えたい」という強い思いを持つことがあります。これは非常に立派な気持ちです。
しかし、その優しい気持ちが強すぎるあまり、自身の心身の限界を超えてまで明るく振る舞い続けてしまうと、心理的な疲弊を招きかねません。
「ほどほどに」という言葉があるように、自分自身のケアも忘れずに行うことが大切です。

5.「本当の自分」を隠し、「明るいキャラ」を演じる
「本当の自分を出したら、仲間に入れてもらえないのではないか」、「陰で悪口を言われるのではないか」といった不安から、本来の自分とは異なる「明るいキャラ」を無理に演じてしまうケースもあります。
一時的に周囲に溶け込むことができたとしても、それは「偽りの自分」で得た安心感に過ぎません。
無理に演じる「明るい自分」を受け入れている仲間は、本当にあなた自身を受け入れていると言えるのでしょうか?
偽りの自分で繋がった関係は、いつか破綻してしまう可能性も秘めています。

あなたの「明るさ」は、あなたを幸せにしていますか?
もしあなたが、これらの心理パターンのいずれかに心当たりがあり、無理をして明るく振る舞っていると感じるのであれば、一度立ち止まって考えてみてください。
無理を続けることは、心のエネルギーを消耗させ、自己肯定感の低下や燃え尽き症候群、さらにはうつ病といった心の不調に繋がることもあります。
自分らしく、ありのままでいられること。
それが、真の心の安定と幸福に繋がる第一歩です。
もし、無理をして明るく振る舞ってしまうことでお悩みであれば、一人で抱え込まずに、ぜひ専門家(心理カウンセラー)にご相談ください。
あなたの心の声に耳を傾け、一緒に解決の糸口を探していきましょう。