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親が子どもを罵倒して責め続ける心理の様々:その背景にあるもの

子育てにおいて、時に子どもを厳しく叱ることはあっても、中には度を超えて子どもを罵倒したり、一方的に責め続けたりする親がいます。
私自身も、幼少期に親から罵倒され、否定され、責められながら育った一人として、その辛さを理解しています。

では、なぜ親は、自分の大切な子どもを罵倒し、怒鳴りつけ、貶し、否定し続けるのでしょうか。その心理には、どのような背景があるのでしょうか。

親が子どもを罵倒・責め続ける様々な心理

Index
1.「子どもがかわいくない」という葛藤
2.育児ストレスと感情の爆発
3.「自分と比較してできない子ども」への苛立ち
4.「自分がされた子育て」の無意識な踏襲
5.「子どもの発奮を促す」という誤解

1.「子どもがかわいくない」という葛藤

「自分の子どもなら、どんな親でも可愛いと思うものだ」と、世間では言われるかもしれません。

しかし、現実はそう単純ではありません。
親によっては、我が子であってもどうしても愛せない、という心理状態に陥ることがあります。
これは決して多数派ではありませんが、存在する現実です。

子どもを心から愛する気持ちや能力は、親自身の生育過程で培われるものです。
極端に精神的に未熟であったり、心理的な問題を抱えていたりする親の場合、子どもを愛するという感覚が希薄で、むしろ自分の行動を制限する「邪魔な存在」と認識してしまうこともあるでしょう。

そうでなければ、児童虐待やネグレクト(育児放棄)といった問題は起こりえないはずです。

私自身、子どもを罵倒したり、暴力を振るったりする親の心理を完全に理解できるわけではありません。

しかし、その根底には、自己中心的で未熟な精神がある、と考えることがあります。あるいは、もしかしたら「子どもを愛する」という脳の機能が十分に培われていない、あるいはうまく働いていない可能性も考えられます。これはあくまで私個人の推察ですが、その可能性も否定できないと感じています。

もしあなたが結婚を望んでいるものの、「子どもを愛せる自信がない」と感じているのであれば、子どもを授かる前に専門家や信頼できる人に相談することをお勧めします。

もし「子どもを愛せない」と確信しているのであれば、子どもを生まないという選択も、生まれてくる子どものための一つの愛情かもしれません。

2.育児ストレスと感情の爆発

多くの親が抱える、より一般的な要因の一つに育児ストレスがあります。

本当は子どもを罵倒したり怒鳴ったりしたくないのに、子育ての重圧、言うことを聞かない子どもへの苛立ち、何度注意しても理解してくれないことへの徒労感。
「もういい加減にしてほしい」、「我慢の限界だ」と感じた瞬間に、感情が爆発し、子どもを罵倒したり責めたりしてしまうことがあります。

しかし、感情をぶつけてしまった後には、強い後悔の念に駆られます。「なぜあんなことを言ってしまったんだろう」と反省するものの、また同じことの繰り返しになってしまう。

この罵倒の背景には、自分自身をコントロールできない苛立ち、そして、子どもを傷つけてしまったことへの罪悪感、自分自身への責めがセットになっていることが多いように思います。

このような状況にいる場合は、一人で抱え込まないことが非常に重要です。

配偶者や家族、友人、あるいは地域の公的機関や子育て支援センター、ママ友などの相談相手を見つけることが、閉塞感を打ち破る第一歩となります。

子どもと二人きりでずっと向き合っていると、孤立感から自分自身を追い込んでしまう悪循環に陥りやすいからです。

3.「自分と比較してできない子ども」への苛立ち

「我が子なのに、どうしてこんな簡単なことができないんだ?」

親が自身の幼少期や子ども時代の成功体験と比較し、その基準に満たない子どもに対して情けなさや怒りの感情を抱き、その感情から子どもを罵倒したり責め続けたりすることもあります。

しかし、親と子どもは別の人間です。親が子どもの頃にできたからといって、子どもも同じようにできるとは限りません。

自分を基準に子どもと比較することは、極めて自己中心的な考え方だと言わざるを得ません。
遺伝子レベルで考えても、子どもの能力の半分はパートナーから受け継いでいます。
もし子どもを100%自分のクローンのように思っているとしたら、それは子どものありのままの存在を認めていないことの証左ではないでしょうか。

私は、子どもには親とは異なる、個別の長所や才能が必ずあると信じています。
子どもとの丁寧なコミュニケーションや日々の観察を通して、その子ならではの長所や才能を見つけてあげてください。

それこそが、子どもを真に伸ばすための「教育」ではないでしょうか。

4.「自分がされた子育て」の無意識な踏襲

「自分も親から罵倒され、否定され、責められながら育った。だから、子どもを育てる時は、そうするのが当たり前だ」

このように、自分が親から受けた子育てと全く同じことを、何の疑念も抱かずに子どもに対して行っているケースもあります。
子育てや教育とは、そういうものだと無意識に認識しているのです。

しかし、ここで立ち止まって考えてみてほしいのです。
あなたが子どもの頃、親から罵倒され、否定され、責められ続けて、本当に楽しかったですか?

むしろ、寂しかったり、苦しかったりしたのではないでしょうか。
あなたが子どもの頃に感じた悲しみや生きづらさを、なぜ今、自分の子どもに引き継がせようとするのでしょうか。
それは、子育てにとって本当に有効なことなのでしょうか。

あなたが親から受けた子育ての結果、どのような生きづらさを抱えることになりましたか?
その生きづらさを、あなたの子どもにも受け継がせたいですか?

子どもが幸せで、楽しさを感じながら幼少期を過ごすことは、自己肯定感の構築適切なチャレンジ精神の獲得など、子どもが将来を生き抜く上で不可欠な感覚を育むことにつながります。

あなた自身が経験した生きづらさ、惨めさ、悲しみといった感情を、子どもに与えないようにしてください。

そのためには、あなた自身の幼少期を振り返り、親からされて嫌だったことや悲しかったことを深く理解し、それらを自分の子どもに対しては行わないという強い自己コントロール意識を持つことが大切です。

また、パートナーと率直に話し合い、子育ての方針を共有することも非常に重要です。

5.「子どもの発奮を促す」という誤解

稀に、できない子どもをやる気にさせ、発奮させるために、あえて罵倒したり、否定したり、責め続けたりする教育方針を選択する親もいます。
しかし、一般的に、罵倒や否定、責め立てる行為が子どものやる気を向上させることは考えにくいです。

むしろ子どもは、「強制的に嫌々やらされている」という感覚を抱き、自分の好きなことをさせてもらえないという無力感に陥ってしまうのではないでしょうか。

もちろん、学校の宿題や課題を期限内に提出させるなど、社会規範を学ばせる一環として、注意や叱咤激励が必要な場面はあります。
しかし、親の行き過ぎた行動は、子どもの自発的なやる気を奪い、心を閉ざす大きな原因となる可能性が高いのです。

子どもを罵倒したり否定したり責め続けたりするよりも、なぜできないのかを子どもと深くコミュニケーションを取り、その子の状況や気持ちを理解することの方がはるかに大切です。その上で、「では、どうすればできるようになるだろう?」と一緒に考え、解決策を探っていく姿勢が求められます。

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