対人不安・視線不安・社会不安

この世の中に存在する人があなただけだとしたら対人不安は存在しますか?しないでしょうね。対人不安は他者が存在して、あなたをどう見ているのか。他者の視線や評価が気になりすぎて起こるものだと思います。

原因は他者から否定的評価を受けることへの恐れです。これは言葉を変えると他者の評価によって自己価値を決定してしまう自己信頼感の欠如となります。本当は自分の価値は自分で決定するものなのですが。 では、対人不安の原因について、ソーシャルスキルの観点を考慮して、もう少し詳細に見ていきましょう。

  1. ソーシャルスキルの未獲得
  2. ソーシャルスキルは持っているが他者の評価を気にし過ぎる

1.ソーシャルスキルの未獲得

ソ−シャルスキルとは何でしょうか。これは社会の中で人間関係を作るためのスキルです。具体的にはその場、その場にふさわしい話し方や、態度、共感力を指します。ソ−シャルスキルが未獲得ですと、その場その場に応じた対応(話し方・態度・感情表現)がとれません。そうすると、自分が人前でうまく振る舞えるだろうかと心配したり、不安になって、そこから対人不安が生じるのです。

そして、このソ−シャルスキルは成長の過程で様々な人と接することによって身につけるものなのです。したがって、幼児期より人が怖くて、遠慮がちで人と接する回数が少なかった場合はソーシャルスキルが獲得されにくいわけです。更に考えますと幼児期より人と接するのが怖い、遠慮する、皆の輪の中に入れない大きな原因の1つとして、自分が自分を信頼していない自己信頼感の欠如が考えられます。幼児期、子供の頃の自己信頼感は自分は周りの人に受け入れてもらえている安心感、自分の意志を表現してもいい、好きに行動してもいい自律性、主体性、自発性から得られるものです。

したがって、安心感、自律性、主体性、自発性を獲得出来なかった幼児、子供は自分の感情表現、行動を抑え、周囲と接する回数も少なく、結果としてソ−シャルスキルを獲得せずに成長して大人になります。そして、自分が対人関係のなかでうまく振る舞えないのではと不安を感じたり、失敗したところを人から見られて自己評価が傷つくのではと恐れたりと、人の評価や視線に対して過剰に敏感に不安を感じてしまうのです。

しかし、ソーシャルスキルが未獲得でも対人不安が生じない人々もいます。自分勝手な人や、人に興味のない人達です。ここで注目すべきことは彼らが人の視線、人からどう思われているかをまったく気にしていてないことが上げられます。 この例をとっても対人不安の大きな原因の1つが、人の視線や他者からの否定的評価を受けることであるという根拠がお分かり頂けると思います。

2.ソーシャルスキルは持っているが他者からの評価を気にし過ぎる

ソ−シャルスキルはあるのだけれども対人不安を持っている方もおられます。人ときちんと話せ、各々状況にふさわしい態度が取れるのに人に対する不安を感じてしまうのです。この場合は自分自身への要求が高いということが考えられます。

人間には自分の行動を自分がどのように評価するかの自己監視システムが働いています。自己監視シテスムの基準が高ければ高いほど、自分が獲得したソ−シャルスキルを活用して人と接しても、自分にOKを出すことが出来ず、自分は出来ていないと自己評価を下げてしまい、かつ他者からも否定的に評価をされていると感じ、他者の視線や評価を恐れてしまうのです。あまりにも高い自己監視システムは完璧を求めると言葉を変えてもいいと思います。しかし、人間完璧であることなど不可能です。

そして、この完璧主義はどこから来るかですが、これもやはり自己信頼感の欠如からきます。自己信頼感がありますと自分はOKとなり、自己監視システムの評価基準も厳し過ぎることはありません。「まぁ、こんなものでいいか」となります。しかし、自己信頼感がないと自己受容が出来ず、完璧でなければ人に受け入れてもらえることが出来ないとの思い込み、または、完璧に振舞えない自分に対する自信のなさから、客観的に見ればうまく振る舞えてもその評価を否定してしまい、自己不信から常に否定的に他者から評価されているのではと、悩み続けることになります。

したがって対人不安の克服には適度な自己監視システムの形成と、ソ−シャルスキルの獲得、及び自己信頼感の回復が必要なのです。 カウンセリングでは、高い自己監視システムについては認知の変更、を図り、SST(ソ−シャルスキルトレ−ニング)、ロ−ルプレイを通じてソ−シャルスキルの獲得と、実際に行動することから自律性、自発性を獲得し、更には自己受容と自己信頼感を獲得することを目指します。

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