親の身勝手な絶縁宣言「勘当」|後悔しないために
勘当という言葉の重み
「勘当」という言葉には、親が子に対して、これまでの関係を一切なかったことにするという強い意味が込められています。
かつては、子の失敗や悪事に対する厳しい罰でした。
しかし、現代においては、親の期待に子が応えなかったり、親の望む人生を歩まなかったりした場合に、感情的に「もう親子の縁を切る」と絶縁を突きつけるケースが少なくありません。
今回のテーマでは、この「親の期待に沿わないための絶縁」に焦点を当てて考えていきます。
例えば、大学まで卒業した子が「これからは芸能人を目指したい」と親に告げたとします。
多くの親は、これまでの苦労やかけた費用を思い、裏切られたような怒りや、子の将来に対する深い不安を感じるでしょう。

「これまで苦労して大学まで行かせたのに、それを無駄にする気か!」、「そんな不安定な道でどうやって生きていくつもりだ!」
こうした親の言葉の延長線上にあるのが、衝動的な「勘当だ」、「二度と顔を見せるな」といった絶縁宣言です。
では、親からこのように突き放された子どもは、どのような心理で、どのように行動するのでしょうか。

親から勘当宣言後の子どもの4つの選択肢
親に勘当を突きつけられた子どもは、大きく分けて4つの道をたどることが考えられます。
1.夢を諦め、親の望む人生を歩む
親子の関係を壊すことへの恐れや、育ててもらったことへの恩から、自分の夢を諦めます。
親の期待に応える形で、安定した職に就くなど、親が望む人生を選びます。
2.親の望みと自分の夢の両立を目指す
親子の縁を大切にしながらも、夢も諦めたくないと考えます。
まずは親の望む人生を歩みつつ、休日に芸能活動を行うなど、二足の草鞋を履きます。
実績ができた時点で、改めて親と話し合おうと考えるタイプです。

3.家を出て、夢の実現を目指す
夢を諦めきれず、親の反対を押し切って家を出ます。
芸能人として成功して親を見返せば、きっと勘当も解いてもらえるだろうと信じ、親子の和解を願うタイプです。
4.親への反発から絶縁を決意する
「なぜ自分の人生を否定するのか」と親への憤りを感じます。
親に認められるために成功するのではなく、成功した上で自分から縁を切ってやろうと決意します。

勘当という言葉の先に待つ後悔
親が子の人生に口出しをしたり、子の将来を心配したりする気持ちは、カウンセラーである私も理解できます。
しかし、親と子はそれぞれが独立した個人です。
子どもの人生の決定権は、親にはありません。
親ができることは、意見を伝え、反対することまでではないでしょうか。
もし、あなたが感情に任せて「勘当だ」と口にしてしまったら、その言葉の重みを今一度考えてみてください。
「勘当」という言葉は、親子関係の終焉を意味します。

もし、一時的な感情で口にした言葉によって、子どもが本当に家を出ていき、そのまま関係が途絶えてしまったとしたら、将来大きな後悔を抱えることになるかもしれません。
子どもに「勘当」を突きつけた結果、子どもから「もう二度と会わない」と突き放されることにもなりかねません。
親も子も、一度立ち止まって冷静になりましょう。
その一言が、取り返しのつかない事態を招くことがあります。
一時の感情に流されず、後悔しない選択をしてほしいと心から願っています。