過去との決別(人生のリセットボタン)
すべては「前に進みたい」という強い思いから生まれる
あなたはこれまでの人生で、「自分の人生を根本から変えたい」と強く願い、自ら「エイッ!」と勇気を出して、人生のリセットボタンを押した経験はありますか?
まるでテレビゲームのように、これまでのセーブデータをすべて消し去り、新たなスタートを切る。
それは、今の状況から抜け出し、全く違う未来を創造したいという、内なる強い衝動から生まれる行動です。
Index
1.会社退職という「人生のリセット」
2.「過去を捨てる」という人生のプチ・リセット
3.「過去を捨て去り、前へ進みたい」という強い思い

1.会社退職という「人生のリセット」
私にとって、まさに人生のリセットボタンを押したと感じたのは、37歳の時、14年間勤めた会社を辞めた瞬間でした。
その時、強く感じたのは「人生をリセットしたい」という思いでした。
生まれてから37年間、私はずっと親に支配されてきたような気がしていました。
自分の人生における大きな決定を、自分自身で下した経験がほとんどなく、新しいことへのチャレンジもしてこなかった。
就いた仕事も、どうもしっくりこず、本当にやりたいことでもありませんでした。
(もっとも、当時何がしたいのかさえ、はっきりとは分かっていませんでしたが)。
会社を辞めるという決断は、長年続いていた親への反抗であり、親の意に背くことでもありました。
辞めてどうなるのか、全く先の見えない状況でした。

会社退職前にカウンセリングを受けた際、カウンセラーの先生から言われた言葉が今でも心に残っています。
「あなたは親のリモコンに操作されて生きてきた。今まで生きてこられたのが不思議なくらいですよ」。確かに、ずっと漠然とした辛さを感じながら生きてきたのです。
親から押し付けられた人生ではなく、親によって矯正された性格でもなく、自分自身の人生を歩みたい。そして、未経験のことにチャレンジしてみたい。
その思いが「今しかない」という強い衝動となり、人生のリセットを決意しました。14年間勤めた会社を退職したあの時こそ、まさに私にとって人生のリセットボタンを押した瞬間だったのでしょう。

2.「過去を捨てる」という人生のプチ・リセット
私には、人生の大きなリセットボタンとは別に、日常的に押しているかのような「プチ・リセットボタン」の習慣があります。
それは、過去の思い出や物を手放す行為です。
昔の写真を処分したり、もう二度と会わないであろう人々の連絡先を消去したり。
そうするたびに、なぜか心がスッと軽くなるような感覚があるのです。
実は、子どもの頃の卒業文集や卒業アルバムも手元にはありません。
不快な記憶しか残っていないので「必要ない」と感じ、手放してしまいました。
また、会社に入社してからの写真なども残っていません。
特に不快な思い出ではないのですが、「まあ、どうでもいいか」という気持ちが先行し、捨ててしまうのです。
これが、私にとっての「プチ・リセットボタン」なのでしょう。

過去に学んだことは大切ですが、思い出そのものには執着しない。
過去に浸る時間がもったいない。
そんな習慣が、私の中にはずっと根付いていたようです。
では、なぜそうまでして、過去を切り離そうとするのでしょうか?

3.「過去を捨て去り、前へ進みたい」という強い思い
その答えは、やはり「未来」にあります。
私は本質的に未来志向の人間だからこそ、過去に執着しないのかもしれません。
抑えられない何かが、常に私を前へと突き動かしているような感覚があります。
しかし、今の私は以前とは少し違います。
過去に浸ることや、思い出を大切にすることも、人生においては大切なことだと感じ方が変わってきました。
ひょっとしたら、いつか写真を捨てたことを後悔する日が来るかもしれません。
それでも、過去を捨て去るという「プチ・リセットボタン」の行為がなければ、前に進むことができなかった自分がいたこともまた事実です。
過去を断ち切ることでしか、新たな一歩を踏み出せなかった時期があったのです。

人生のリセットは、時に大きな決断を伴います。
しかし、その根底にあるのは、現状を変え、未来を切り開きたいという純粋で強い「前に進む」思いです。
あなたにも、そんな「リセットボタン」を押した経験はありますか?