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共依存者の恋愛その身勝手(自分勝手・自己中心的)な怒り

アダルトチルドレンには、共依存の傾向が見られることが少なくありません。
これは、自己存在の価値を他者を通して満たそうとしたり、自己の空虚感を他者を通して埋めようとしたりする心の動きです。

この傾向が強ければ強いほど、「しがみつき」という行動に現れます。
何が何でも相手にしがみつき、手放さない。

その背景には、「見捨てられること」への大きな不安が横たわっています。
見捨てられたら、再び独りぼっちの寂しさに耐えられないと感じているのです。

そして、この共依存の関係性は、相手を何らかの方法で支配するか、または支配されるか、いずれかの形で成り立ちます。
さらに、支配と被支配の関係は、その時々で立場が逆転することもあります。

共依存者の身勝手な恋愛と怒り

Index
1.尽くすことで相手を束縛・支配する側の言い分
2.支配する共依存者の身勝手な主張と怒り
3.支配と愛の勘違い、そして自立への道のり
4.共依存者の怒り:見捨てられたことへの怒りから破壊衝動へ

1.尽くすことで相手を束縛・支配する側の言い分

会社員の戸川さん(仮名、28歳)が、3年間付き合っている彼女との関係がおかしくなったという悩みを抱えて、カウンセリングにいらっしゃいました。

何がおかしくなったのか詳しく尋ねると、「彼女が今までのように言うことを聞かなくなった」とのこと。
そして、「彼女がいなくなったら人生終わりだ」とまで口にされました。

戸川さんは、今まで彼女にどれだけ尽くしてきたかを延々と語り始めました。
「車での送り迎え」、「食事をおごる」、「高価な贈り物」など、散々彼女のために尽くしてきたのに、自分の言うことを聞かないのは裏切りだと怒りをあらわにしたのです。

しかし、私が「尽くしただけですか?」と問いかけると、戸川さんは言葉を詰まらせました。

実は、戸川さんは彼女から「あなたの束縛が辛くなった」と別れ話を切り出されていたのです。

戸川さんの束縛とは、具体的に次のような行為でした。

  • 彼女のスケジュールをすべて把握する
  • 携帯電話をチェックする
  • 誰と遊びに行くのか、相手を細かくチェックする

彼は、これらの行為を通じて彼女を細かく把握し、自分の要求通りに動かそうとすることで、自分の期待を満たし、手の届く範囲に彼女を置いておくことで安心感を得たかったのです。
(つまり、彼女が自分を見捨てていないことを確認して安心したかったのです)。

ここまでされると、誰でも嫌な気持ち、窮屈な気持ちを抱くのは当然でしょう。

2.支配する共依存者の身勝手な主張と怒り

しかし、戸川さんは、「あれだけ尽くしたのだから、彼女が常に自分の方を向いているのは当然だ」と主張しました。

戸川さんの主張を整理すると、次のようになります。
「彼女に色々と尽くしている。だから、彼女は自分の支配下にいなければならない。そして、自分の必要を満たさなければならない」。

これはまさに、共依存による支配です。
戸川さん自身は支配する側のタイプで、自己主張や意見が多い傾向にあります。

彼女を失うことによる根源的な寂しさ、不安、孤独といった自身の感情についてはあまり把握されておらず、語ろうとしません。しかし、彼女に執拗にしがみつこうとする言動からは、そのしがみつきの激しさから共依存傾向であることが見て取れます。

そして、その主張の中には、彼女の人間性や個の尊重は全く考慮されていません。
すべてが自分本位なのです。

3.支配と愛の勘違い、そして自立への道のり

さて、彼女についてですが、彼女も最初は気前の良い戸川さんに面倒を見てもらうことが心地よかったのかもしれません。そして彼女もまた共依存者であり、3年間彼の支配を受け続けていたのだと思います。

もちろん、彼女からしてみても、彼の束縛が窮屈である反面、常に彼が自分を見てくれていることで安心感は得られていたのでしょう。また、これを「愛」だと感じていた可能性もあります。

しかし、月日が流れ、彼女は自立に向けて成長し始めたようです。

共依存とは、お互いがもたれかかることによってバランスが保たれる関係です。
しかし、どちらか一方がもたれかかることに居心地の悪さを感じ、自立を目指した時に、この関係は終わりを迎えます。

自立を目指し、関係を解消しようとする側は去っていきますが、去られる側が気持ちの整理ができておらず、相手を失うこと、ひいては自分自身を喪失することを恐れるため、あの手この手を使って相手を自分の手元に置こうとします。

これには、泣く、わめく、黙る、説得する、責める、脅す、罪悪感を植え付ける、暴力といった様々な手段が用いられます。
そして、それでも相手が自分から離れていこうとすると、怒り、恨み、そして相手を破壊したいという気持ちさえが生じ、実際に刑事事件に発展してしまうことすらあります。

これらすべての行動は、まさに身勝手です。

なぜなら、そもそもの目的が、自分の空虚さを埋めるため、自分の必要を満たすために相手を必要としているからに他なりません。
それは、あくまでも自分のためであり、戸川さんのようにどれだけ尽くしたと主張されても、それは相手を自分の側に置いておくため、支配するため、見放されないための手段、つまりはコントロールなのです。

4.共依存者の怒り:見捨てられたことへの怒りから破壊衝動へ

そして、相手が自分自身の本当の気持ちに気づき、偽りの自己や生きづらさから脱却しようと離れていくと、自分を満たしてくれる者がいなくなり、不安を感じます。何が何でも自分の手元に留めておこうと、さらに様々なコントロールを試みます。

しかし、ことごとく失敗すると、相手に対して怒り、憎しみ、そして攻撃性や破壊衝動さえ抱いてしまうのです。
ですが、その根源はすべて、自分の必要を満たすためという身勝手な理由に帰結します。

これは、支配される側、つまり面倒を見てもらう側の共依存者にも同じことが起こります。
自分の面倒を見てくれていた人が息苦しさを感じて離れていこうとする時、あらゆる手段を使って相手を自分のもとに留めようとします。

そして、それでも相手が去っていくと、同じように恨み、怒り、破壊したい気持ちなどを抱くのです。「自分を不幸にしたのはお前の責任だ」、「責任を取らせてやる」といった、凄まじい逆恨みと怒りが向けられることもあります。

アダルトチルドレンの共依存者にとって、恋愛とは一体何なのでしょうか?

本来、恋愛とは、お互いがある程度自立しており、お互いの違いを認識しながらも、それでも協力し合って共に進んでいく関係だと私は考えています。

しかし、共依存者の恋愛は、お互いがお互いを縛り合い、そこに安住を求め、お互いの成長を止めてしまいます。
あるいは、成長を許しません。
この「成長」とは、真に自分が自分の道に進むこと、すなわち精神的自立を指しています。

自分がしがみついている相手に自立されると、しがみつくもの、自分の拠り所を失うため、相手が自立することを許さないのです。

また、共依存者は次のように話すことがあります。

「本当に彼(彼女)を愛しているのだろうか(愛していたのだろうか)。もしかしたら、相手はしがみつくことができるのであれば誰でもよかったのかもしれない……」

共依存から回復するためには、相手にしがみつき、自分を満たすのではなく、自分が自分であること、自分が自分にOKを出すことが何よりも大切なのです。

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