子ども時代を振り返る時：心の注意点と健全な自己理解のために
私たちは皆、過去から来ています。
より正確に言えば、幼い頃の親子関係や育ってきた環境（遺伝的要因も含む）が、今の私たちの基盤を築いていると言えるでしょう。
人生に生きづらさを感じ続ける時、その原因が経済的な問題や体調不良でない限り、「もしかしたら自分の性格に問題があるのかもしれない」と考え始め、自己分析に着手する方が多くいらっしゃいます。
そして、心の生きづらさの多くは、人間関係に起因していることに気づくものです。
もちろん、自分を取り巻く他者の問題もありますが、「自分にも何か原因があるのではないか」と問題意識を持ち始め、自身の行動パターンや言葉の癖、周囲との関係性などを振り返るようになります。
過去・子供時を振り返る時に注意すること
Index
1.過去、特に子ども時代を振り返る時に注意すること：怒りに飲み込まれないために
2.子ども時代を振り返る際の具体的な注意点
1.過去、特に子ども時代を振り返る時に注意すること：怒りに飲み込まれないために
自己分析を深めていくと、現在の自分の問題がいつから生じているのか、何が原因で発生しているのか、過去を遡って理解し始めることでしょう。
そして、多くの人が、子ども時代の親子関係や当時の環境に問題があったことに気づくはずです。
冒頭にも述べたように、私たちは過去から来ており、今の自分の「土台」は過去に築かれているのです。その土台を築いたのが、多くの場合、親であることもまた事実です。
さて、子ども時代を振り返る際に、心がけてほしい大切な注意点があります。
多くの人は、過去の親子関係に問題があったと理解すると、親に対して怒りの感情を抱きます。
「あんなこともあった」、「こんなひどいことも言われた」など、思い出せば思い出すほど、怒りがこみ上げてくるかもしれません。
ここで最も大切なことは、怒りに飲み込まれないことです。
怒りに飲み込まれてしまうと、常に過去の親子関係や過去の親、そしてそれが今の親とも重なり、怒りの感情とともに過去や親への意識が過剰になってしまいます。
怒りはエスカレートし続け、親に対して強固な憎しみの感情さえ抱いてしまう可能性があります。
子ども時代は、まさにあなたのルーツです。
子ども時代を振り返り、自己分析をすることは、これからの自分を作り変えていく上で非常に重要なプロセスです。
しかし、必要以上に過去を深く掘り返さないようにしましょう。
一度怒りの感情に火がつくと、思考が狭まり、辛いことばかりを思い出してしまう傾向に陥り、さらに親への憎しみを募らせてしまう悪循環に陥りかねません。
2.子ども時代を振り返る際の具体的な注意点
a)一気に全てを振り返ろうとしないこと。
小分けにして、少しずつ向き合う意識を持ちましょう。
b)怒りを感じ始めたら、振り返りを一時中断し、深呼吸をするなどして気持ちを落ち着かせましょう。
c)怒りを感じ始めたら、気分転換を図りましょう。
好きな音楽を聴く、散歩に出かける、趣味に没頭するなど、意識を別の場所へ向けることが有効です。
d)子ども時代の良かったことや、感謝できることも同時に思い出す努力をしましょう。
ネガティブな側面だけでなく、ポジティブな側面にも目を向けることで、感情のバランスを取ることができます。
怒りは、時に破壊的なエネルギーと結びつく感情です。
子ども時代を振り返る時、この怒りの感情には特に注意を払い、自分自身をその激しい感情から守ることが重要です。
冷静さを保ちながら過去と向き合うことで、より建設的な自己理解へとつながるでしょう。
