自分の人生を生きる感覚を取り戻すために:不安を越え自分を表現する
「自分の人生を生きている感覚がない」と感じることはありませんか?
その漠然とした不安の背後には、私たち自身が抱える自己抑圧が深く関係しているかもしれません。
今回は、私自身の経験も踏まえ、その感覚を乗り越え、自分らしい人生を歩むための具体的な一歩についてお話ししたいと思います。
自分を打ち出すことで「生きている感覚」は得られる
Index
1.否定と不安を超えての自己主張の大切さ
2.自己主張による評価と自己主張しないことによる最悪の評価
3.実際に自分を打ち出し、現実を体感する

1.否定と不安を超えての自己主張の大切さ
自分の人生を生きていない感覚の根本にあるのは、自分を抑え込んでいる状態です。
だとすれば、シンプルに考えて、その殻を打ち破り、自分自身を表現していくことが解決策となります。つまり、「自己主張」です。
いつ、どこで、誰に対して、どのように主張するのかは考える必要がありますが、私が特におすすめするのは、あなたが所属する集団や組織の中で、自分の意見や思いを言葉にすることです。
その内容は、趣味のことでも、職場の改善提案でも、何でも構いません。
もしかしたら、「自分を出したらすぐに否定されるのでは?」と強い不安を感じる方もいるかもしれません。
過去を振り返ってみると、親に意見を頭ごなしに否定された経験や、学校でのいじめ体験が、意見を主張することへの恐怖として心に残っているのかもしれません。

私も、自分が否定され続けることが、どれほど不安や恐怖として脳に焼き付くか、痛いほど理解できます。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
今、あなたの周りにいる人たちは、本当にあなたの意見を即座に否定するでしょうか?
(親のことは一旦置いておきましょう。きっと理解不能な場合が多いですから)。
もし、そのような人がいないのであれば、あなたは比較的安全な場所にいると言えます。
私はこのHPで何度かお伝えしていますが、もう一度繰り返します。「意見の相違を恐れないでください」。あなたが意見を主張して、たとえ反対意見が出たとしても、それは「意見の相違」であって、「人格の否定」ではありません。
誰もが自分の意見を表明する権利を持っており、その権利を行使したに過ぎないのです。
たまたま、その意見があなたの意見と違った、それだけのことに過ぎません。

また、「意見を言うことはワガママな行為だ」と捉える方もいますが、それは違います。
自己主張は、誰もが持つ権利です。
もし自己主張がワガママになるのだとすれば、それは他者の意見を一切聞かずに自分の意見ばかり主張し続け、周囲との協調性を乱す場合です。

2.自己主張による評価と自己主張しないことによる最悪の評価
大切なのは、自己主張をすると同時に、他者の意見に耳を傾ける姿勢を持つことです。
この姿勢があれば、あなたは「自己主張ができ、かつ他者の意見も聞ける協調性のある人」として、周囲からの好感や評価を得られるでしょう。
自己主張は、あなたが恐れている不安や恐怖に立ち向かい、自分の殻を破る行為です。
しかし同時に、自己主張によって他者の共感や評価を得られることも非常に多いのです。
自己主張ができた自分を褒め、他者の評価を素直に受け入れてみましょう。

そして、あなたが最も恐れている「他者からの否定」は、実は「あなたが主張すべき時に主張せず、黙り続けること」によって引き起こされる可能性が高いのです。
何を考えているか分からない人、自分の意見を言わない人として、周囲からの評価が下がり、結果的に否定される。
これはまさに、恐れが恐れを引き寄せ、現実化してしまう負のループです。
心理学やカウンセリングを学んだ方や、思いやりの深い方は、「何か問題を抱えているから主張できないのだろう」と推測してくれるかもしれませんが、残念ながら、そのような方は少数派であることを知っておきましょう。

3.実際に自分を打ち出し、現実を体感する
「自分の人生を生きている感覚がない」という悩みに対する一つの解決策は、実際に自分を主張し、表現してみることによって、「自分が思っているほど否定されることはない」という現実を体感することです。
そうすることで、自己主張する勇気を強め、自己抑圧から解放され、一人の人間として社会に受け入れられ、生きていることを感じられるようになります。
それでもまだ否定される不安がある、あるいは実際に自己主張してみたけれど笑われて終わってしまった(これではさらに傷ついてしまいますよね)という場合は、もしかしたら、自分を主張する方法や伝え方をまだ学んでいないのかもしれません。

もしそうであれば、自己主張や話し方に関する学びが必要でしょう。
私は、自己主張も話し方も「スキル」だと考えています。だからこそ、必ず習得可能だと思っています。特別に上手に主張したり話したりする必要はありません。自分なりに最善を尽くせば、その心意気はきっと他者の心に通じるはずです。
そして、自己主張にしても、何かを話すにしても、そこには必ず「他者」の存在が在ります。
ですから、その中で自分を抑えず、自己主張しながら人間関係を築き、自分は否定されない、「自分の存在はOKだ」という感覚を身につければ、きっと自分自身に対する感覚も変わっていくでしょう。
人間関係を通して、自分の生きている感覚を培っていくのです。

また、非常に重要なことですが、あなたが最善を尽くして主張や話をしても、無視されたり否定的な態度を取られたりする方がいる場合、それはあなたの問題ではなく、相手の反応の問題であり、相手の責任だと考えても良いでしょう。
私たちは、他者の反応にまで責任を持つことはできません。
他者の反応に責任を取ろうと感じた瞬間、何も言えなくなってしまうからです。
様々な人がいます。自分と他者の境界線をきっちりと引き、その上で互いが協力し、分かち合える関係が理想的だと私は思います。
自己主張は、少し勇気がいることかもしれません。
でも、一歩踏み出すことで、今まで感じたことのない「自分の人生を生きている実感」を手に入れられる可能性があります。
心理カウンセリングは自己主張の訓練に有効であると思います。