対人不安・視線不安・社会不安

人が怖い。話すのが辛い。視線が気になる。人からどう思われているのか気になる。そして、人と距離を取ってしまう。
一般的にこれらは対人不安と言われています。

しかし、人によっては他者に対してあまり不安感を持っていない人もいます。
人が好き、話すのが楽しい、視線はそんなに気にならない、人が自分のことをどう思っているかなんてどうでもいい・・・。

この違いは何でしょうか。
では、対人関係に不安を抱く人と、抱かない人との違いはどこにあるのか。
次の7つ観点から考えたいと思います。

  1. ソーシャルスキルの欠如
  2. 最悪の結果を予想する スキルの発揮を控える
  3. アイディンティティの未確立
  4. 1人相撲 思い込み
  5. 自己受容が出来ていない 
  6. 他者の評価を気にしすぎる 
  7. 1人が好き 性格特徴

1.ソーシャルスキルの欠如

ソーシャルスキルとは何でしょうか。イメージ出来ますか。
これは社会生活をおくるうえで好ましいスキルのことです。
対人スキル、コミュニケーションスキルと言葉を置き換えていいかもしれません。
対人スキルとは人との交流においていかに社会的に振る舞うかということです。
話し方、表情、身だしなみ等、社会的に好まれるスキルを獲得しているかどうかということなのです。
対人スキルを獲得していないと、人と接する時、人と話す時、いかなる態度を取り、いかに振る舞っていいのか分かりません。
したがって、対人スキルを獲得していないと、人と一緒にいる時どのように振る舞っていいかが分からず、人と一緒にいることが不安になるのです。

また、コミュニケーションスキルも対人スキルと並列するものであり、いかに人と話しをするか、好ましい会話のスキルです。

正直に書くと、私は人と盛り上がって話すのがあまり得意ではないような気がします。
苦手ではありませんが・・・。
しかし、カウンセラーとしてカウンセリング技法を身につけており、また、共感能力を発揮して会話をしています。
この、カウンセリングスキルが私にとってイコール、コミュニケーションスキルとなっているのです。(カウンセラーはカウンセリングにおいて特段難しいコミュニケーションはしていません、誰でも身につけることは可能です)。
したがってコミュニケーションスキルは人各々違うのです。
自分が話すのが得意、理論的に話すのが得意、人の話しを聞くのが得意、人の気持ちを感じながら話すのが得意等々。 自分のコミュニケーションスキルはその人の個性でもありますので、自分なりのコミュニケーションスキルに自信を持ち大切にすることも必要です。

また、コミュニケーションスキルがまったく身についていないと、人といかにコミュニケーションを取ってよいか分からず不安を感じ、コミュニケーションを避ける傾向が出てきて、対人不安に発展してしまいます。 ソーシャルスキル(対人スキル・コミュニケーションスキル)はスキルですので、いつでも学習によって見につけることが可能です。

2.最悪の結果を予想する スキルの発揮を控える

ソーシャルスキルはあるのに、「人と接するのが恐い、話すのが恐い」という方がおられます。
対人スキル、コミュニケーションスキルの発揮を抑えています。
ではなぜ、獲得しているスキルを発揮せず、抑えているのでしょうか。

考えられることは、スキルを発揮した後を予想していることです。
それは、「最悪の結果」です。

例えば、「話しをしようと思うがどうせ無視されるに違いない」、「私の話しはおもしろくない皆退屈する」「話にオチがなくしらけてしまう」等、自分のコミュニケーション評価に対する最悪の結果を恐れているのです。
そしてコミュニケーションに対して最悪の結果を予想することにより、その予想が現実となることを怖れて、スキルの発揮を抑えてしまうのです。

しかし、この最悪の予想は本当に現実になるのでしょうか。
誰にも分かりません。
確かめる方法は1つです。
対人行動、コミュニケーションを避けることなく、その場でソーシャルスキルを発揮して、現実を体感して確かめるしかないのです。

そして、スキルの発揮を抑えていると次の2点からも問題が生じます。
a 最悪の結果の不安に支配され現実を確かめられない。その結果、不安ばかり先行して不安に支配され、やがては対人場面を回避し続け対人不安へと発展する。
b ソーシャルスキルを発揮して、それを振り返ることから得られる、スキルアップの機会が得られない。

この2点です。
恐れずにスキルを発揮しましょう。

3.アイディンティティの未確立

アイディンティティとは自分とは何者であるかということです。
具体的には、「私は甘いものが好きです」「私は会社員です」「私は人には優しく接します」「私は自分のことをきっちりと説明できる人間です」「私は人と話すことが好きです」・・・。

「私とは〜〜〜です」の複合体なのです。

しかし、この「私とは〜〜です」という自己が確立されていませんと、自分が何をしたいのか、何を大切に他者とかかわればよいのか、人とのなかでどのような自分を表現すればよいのか等、自分がどう行動して振る舞えばいいのか、自分が自分で分かりません。

