「子ども自慢」の裏にある親の心理とは?
子どもが社会的に成功し、周囲から評価されると、親として誇らしく、嬉しく思うのは自然なことです。「うちの子はすごいんだ」と誰かに話したくなる気持ちもよく分かります。
しかし、なぜかその言葉を口にするのをためらったり、あるいは逆に、子どもの自慢話ばかりしてしまう親を見て、複雑な気持ちになったりすることはないでしょうか。
この記事では、子どもの成功を自分のことのように感じてしまう心理に焦点を当て、その背景にある「親子の未分離」という問題について考えていきます。

子どもの成功を「自分の成功」と同一視してしまう心理
親が子どものことを自慢したくなるのは、その根底にいくつかの心理が隠されている可能性があります。
Index
1.劣等感や自己肯定感の低さを補うため
2.教育への投資が報われたと感じるため
3.「親子未分離」が招く深刻な問題
4.自分の人生を生きる「親」になるために
1.劣等感や自己肯定感の低さを補うため
「子ども自慢」の背景には、親自身の満たされなかった思いや、劣等感が隠されていることがあります。子どもの成功を自分の成功と同一視することで、親自身の価値やアイデンティティを保とうとしているのかもしれません。
子どもの社会的地位が上がれば、自分の価値も上がったように感じてしまい、逆に子どもが失敗すれば、自分の価値も下がったように感じてしまう。
こうした心理は、親が自分の人生を生きるのではなく、子どもの人生を通して自分の人生を生きようとしているサインです。

2.教育への投資が報われたと感じるため
子どもの英才教育に時間とお金を費やしてきた親御さんであれば、その努力が報われたと感じ、子どもを誇らしく思うのは当然です。
しかし、その成功を「自分の努力の成果だ」と強く感じすぎると、子どもの人生を、親が投資した分に見合う「結果」として見てしまう危険性があります。
子どもが幸せかどうかではなく、「投資に見合うリターン」を得られているかどうかに意識が向いてしまうのです。

3.「親子未分離」が招く深刻な問題
子どもの成功を自慢する心理の根本にあるのは、「親子未分離」という問題です。これは、子どもが大人になっても、精神的に親から自立しきれていない状態を指します。
もし、子どもが社会的な成功を捨てて、本当にやりたい道へ進みたいと告げたとき、親のあなたはどのような気持ちになるでしょうか?
- 「これまでかけたお金と時間は何だったんだ」
- 「せっかくの安定した地位を捨てるなんて、もったいない」
- 「親の言うことを聞かないなんて、気が狂ったのか」
このような感情が湧き上がってきたとしたら、それはあなた自身が、子どもの人生を「自分の人生の一部」と捉えている証拠かもしれません。

子どもが親の期待に応えられなくなったとき、親はまるで「自分の半身が失われた」かのような強い不安や虚無感に襲われることがあります。
それは、親が子どもの成功に自身の存在価値を依存していたためです。
子どもの人生は、親が描いたレールの上を走るものではなく、子ども自身が選ぶものです。親は子どもを応援し、見守る存在であって、子どもの人生を支配する権利はありません。

4.自分の人生を生きる「親」になるために
子どもが自立し、自分の道を歩み始めたとき、親としてどうあるべきか。
それは、親自身が「自分の人生を生きる」ことです。
自分の趣味や仕事、人間関係に没頭し、子どもとは別のところで、自分自身の価値を見出す。
そうすることで、子どもの成功や失敗に一喜一憂することなく、子どもの人生を心から尊重し、応援できるようになるはずです。
もし今、あなたが自分自身の劣等感や虚しさを子どもの成功で埋めようとしているのであれば、それは子どもには関係のない、あなた自身の人生で向き合うべき課題です。
子どもの人生は、あなたを幸せにするための道具ではありません。
そして、あなたの人生もまた、子どもの成功によってのみ輝くものではないのです。