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依存しあう恋愛:成長と別れ、そしてその先に

「もたれあう恋愛」という言葉がしっくりくるかもしれません。
お互いが自分の必要を満たすために存在するような関係性、それが依存しあう恋愛です。

このような関係性においては、どちらかが相手を支配し、もう一方がその支配を受け入れる、という構図が生まれがちです。
もちろん、どのような人間関係にも程度の差こそあれ、このような側面は存在します。
しかし、このバランスが過度に傾くと、やがて関係にひずみが生じ、さまざまな問題が噴出してしまいます。

カップルのいずれかが成長した時、依存しあう恋愛は終わりを迎える

Index
1.依存しあう恋愛が抱える問題
2.パートナーが精神的自立を目指した時、関係に変化が訪れる
3.別れは、新たな始まりのサインかもしれません

1.依存しあう恋愛が抱える問題

仮に、君子さんという方がいるとしましょう。
彼女は人間関係をうまく築けず、仕事を長く続けることができません。

常に自分を責めてしまい、人生に虚しさを感じています。
「誰かに自分を受け入れてもらえないと生きていけない」と深く思い込んでいるのです。

そんな君子さんと同棲中のパートナー、徹治(仮名)さんは、傷ついた彼女のそばにいることが自分の役割だと感じ、常に彼女を慰め、支え続けてきました。
まるで父親がか弱い娘を見守るような関係性です。

君子さんが社会生活における心理的な問題から慢性的な体の不調を訴えるたび、徹治さんは仕事から帰った後も君子さんのために家事をこなし、献身的に尽くしていました。

しかし、実は徹治さんもまた、心に虚しさを抱えていました。
彼は育った環境から人を心から信頼することが苦手で、本当の意味で心を許せる友人もいませんでした。

だからこそ、「自分に依存してくれる君子さんなら、決して自分を裏切らないだろう」と感じていたのです。
君子さんの面倒を見ることで彼女を「縛り」、自分の心の安定を得ていたと言えるでしょう。

2.パートナーが精神的自立を目指した時、関係に変化が訪れる

やがて、二人の関係に変化が訪れます。
君子さんがカウンセリングやセミナーを受け始め、自分自身の問題と真剣に向き合い始めたのです。

すると、少しずつ考え方や行動が変わり、人との分かち合いもできるようになっていきました。
友達が増え、自己表現の喜びも体感し始めたのです。
彼女は自分自身と深く繋がり、さらには自分以外の世界とも繋がり始めたのです。

これに強い危機感を抱いたのが徹治さんでした。
これまで自分の世界でしか存在できなかったか弱かった女性が、自分以外の世界と繋がり始めたのですから、彼の心には大きな不安が募ります。
「自分は捨てられてしまうのではないか」という恐れです。

徹治さんは、外出しようとする君子さんを引き止めたり、彼女の行動を監視したりと、彼女を逃がさないように束縛を強め始めました。
しかし、この行動は成長した君子さんにとっては、ただただ窮屈でしかありませんでした。

以前の君子さんであれば、彼の束縛を「自分を気にかけてくれているから」と、嫌々ながらも受け入れていたかもしれません。
しかし、精神的な自立を目指し始めた今の君子さんには、もうそれが無理なのです。

依存しあう恋愛においては、お互いが「自分はNOだ」という感覚を持っていることが少なくありません。

だからこそ、自分を100%受け入れてくれそうな人を選び、そこに「居場所(依存先)」を見出そうとします。

しかし、君子さんは「依存」から「自立」へと舵を切りました。そして今や、徹治さんの束縛(以前は「面倒を見てもらっている」と感じていたもの)を、ただ煩わしいものと感じるようになってしまったのです。

3.別れは、新たな始まりのサインかもしれません

依存しあう恋愛は、互いが依存しあうことに価値を見出す関係です。

しかし、パートナーのどちらかが成長し、自立の道を歩み始める時、その依存しあう恋愛は必然的に終わりを迎えます。

徹治さんからすれば、「あれほど尽くしてきたのに」と思うかもしれません。
しかし、残念ながら徹治さんの「尽くす」という行為の本質は、君子さんを縛り、捨てられることを恐れてのことであり、結局は自分の心の安定のために行っていた行為だったのです。

恋愛においてパートナーが成長し、互いの関係性が今後均衡を保つことが難しいと感じた場合は、別れが訪れるのは避けられないことです。

もし別れを告げられたとしても、それは自分の問題と向き合い、自分を高め、次の豊かな恋愛へと進むための機会と捉えましょう。

いつまでも別れた相手に執着する必要はありません。執着から得られるものは何もなく、むしろ新たな一歩を踏み出すのを妨げてしまうでしょう。

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