ソーシャルスキルを獲得していても、どういう自分を表現していいか分からず、ソーシャルスキルを発揮しようにも出来ないのです。

コミュニケーションの場においても、自分が話すこと、自己表現は出来なくても人と合わすことは出来ます。しかし、自己が確立されていないと、相手に沿って合わしているが、本当に自分が何を思って合わしているか分からず、一体自分は何を感じているのだろうかと、これもまた自分に対する混乱が起こります。

したがってアイディンティティが未確立であると、物事に対する自分の方向性が定まらず、人との関係において自分の混乱から人を避け、対人不安に発展することもあるのです。

4.1人相撲 思い込み

これは、人とのコミュニケーションにおいて自分が場を盛り上げなければならない、相手を退屈させてはいけない、相手を笑わせなければならない等、使命感を持っている場合に生じます。

自分が盛り上げ役を果たさなければならないと使命感を持つことは、常にその場のコミュニケーションにおいて責任を負うことになります。

しかし、コミュニケーションは2者以上で行うものです。 なぜ、自分1人がその場を盛り上げなくてはならないのでしようか。
また、自分がその場を盛り上げよう、コミュニケーションをリードしよう、自分が話さなくてはと思い焦ることは、自分自身に意識が集中した状態であり、相手とのコミュニケーションに向き合っている状態ではないのです。
そうすると相手の話しも半分ぐらいしか聞いていないかもしれません。 相手の話しをきちんと聞かずにコミュニケーションは成立するでしょうか。

話し上手は聞き上手とも言われています。

5.自己受容が出来ていない

自己受容とは自分はこれでいいと、自分にOKを出すことです。
そして、人が自分にOKを出すには、OKを出す基準があります。
他者とのかかわりにおいて自分に求める規準が高すぎると、なかなか自分にOKは出せません。
ソーシャルスキル(対人スキル、コミュニケーションスキル)を獲得していても、自分に対する基準が高すぎると、どれだけきちんと人と接していても、他者からOKをもらっても、自分にOKを出せないのです。

また、ソーシャルスキルの問題は脇へ置いておいて、今の自分にOKを出すことも必要です。
何か人と話す際にぎこちなくても、緊張していても、精一杯努力して人と接している自分を認めてあげることです。
完全でなくてもいいのです。
自分が気にするほど、相手はあなたの方を気にしていません。また、相手に緊張していることが分かったとしても、それであなたの評価が悪くなるとも思えません。
自分は自分でいいのです。

6.他者評価を気にしすぎる

自己評価が低いと他者の評価を気にします。自己受容が出来ていない、自分にOKを出せていないと、他者よりOKの承認を得ようとします。
この気持ちが強ければ強いほど、他者よりの承認を得るために、他者の反応、評価を気にするのです。

しかし、私たちは目の前にいる相手が自分に対してどのような評価をしているのか分かるのでしょうか。
もちろん相手の反応を見てなんとなくですが分かる場合もありますが、しかしすべては推論の域を出ていないと思います。

したがって相手の反応から相手の評価を考えるということは、推論に基づくものであり、確実性はないのです。
またどれだけ、ソーシャルスキルを発揮していても、他者評価を得ようとするあまり、自分にとって理想の完璧な対人行動が出来ない限り自分を認めない等、自分に求める規準が高すぎる場合もあります。

高い自己規準を達成しない限り、他者より評価してもらえないと思い込んでいるのです。

このように、他者評価を気にしすぎる問題と、自己受容の問題は密接に絡んでいます。

7.1人が好き 性格特徴

生まれ持っての性格なのでしょうか。
人が嫌いというわけではないのですが、1人でいる方を好みます。
私もどちらかというと1人を好む性格です。1週間誰とも話さなくても苦痛は感じないタイプです。
ですが、人嫌いではありません。また、人好きの面も持っているのですが、やはり1人が好きなのです。

では、1人を好む性格の人が対人不安を持つ場面、または避けたい場面とはどのような場面でしょうか。

基本的に1人が好きな性格の人は、大勢で活動することを好まない傾向があります。
それは、1人の気楽さが大勢の中ではないからです。
気をつかわなければならない、話しを考えなければならない・・・。
余計な神経を使います。邪魔くさいのです。

しかし、大勢の集まりを邪魔くさいと思い避けてしまいますと、大勢の中で振る舞うソーシャルスキルを獲得出来ません。
知っている人達とは気楽に話せても、大勢の中で気楽には自分を開示出来ません。
(大勢の中で自分を開示するには、どのような人がいるか分からないため危険性があり、大概の人は大勢の中で、すぐには自分を開示しにくいものだと思いますが)。

しかし、それでも誰とでもすぐに親しげに話す人がいることも事実です。
この人達はそもそも人が大好きなのか、または見知らぬ相手でも親しくなれるスキルを持っているのでしょう。

1人が好きという性格自体はそれで良いと思うのですが、あまり人との関わりを邪魔くさいと思い避けてしまいますと、初対面の時、特に大勢の中での関わり、すなわち自分を開示することに苦手意識、不安を抱いてしまい、そこから、そのような場面を避ける対人不安へと発展することは考えられます。

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