ひきこもり。
この言葉から何をイメージされますか?
おそらくは、自分の部屋にずっとこもって日々過ごし、たまに外出するとなると人目を避けるように、人がまばらな夜中に出かける。
昼夜逆転した生活を送り、家族との会話もなく、日々孤独のなか過ごしている。 そして社会と断絶した生活を送る、このようなイメージではないでしょうか。
これを社会からひきこもっているので、社会的ひきこもりと言います。
では、人はなぜ社会からひきこもるのでしょうか。
(ここで言う社会とは、学校、職場、地域の集まり等社会参加を指します)
それは、社会生活をおくるうえでの辛さを回避しているのだと思います。
では、社会生活を送るうえでの辛さとは何でしょうか。
それは人様々あります。
責任をとることの辛さ、仕事が覚えられない辛さ、精神疾患を患っており社会生活がスムーズに送れない辛さ・・・。
しかし、様々な辛さのなかでも一番は対人関係の困難ではないでしょうか。 すなわち対人不安です。
人からどう思われているのか人の視線や、評価を過剰に気にしてしまい、その不安から人とのかかわりを避け、結果として居場所がなく部屋にひきこもってしまいます。 この社会的ひきこもりは一時的には、対人不安の辛さを回避出来ますが、これが長期化すると社会復帰が難しくなります。 特に就業に関しては、ひきこもり期間によっては相当な困難が伴うでしょう。
さて、社会的ひきこもりが社会参加を避けるひきこもりなのに対して、心理的ひきこもりとは何でしょうか?
心理的ひきこもりとは私が創った造語かもしれません。
心理的ひきこもりとは、社会生活は送っていますが、常に周囲に対しては心を閉ざしており、周囲との親交もなく、集団の中で1人孤独に過ごしている状態を指します。
社会的ひきこもりが対人不安より社会を避け部屋にひきこもるのに対して、心理的ひきこもりは対人不安を抱えながらも社会参加を行い、傷つくことを避けるために心を閉ざして、人中で1人でいる状態なのです。
実は私は心理的ひきこもりでした。
私は、傷つくことの恐れから自分を守るために、人の中においては心を閉ざしていたのです。
そして、心を閉ざして自分を守るための行動パターンは2つあります。
1つめは、心を閉ざしながらも人との付き合いを避けないパターンです。 人の視線や評価には大変敏感なのですが、悪く思われたくない、嫌われたくない思いから人に合わそうとします。
しかし、人からの傷つく恐れの不安が一杯で心を閉ざしていますので、自己表現が出来なかったり、会話に入れなかったり、人と楽しく過ごすことが出来ず、孤独を感じてしまいます。
本来人と上手く付き合うには、ある程度心をオープンにしていなければなりません。
心を閉ざすということは基本的には防御の姿勢であり、自分が防御をしている以上相手も懐に入ってくることは出来ず、人との親交を深めることは難しいのです。
ですから心を閉ざしながらも人と付き合う、人に合わせることは大変無理があるのです。
そして、もう1つのパターンです。
これは、かつて私が行っていたパターンです。
人の中にいても周囲対して心を開かず、かつ行動・態度も敢えて距離を置く態度を取るパターンです。
人に対して心を閉ざしながらも、人と合わそうとするタイプの人は、人との軋轢を避けようと努力をしていますが、心を閉ざし、かつ行動・態度も人とのかかわりを避けようとする人は、自ら積極的に人の中で孤独を選んでいます。
人とかかわることによる傷つきを恐れるために、自分から人を寄せ付けない態度をとり、人が近寄ることを許さず、それにより人を避け自分を守ろうとするのです。
私自身高校・大学と人を拒絶する態度を取っていたと思います。 したがって大学時は友だちとか楽しい学園生活とは無縁でした。 常に1人でいました。 しかし、大学時は部活、サークルにも入っていませんでしたので、人と接することがなくても何も困りませんでした。
しかし、卒業後会社に入ってからしっぺ返しがやってきました。
さすがに会社で近寄るなという態度は取りませんでしたが、それまで人と親交を深めた体験も少なく、人とどう接していいのか分かりませんでした。
また、自己表現、コミュニケーションの方法も分からなかったので、結局は心理的にひきこもって人と話すこともなく、職場で1人でいました。
人の中にいても、1人でいるという方法しか知らなかったといっても過言ではありません。
いずれにせよ、職場にはいなければならないのですが、いること自体が苦痛でした。
その後、14年間の会社生活、そして様々な体験を通して自己表現の仕方、コミュニケーション、人との付き合い方、感情を感じる能力等の回復が図れました。
私が社会的ひきこもりではなく、心理的ひきこもりであって良かったと思うのはこのことです。
辛さを抱えながらも社会生活を送り続けることにより、社会に慣れることが出来、社会生活を送れる人間になれたことです。
社会的ひきこもりは社会自体からひきこもってしまいますので、この経験が出来ません。
ひきこもりの期間が長ければ長いほど社会復帰が難しくなります。
心理的ひきこもりは生き辛さを抱えながらも社会の中耐えているので、辛抱するにつれやがて社会的スキルが獲得出来るのです。
自分を過剰に守ることをやめ、人との付き合い方、社会性を学べば、必ず心理的なひきこもりからの回復は図れ、本来持っている強さも発揮出来ると思います。


